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 番兵たちや、あらゆる町の人たちが、まるでどきどきやりながら、矢を射る孔からのぞいて見た。壁の外から北の方、まるで雲霞の軍勢だ。ひらひらひかる三角旗や、ほこがさながら林のようだ。ことになんとも奇体なことは、兵隊たちが、みな灰いろでぼさぼさして、なんだかけむりのようなのだ。するどい眼をして、ひげが二いろまっ白な、せなかのまがった大将が、尻尾が箒のかたちになって、うしろにぴんとのびている白馬に乗って先頭に立ち、大きな剣を空にあげ、声高々と歌っている。
質問1:「ひげが二いろまっ白な」は黒い髭の中に白い髭が混ざっているの意味ですか。

A 回答 (3件)

 No.1のliar_adanさんのご指摘のおかげで、すぐに「校本 宮沢賢治全集」(筑摩書房)を見ることができました。

ご指摘がなければ、私はたぶん賢治の作品だとは分からなかったと思います。そう、賢治に関して私は全くの門外漢なのですが、少しでもお役に立てればと思い、調べてみたことを書きます。賢治の研究をなさっているとのことなので、もうご存じのことばかりかもしれませんが。
 さて、この話はいくつものバージョンがあるようです。それらの関係は第十巻の「校異」の243頁の「『北守将軍と三人兄弟の医者』系作品の推移概念図」などをご参照ください。自筆原稿が残っていて、推敲・改作の過程がうかがえるようです。
 さて、問題の部分は、

1.三人兄弟の医者と北守将軍〔散文形〕  第八巻47頁~
 一人の目のするどい、ひげの灰色な、せなかのまがった大将が、(48頁)

2.〔三人兄弟の医者と北守将軍〕〔韻文形〕 第八巻291頁~
 するどい眼をしてひげのまっ白な【改行】
 せなかのまがった大将が【改行】(292頁)

3.北守将軍と三人兄弟の医者〔初期形〕  第十巻5頁~
 するどい眼をしてひげが二いろまっ白な、せなかのまがった将軍が、(6頁)

4.北守将軍と三人兄弟の医者〔「児童文学」に発表〕 第十一巻184頁~
 するどい眼〔め〕をして、ひげが二〔ふた〕いろまっ白〔しろ〕な、せなかのまがつた大将〔たいしゃう〕が、(184頁) 

となっています。 ( 〔 〕内はルビ)
 どうやら、「2」の「ひげの」の「の」を消して、「が二いろ」と、「3」に書きかえたようです。(十巻「校異」246頁上段、六[12])

 「1」~「4」のどれにも共通して、問題部分の少し後で説明されますが、将軍と家来たちは30年も北方の湿気の多い所にいたため、体中に灰色の「さるをがせ」(サルオガセ:山地や亜高山帯の主に針葉樹の枝に付着して垂れ下がる地衣類の一種、苔のようなもの)が生えている、という設定になっています。引用なさっている「ほこがさながら林のようだ。ことになんとも奇体なことは、兵隊たちが、みな灰いろでぼさぼさして、なんだかけむりのようなのだ」という状態の原因がこれだと思います。

 問題部分は、私もおかしな日本語だと思います。たしかにNo.1のliar_adanさんがおっしゃるとおりだと考えます。

 「いろ」という言葉には「種類」という意味もあるから、 「二色」ではなく「二種類」とも考えられるのではないか、とも思いましたが、それにしたところで、おかしな日本語であることには変わりはありません。

 しかし、無理矢理にでも、なんとか合理的に解釈しようとするなら、「黒い髭の中に白い髭が混ざっている」という可能性はまずないと思います。むしろ、将軍自身のひげは、「2」にあるように「まっ白」つまり「完全に白い」状態だと思います。
 その髭にも「サルオガセ」が生えていて全体が灰色に見えるというのが「1」で、本来の白と付着した灰色との「二いろ」というのが「3」「4」ではないでしょうか。
 話の整合性を高めようとして、灰色のことも表現しようとしたが、舌足らずな表現であったため、おかしな表現になってしまった、ということではないかと思います。

 以上、つたない考察でしたが、参考になれば幸いです。
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この回答へのお礼

たくさんの時間を使って調べていただきましてどうもありがとうございました。このセンテンスの意味が分かりました。とても役に立ちます。助かりましたよ。感謝の気持ちは言葉で言い表すことができないぐらいです。ほんとうにありがとうございました。

お礼日時:2004/07/24 00:39

『セロ弾きのゴーシュ』の中に


“バイオリンも二いろ風のように鳴っています”
と言う文があります。バイオリンは普通“~丁”と数えますが
賢治は、“本数”の意味で“いろ”を使っていたのではないでしょうか?

ですので、この「ひげが二いろまっ白な」というのは
まっ白な口髭が2本生えているのではないでしょうか?
口髭を2本垂らしているのって、将軍ぽいですよね。
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この回答へのお礼

たぶんそうですね。ほんとうにどうもありがとうございました。

お礼日時:2004/07/24 00:43

回答とは直接関係がありませんが、


質問の前提として、
「aifenさんが日本語を母国語としていない人であり、
宮沢賢治を研究していて、
問題の文は『北守将軍と三人兄弟の医者』の一部分である」
ことを最初に記述した方がいいと思います。
以前の質問を見た人はそれをわかっていますが、
知らない人は、質問の意味を理解することができず、
回答を書くことができません。

さて、問題の答は、私はわかりません。
この文章は、日本語を母国語としているものでも、理解できない文です。
「まっ白」というのは、完全に白いという意味なので、
それが二つの色であるというのは、矛盾します。
ただし、文のリズムがたいへんに良いので、それに覆われて、
意味上の矛盾は読んでいるときには気付きにくいです。
指摘されてはじめて、「この文章はおかしい」と気付きます。

宮沢賢治は、非常に独創的な表現をした人です。
童話中の表現は、必ずしも、日本語として一般的ではありません。
しかしその一方で、新鮮な感覚を読者に与えます。

私は問題の文章の意味はわかりません。
宮沢賢治にくわしい人の回答を待ちます。

この回答への補足

確かに仰ったとおりです。私もこのセンテンスがおかしいとおもいますけど。外国人ですから自分で判断できないのです。私は日本語の教師です。来学期はこの文章をおしえさせられるので分からなければならないのです。どうしたらいいか分からないのです。早い回答ありがとうございます。

補足日時:2004/07/22 22:43
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