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薬剤師国家試験の問題で、アスピリンを水酸化ナトリウムと反応させた時の反応式が、
まず、アスピリン1モルと、水酸化ナトリウム1モルが反応して、アセチルサリチル酸ナトリウム1モルと、水1モルが生成。
次に、アセチルサリチル酸ナトリウム1モルと、水酸化ナトリウム1モルが反応してサリチル酸ナトリウム1モルと酢酸ナトリウム1モルが生成。
ここまでは理解できるのですが、なぜ、サリチル酸ナトリウムと、水酸化ナトリウムが反応してサリチル酸のヒドロキシル基とカルボキシル基の両方にナトリウムがついた形にならないのでしょうか?

A 回答 (2件)

もし、サリチル酸のジナトリウム塩が生成するとすれば、副生するのは


酢酸になります(そうしないと化学反応式の両辺の原子数が釣り合いません)。

ここでサリチル酸の酸性基のうち一方がフェノール性水酸基だということに
注意する必要があります。
フェノール性水酸基はカルボン酸にくらべればはるかに弱い酸性です。
すると弱酸の塩に強酸を加えると弱酸が遊離して強酸の塩が生じるという
反応が起きて、結局最終的にはサリチル酸モノナトリウム塩と酢酸ナトリウムに
なってしまいます。
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ペ-パ-薬剤師の rei00 です。



お書きの反応は次のものですね。

 o-HOOC-C6H4-OCOCH3 + NaOH → o-NaOOC-C6H4-OCOCH3 + H2O
 o-NaOOC-C6H4-OCOCH3 + NaOH → o-NaOOC-C6H4-OH + CH3COONa
 o-NaOOC-C6H4-OH + NaOH → o-NaOOC-C6H4-ONa + H2O

で,ご質問は,上の一連の反応の三番目が何故起こらないのかですね。

これは三番目の反応(酸塩基反応ですね)の酸(o-NaOOC-C6H4-OH)の強さ(構造,H+ を出しやすいかどうか)とその裏返しの o-NaOOC-C6H4-ONa の塩基性の強さを考えてみて下さい。

まず,オルト位にカルボキシル・アニオンが存在しますね。このため,フェノ-ル基(OH)の水素もカルボキシル・アニオン部分と結合して存在します。
⇒ H+ は2ヶ所で固定されていて,離れにくい。
⇒ 弱い酸。

分子内に既にカルボキシル・アニオンが存在しますので,電子過剰ですね。ここにマイナス電荷を持った水酸化物イオン(OH-)は近づき易いでしょうか。
⇒ マイナス部分へマイナス部分が近づくと,反発が起きる。
⇒ OH- は近づき難く,反応は起こり難い。

もし,この反応が進行したとして,できるジアニオンはオルト位にマイナス部分を持つ事になります。この様なものは安定でしょうか。
⇒ マイナスイオン同士の反発があるため,非常に不安定。
⇒ できにくい。できても,すぐにプロトン化されてしまう。
⇒ o-NaOOC-C6H4-ONa は強い塩基。

これらが,上記の3番目の反応が起こらない理由です。有機化学の教科書の酸塩基の強さがのっている辺りに説明があるように思います。御覧になってみてください。
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この回答へのお礼

詳しい説明ありがとうございました。レポートに、とても役立ちます。

お礼日時:2001/06/25 22:10

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