私は外人ですけど教えてください。お願いいたします。この文章の一部分ですけど。
哲学者のベルクソンはその種の礼儀作法をニスにたとえて、そのような紳士淑女はニスを塗ったばかりのドアのようなもので、われわれに近寄ることを妨げる、といっているのは適切である。私にはまったく未知の世界であるが、上流の社交界というのは、ニスを塗ったばかりの紳士淑女が、お互いに相手にさわらないようにして、手を差し伸べたり、世にも愛想のない微笑みと浮かべあっている世界なのである。
質問(1)「哲学者のベルクソンはその種の礼儀作法をニスにたとえて、そのような紳士淑女はニスを塗ったばかりのドアのようなもので、われわれに近寄ることを妨げる」
そのセンテンスの主語は紳士淑女ですね、それじゃ妨げるという単語は述語です。正しいですか、ちょっと疑問を持っていますけど。
質問(2)「上流の社交界というのは、ニスを塗ったばかりの紳士淑女が、お互いに相手にさわらないようにして、手を差し伸べたり、世にも愛想のない微笑みと浮かべあっている世界なのである」詳しく、説明していただけますか。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは!
日本人の私たちが読んでも、「硬い」文章だと思います。
(1)「妨げる」は、確かに「~しないようにする」「させないようにする」といった意味だと思いますが、「紳士淑女」という主語と「妨げる」という動詞とを結びつけて使うことに疑問を感じていらっしゃるのでは?
ふと頭に浮かんだのは、この文章の表現は、英語の「prevent~from...」のような無生物主語的な表現の訳し方(「無生物」が「~(人)」が・・・するのを妨げる、と直訳することも多いです。)に影響された部分があるのかも?、ということです。(河盛好蔵さんはフランス文学の研究者なので、英語のその表現が頭にあったのか、あるいはフランス語にも似た表現があるのか・・・は、仏語に疎い私にはわかりませんが。)
哲学書などは、書いた人の頭の中のオリジナルな思想を他者に伝えるのが目的なわけですので、その人独特のwordingやたとえが用いられることも多いように思います。たとえそれが読んでいる人にとって、時には突飛な感じがしたり、ごく普通の表現とは少し異なる感じがするものであっても、です。その人独自の考えを他人に伝えるためには、言葉にもある程度のオリジナリティが必要なのかもしれないと私は思っております。
いずれにしても、ごく一般的には、「紳士淑女は・・・~させない。」と、もっと「人間主体」に言うであろう部分で、「妨げる」という動詞に帰結させていることが、この文を少々不自然な感じにしているのではないかと思いました。
(2)の意味は、#1さんのご回答のとおりだと思いますが、この文章で日本人が一カ所だけ引っかかるとしたら、
>「上流の社交界というのは、ニスを塗ったばかりの紳士淑女が、お互いに相手にさわらないようにして、手を差し伸べたり、世にも愛想のない微笑みと浮かべあっている世界なのである」
の中の、「微笑みと」の「と」ではないかと思うのですが。
「微笑みを(浮かべあっている)」の誤植でなければ、この「と」は、筆者あるいはその時代に特有な助詞の使い方かもしれません。(すみません、私自身は日本語文法の歴史的な部分にまで詳しいわけではありません。)
私たち日本人でも、例えば「明治の文豪」と呼ばれるような人たちの文章を読むと「あれ?」と思う言葉の使い方に多く行き当たります。例えば漱石などでは、現代なら間違いなく「西洋的な(名詞)」と使う形容詞を、「西洋的の(名詞)」のような表現にしていることなども多かったように記憶しています。
するとそういう表現に出くわした時、私たち現代の日本人は、現代の言葉からするとちょっとおかしいぞ、ぎこちないぞ、と感じながらも、日本人である以上とりあえず意味はわかりますので、その「違い」の中に、年月が自然とそこに醸し出した「明治の香り」のようなものを感じつつ読み進むことになります。
・・・河盛好蔵さんも、お生まれは100年以上前の方、ですから、細かい部分の表現はひょっとしたら、ごく普通の現代の日本語っぽくないものが混ざっているのでは?と想像しました。
P.S. ・・・今、下の方へのお返事を見ましたら、もう解決なさったようですね。すっかり蛇足だったかもしれません。でも日本人の身として引っかかった部分、ということで一応投稿させていただこうかなと思いました(^^;)
詳しく教えていただきましてどうもありがとうございました。
すごく役に立ちましたよ。すっかり分かりました。これからもっとがんばります。
No.3
- 回答日時:
「ニスにたとえる」というたとえ方についてこの文章から感じたことを述べます。
「ペンキ塗り立て」という言葉は結構定型的な言い方ですね。「ペンキ塗り立て」と「ドア」に書いてあったら、そのドアには触ってはいけない。ところが、ペンキは普通不透明ですよね。元の物の色は見えない。その「ペンキ」のところをわざわざ「ニス」に変えてたとえています。ニスは透明ですから、元の物の色がそのまま見えます。あたかも何も塗っていないかのようです。ところが、そういう透明なニスであってもやっぱり「塗り立て」であったら触ってはいけないわけです。哲学者のペルクソンは、そういうたとえを使って、「礼儀作法」というのは、透明なペンキ、すなわちニスのような物にたとえることができる、といっているのです。何も塗ってなければ触ってもいいのですが、何も塗ってないかのように見えて実は透明なニスが塗ってある、だから触ってはいけない。礼儀作法はそのように、目に見えないけれども、人が触ることを妨げているのだ、と説明しています。
ですから、「われわれに近寄ることを妨げる」の主語は、たとえの中では「ニス」であり、たとえを使わないでいえば「礼儀作法」です。ベルクソンはその種の礼儀作法を「われわれに近寄ることを妨げる」ものである、と言っていて、その説明として、その「礼儀作法」をニスにたとえているのです。
意味だけを取って、文章を言い換えてみます。「その種の礼儀作法は、われわれが(お互いに)近寄ることを妨げる。ニスを塗ったばかりのドアには近寄ってはいけないが、われわれ自身をドアにたとえれば礼儀作法はそのドアに塗ってある塗り立てのニスのようなものである」と哲学者のベルクソンはその種の礼儀作法をニスにたとえて説明している。 という感じ。
No.1
- 回答日時:
こんにちは。
質問(1)「哲学者のベルクソンはその種の礼儀作法をニスにたとえて、そのような紳士淑女はニスを塗ったばかりのドアのようなもので、われわれに近寄ることを妨げる」
哲学者ベルクソンが言っている言葉の中の
主語は「紳士淑女」、述語が「妨げる」ですね。
「妨げる」は「~のじゃまになる」「~させない」ということです。「紳士淑女はニスを塗ったばかりのドアのようなもので、われわれを近寄らせない」ということです。
質問(2)「上流の社交界というのは、ニスを塗ったばかりの紳士淑女が、お互いに相手にさわらないようにして、手を差し伸べたり、世にも愛想のない微笑みと浮かべあっている世界なのである」→
「上流の社交界(high society)というのは、ニスを塗ったばかりの(ように表面がベタベタしてして触(さわ)ってはいけないので)紳士淑女は、お互いに相手の内面(心の中)までは、入り込まないで、表面だけで
手を差し伸べたり、心から微笑むのではなく、お世辞で笑っているだけのような、形だけのお付き合いをしている世界(社会)なのである」ということでしょうか。
「ニス」はご存じですか? 日本の漆器(lacquered japan ware)などを作るときに仕上げに表面に塗る、塗料です。塗ったら触らないようにして乾かします。
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