私が勤めている福祉施設の利用者で、現在障害年金2級年額70万位を受給している人(Aさん)がいます。
ある日、Aさんの父が公務員をしていた頃の遺族共済年金の受給権がAさんにあると連絡がきました。
調べるとAさんの親兄弟は皆亡くなっているうえ、Aさんは30年位前から障害者2級ですので、受給権に当てはまっていました。
遺族年金の方が年額90万で高かったので、遺族年金受給の手続きを取り、Aさんの母が亡くなってから3年分を遡って遺族年金が振り込まれました。同時にその間の障害年金は返還となり、後日その書類を送ると連絡がありました。
しかし、あと一ヶ月でAさんは65歳になるのですが、その事で共済年金担当から再度連絡がありました。
大雑把ですが、以下のような内容です。
65歳になると、障害年金と遺族年金がどちらも受給出来るようになる。
Aさんは60歳の時に厚生年金の手続きをしていなかったので誕生日までにして欲しい。でないと、過払いとなり、返還の可能性がある。
年金素人の私はさっぱりわかりません。
①障害年金と遺族年金を貰えるなら、この場合年額160万ということか?
②それとも、障害年金と遺族年金と厚生年金の3つを貰えるのか?
③遺族年金と厚生年金の2つということか?
④厚生年金の手続きをしたときの過払い、返還とはどういうことか?
詳しい方教えてください。回答よろしくお願いします。
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
障害年金には、障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金の3種類があります。
それぞれ、障害の原因となっている傷病の初診日の時点で加入していた公的年金制度が何だったのか、ということによって、受けられる種類が自動的に決まってきます。
初診日のときには国民年金だけにしか入っていなかった、という場合は障害基礎年金。
障害の程度が年金法でいう1級または2級に該当する場合に対象となります。
同じく、厚生年金保険に入っていた場合は障害厚生年金で、同様に1級から3級までのいずれかに該当するという場合が対象です。
3級のときには障害厚生年金のみ。1級または2級のときには、同じ級の障害基礎年金も受けられます。
共済組合(公務員、私学共済)に入っていた場合は障害共済年金で、障害厚生年金と同様です。
現在、障害年金は、障害基礎年金の2級だけでも年額78万円弱です。
Aさんが年額70万円ということは考えられないため、正確な受給額を把握する必要があるでしょう。
Aさんには、厚生年金保険に入っていたときがあったはずです。
但し、おそらくは、上記の傷病の初診日のときにはもう既に働いてはおらず、国民年金だけにしか入っていなかったという状態だったと思われます。
したがって、障害厚生年金の対象とはなりません。
しかしながら、老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)を受けられ得る要件(国民年金や厚生年金保険への加入月数が300月以上)は満たしていると思われます。
このとき、この要件を満たしている人で、かつ、厚生年金保険に入っていた期間がある人の場合は、生年月日によって、特別に60歳から64歳までの間、特例的な老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金といいます)を受けられます(しばしば誤認されますが、65歳以降の本来の老齢年金とは全くの別物です。)。
Aさんの場合にも該当し、かつ、障害者特例というしくみがあるため、その受給額も多くなります。
年金には、1人1年金という原則があります。
そのために、支給事由(老齢[退職]・遺族・障害の3つ)が異なるものは組み合わせる(併給といいます)ことができません。
Aさんの例でいえば、障害年金と遺族年金とを組み合わせることができないのです。
また、60歳から64歳までの間に支給される特別支給の老齢厚生年金についても、障害基礎年金や障害厚生年金、遺族共済年金と一緒に受けることはできません。
但し、特例があって、65歳を迎えると、Aさんのような例のときには、以下の組み合わせの中から、いずれか1つを選択することができるようになります(所定の手続きが必要です。年金事務所や共済組合にお尋ね下さい。)。
1 老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金
注1:遺族厚生年金は「遺族共済年金」へ読替可。
注2:1の遺族厚生年金は、本来の遺族厚生年金の額から老齢厚生年金相当額を差し引いた残額を支給。
2 障害基礎年金+遺族厚生年金
注3:遺族厚生年金は「遺族共済年金」へ読替可。
注4:2の遺族厚生年金は、本来の遺族厚生年金の額を支給。
3 障害基礎年金+障害厚生年金
4 障害基礎年金+老齢厚生年金
ということで、以上のことをまずは十分にご理解下さい、
その上で、以下の回答をお読みになっていただけますと幸いです。
(細かい理屈はともかく脇において、丸憶えしていただいたほうが無難です。)
Q1.障害年金と遺族年金を貰えるなら、この場合年額160万ということか?
いいえ。
上記1と2のうち、どちらを選ぶのかによって違ってきてしまいます。
年金事務所や共済組合で、実際に見込額を計算していただくしかありません(すぐできるはずです。)。
Q2.それとも、障害年金と遺族年金と厚生年金の3つを貰えるのか?
いいえ。
65歳以降に限られますが、複数の年金を受けられるにしても、上記1から4までの中から選択します。
Q3.遺族年金と厚生年金の2つということか?
いいえ。
とにかく、上記1から4までの中から選択します。
遺族年金には遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族共済年金があり、各々、国民年金から・厚生年金保険から・共済組合から、ということを示しています(支給元で分けられるということ)。
一方、厚生年金による給付といっても、老齢厚生年金・遺族厚生年金・障害厚生年金とあります(支給事由で分けられるということ)。
支給元と支給事由との組み合わせで「◯◯◯◯年金」と厳密に示していますので、そのことを踏まえてお読み下さい。
Q4.厚生年金の手続きをしたときの過払い、返還とはどういうことか?
「特別支給の老齢厚生年金とその障害者特例を受けるための手続き(請求)が事実上必須ですよ」、という意を持ったお知らせです。
この請求を行なうことで、65歳以降の本来の老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)を受けられる要件をも確認することになっています(但し、65歳を迎えるとき、本来の老齢年金をあらためて請求することを要します。)。
上述したとおり、65歳を迎えるまでは、1人1年金の原則のために、障害年金と特別支給の老齢厚生年金とを同時に受け取ることはできず、どちらか一方を選択する必要があります。
障害年金と遺族年金との選択についても、65歳を迎えるまでは同様です。
これらのとき、過去に遡及して選択した場合、選択されなかった側を既に受け取ってしまっている場合には、本来受け取らなかったはずの額ですから、当然、過払いとなり、返還を求められてくる次第です。
つまり、「特別支給の老齢厚生年金を選択するのなら、障害年金の分だけ過払いになるわけですから返還して下さいね」という意味になるのです。
ちなみに、特別支給の老齢厚生年金において障害者特例を適用してもらうように併せて手続きすると(所定の診断書を添える必要がありますので、事前に年金事務所に必ず問い合わせて下さい。)、「障害基礎年金2級に相当する額」プラス「厚生年金保険の被保険者期間と、その間の平均給与額を反映した額」になるはずですから、結果的には、60歳から64歳までの間に限っては、障害年金を選択するよりも有利となります。
選択しなかった側の年金は、今後の権利が全くなくなってしまうことはありません。
選択した側が支給されている間だけ支給停止になる、というだけで、いったん得られた権利はそのまま残されます。
したがって、将来、選択を変えたいというときには選択替えも可能です。
長くなりましたが、ポイントは以上です。
かみ砕いて説明させていただいたつもりですが、これでも難解かと思われます。あしからずご容赦下さい。
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