話題の出来事のQ&Aをウォッチ(観察)しながら、コラム形式で皆様に紹介していくサイト

「一生賃貸暮らし」のリスクを専門家が解説

「一生賃貸暮らし」のリスクを専門家が解説一生に一度の買い物、「夢のマイホーム」。田舎で育った筆者の周りでは一戸建てに住んでいる人が大半だったが、近頃は都心に限らず「一生賃貸暮らし」を選択する家庭も増えていると聞く。そこで、不動産コンサルタントの後藤一仁さんにお話を伺ったところ、

「東京五輪前で不動産価格が上昇していることや、まだ自分の将来の道筋が見えない段階であったり、資産価値が下がることが容易に予想されるエリアや災害リスクがあることが分かっていても、しばらくその土地に住まなければいけない場合などに一時的に賃貸に入るのは良いと思います。ですが、現在の気楽さや自由だけを求めて一生賃貸暮らしを選択する場合、様々なリスクが考えられるでしょう」(後藤さん)

とのこと。では、賃貸暮らしを続けていると、どのようなリスクがあるのだろうか? 詳しく聞いてみた。

■想像以上に厳しい、高齢者の住居探し


「まず、定年後に働けなくなったとき、本当に一生家賃を払えるのかどうかをきちんと考えておく必要があります。生活していくためには住居費以外にも払うものはあるので、貯金をしっかりしておくことも重要です。次に、貸主が高齢者と賃貸契約を継続してくれるのかどうか。支出を抑えるために今よりもっと安い物件に引っ越そうと思っても、入居審査が通らない場合もあります。また、せっかくどこかの賃貸物件に入っても都市計画等により建物の建て替えをすることになり、立ち退きが必要となるケースがあることも覚えておきましょう」(後藤さん)

定期借家契約でない通常の更新可能な賃貸借契約の場合、貸主としては賃借人がずっとその物件に住み続けることを承諾しなくてはならない。高齢者の一人暮らしは、認知症を患って他の住人との間にトラブルが起こる可能性や、孤独死する可能性もあり、貸主にとっては大きな懸念材料になるのだそうだ。

「生涯独身の場合もそうですが、夫婦の間にお子さんが居ない場合、配偶者に先立たれると最終的に一人になってしまいます。私はこれまでに70歳後半、80歳を過ぎてから何件も不動産会社を回って入居を断られる高齢者をたくさん見てきていますが、なかなかそういう方でも良いと言ってくれる大家さんは少ないです」(後藤さん)

高齢者が物件を借りるには、息子や娘、または他に身寄りの人が居ればその人の名義で契約して貰ったり、家族が頻繁に様子を見に来られる環境にあったりするとリスクヘッジになるそうだ。しかしながら、どれも期待できないという人は多いだろう。こうした現状に、行政も動き始めているのだとか。

「高齢者単身、夫婦世帯の急激な増加に伴って国土交通省・厚生労働省は所轄する『高齢者住まい法』に基づき、『サービス付高齢者向け住宅』の供給促進のための支援をしています。しかし、まだ希望のエリアで希望の面積の物件が見つからなかったり、金銭的な問題で民間の賃貸住宅に入らざるを得ない人が多いと思います」(後藤さん)

今後、「きっと国や自治体や誰かが何とかしてくれるだろう」、「自分が高齢者になるころには日本は空家だらけ、高齢者だらけになっているのだから高齢者が賃貸物件に入居しやすい世の中になっているに違いない」と他力や世相任せになっている考えでは不安だという。

■将来のライフプランを見据えた選択を


後藤さんは、「一生賃貸で良い」というのは、若くて体も動き、人生の残り時間に余裕があるからこその発言だと指摘する。

「高齢者が民間の賃貸住宅に入るのは、みなさんが想像しているよりもずっと大変です。自分のライフプランを考えたうえで戦略的に賃貸を選択しているのなら構いませんが、実は人生の中で余裕がある期間というのはとても短いです。住宅ローンを利用して『買うことができる』年齢には『タイムリミット』があります。『楽だから』という理由だけで何の策もないまま賃貸暮らしを続けていれば、住宅ローンを組むことができる年齢を超えてしまい、自分の意志とは関係なく『一生賃貸』しか選択できない状況に陥ってしまいます」(後藤さん)

何件もの貸主に入居を断られ、ため息をつきながら賃貸物件を探す高齢者は「人生はあっという間」と言うそうだ。仕事を引退したり、病気を患ったり、体が思うように動かなくなる年齢にさしかかってきた頃に「住まい」がなくなるかもしれない恐怖と寂しさは想像以上、とのこと。

「ですが、必ずしも買った方が良いとは限りません。買う場合は資産価値や安全性、利用価値など、重要なポイントをよく見極めて選んでください。間違った選択で家を購入すると、購入したことにより様々な自由が奪われ、逆に不幸をもたらしては、本末転倒だからです」(後藤さん)

永遠のテーマと言われる「賃貸か購入か」。双方にメリット・デメリットがあり、どちらが良いとは一概には言えないが、それでも賃貸暮らしを選ぶという人は、こうした現実を知っておく必要があるだろう。

「教えて!goo」では、「60代になった時、あなたは持ち家に住んでいると思う?それとも賃貸物件に住んでいると思う?」ということでみんなの意見を募集中。

●専門家プロファイル:後藤 一仁(ごとう かずひと)
株式会社フェスタコーポレーション代表取締役。これまで27年間、常に顧客と直接接する第一線での不動産実務全般に携わる。豊富な経験や知識、人脈をいかし、対面個別相談件数1万組超、取引件数6,000件超。購入に失敗しない方法をまとめた著書に『東京で家を買うなら~人生が変わる!戦略的「家」購入バイブル~』(自由国民社)がある。

(酒井理恵)

教えて!goo 教えて!gooで質問する

人気のコンテンツ

更新情報をチェック

カテゴリ