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つぎのことば(ひらがな)をカタカナになおしなさい、という問題で次のようなものがありました。
「ぼおるぺん」

これは「ボオルペン」と答えるべきなのでしょうか?
テキストによって出題が「ぼーるぺん」だったり「ぼおるぺん」だったりするので判断に迷っています。

常識的に「ボールペン」だということはわかるのですが・・・。

カタカナのことばをひらがなに直すとき、のばす音の表記についてなにかきまりはあるのでしょうか?

よろしくお願いします。

A 回答 (3件)

 片仮名と平仮名は、これも文部省の取決めによれば(1)主として平仮名を使う、(2)片仮名は(漢語以外の)外来語と動植物名など限定されたものにしか使わない、ということになっています。


 「ー」は外来語(西洋語)専用の記号ですから、この取決めを守るなら平仮名に「ー」を混ぜる機会というのは、(2)の原則に反して外来語を平仮名で書くというきわめて例外的なものに限られます。
 具体的に日常生活でそういうこと(本来片仮名で書く外来語を平仮名で書く)がほとんどないために確立した決まりはほとんどないというのがもっとも正しいと思います。つまり「ボールペン」を平仮名で書くのはきわめて例外的な事柄で、だれも想定していないために規則そのものがないのです。
 ただ、あえていいますと、大正から昭和のはじめごろにかけて幼童用に分かち書き総平仮名の読本を作る試みがあったそうで、そのときには

  ぼくは きょう おかーさんと いっしょに でぱーとえ いって けーきを かいました

式の表記を採ったものもあったそうです(むろんこの例はぼくがいま考えたものですよ)。これはご覧のように発音式仮名遣い(現代仮名遣いよりもさらに一音一表記の原則を強調し、「おかあさん」や「でぱーとへ」も排除する)を採用していてあまり評判がよくなかったそうで、旧仮名遣いの否定、句読点の否定などと並んで「ー」を平仮名に混ぜるのにどうにも違和感があったのがその理由のひとつではないかと考えます。
 結論としては「ボオルペン」「ボールペン」ともに正しいように「ぼおるぺん」「ぼーるぺん」ともに正しく、あるいはともに間違っていると言えると思います。もし文部省訓令に忠実にしたがうなら、そもそもボールペンを平仮名で表記することが間違っており、その点に目をつぶって考えるなら、「外来語だから」という理由で「ぼーるぺん」とすることも、「平仮名だから」という理由で「ぼおるぺん」とすることも可能です。いずれにしろそれなりの理由があり、またそれなりの欠点がある上に、もともと日本語として想定していないことを無理やりにやっているわけですから、それを正しい、正しくないと評価できる程度の例や歴史が存在しないというのが実情だと思います。

 追伸ふうに申し添えておきますと、おそらく先生の出題の意図は「外来語の表記にはーを使う」ということがわかっているかどうかを聞きたかったのだと思いますので、やはり「ボールペン」が「望ましい」回答だと思います。「つぎのことば(ひらがな)をカタカナになおしなさい」というのはいかにも舌足らずで、問題文として不出来ですが、あえて好意的に解釈すれば、「つぎのことばを我々日本人がもっとも一般的に用いている《外来語を書くときの表記の原則》に沿った表記に直しなさい」と出題したくて、しかしおそらく小学一年生には「日本人がもっとも一般的に用いている《外来語を書くときの表記の原則》」なんていってもわからないから、そこを「カタカナ」といういい加減ないいかえでごまかしたのだと思います。
 「つぎのことばはふつうどういうふうに書くかな? ひらがな、カタカナに気をつけて書きなおしてみよう」とでも質問すればよかったのに。
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 まず長音記号「ー」というのは実は字ではないんです。

これは記号でして(江戸時代中期ごろから蘭学者が使いはじめた)、「とか。とか?とかと同じ扱いになりますから、ほんとうのことを言うと片仮名には含まれません。ですから「ボールペン」はうんとむつかしいことを言うと片仮名で書いたことにはならないんですが、まあそれはいいとしましょう。
 現在片仮名は外来語と動植物名を表記するときに主に用いることになっています(文部省の訓令でそうなっている)。通常、外来語表記には長音記号を使い、動植物名表記には使わない、というのが旧文部省および今の文化庁の「おすすめの表記法」です。つまりこれに従えば、ボオルペンとかミズバショーというのは間違っているということになる。
 ただ日本語は文部省よりむかしからあるものですから、それまでの先人たちが苦労して「こうしたほうがいいんじゃないか」と作りあげてきた不文律のようなものもあります。それが「ー」ではなくて母音をもうひとつくっつける方式のやりかた。ボオルペン式です。これも江戸時代の蘭学者が考えだしたもので、日本語とは音のことなる外国語をなんとか上手に書きあらわしたいという苦心の賜物です。
 最近は文部省の訓令もあってめったにそんな書き方をする人はいませんが、以前は「ボオドレエル」「モオツアルト」「シヨオペンハウエル」なんていうふうに書く文学者がたくさんいました。「ー」みたいな字じゃないものを使うのはヘンだ、という考え方の人が多かったんです。
 それに考えてみればおかしな話で、「ボールペン」の「ボー」と「凶暴」の「暴」と「遊ぼう」の「ぼう」はみんな同じ音なのに、ボールペンだけ仲間はずれになっています。ちなみに「ボールペン」は外来語、「凶暴」は千年以上むかしに中国から日本にやってきた外来語の大先輩、「遊ぼう」は日本にむかしからある言葉ですから、「遊ぼう」と「ボールペン」がちがうのはともかく、「ボールペン」と「凶暴」がいっしょでないのはどこかヘンといえばヘンですよね。それに現代仮名遣いは「同じ音を同じ表記で(ひとつの音をひとつの表記で)」というのが原則で、そのために「思ひ」と「くらゐ」と「わいわい」を全部「い」にしちゃったんですから、その原則からいえば「ボールペン」は矛盾している。
 このように文部省の取決めというのはかなりあいまいで(現代仮名遣いも含めて)、できた当初から不評でした。今でも批判はたくさんあります。外来語の長音についてもそうで、たとえば「ー」を使う使わないの問題、それからボーリング(穴掘り)、ボウリング(ピンを倒す)のように日本語では同じ音にしか発音できないものを英語での音の違いを忠実に表現しようとして表記を違えておくといった問題など、実際にはそれに従わない人もたくさんいます。かなり数は減ってきましたがやはりボードレールは「ボオドレエル」と書かないと感じが出ないという人も根強くいます。
 ですから質問に対するお答えとしては、文部省が定めた外来語表記の指針に基づけば「ボールペン」が正しい、しかし日本語の伝統と歴史から見れば「ボオルペン」も間違いではなく、むしろそちらのほうが由緒の古い表記である、ということになります。文部省の指針はあくまで訓令であって、法律のように強制力を持つものではありませんから、どう書くかは個人の自由です。小学校で「ボールペンと書きましょう」と習ったかもしれませんが、それはあくまで文部省に遠慮して先生がそういっていたと考えるべきでしょう。「ボオルペン」も間違いではありません。あとはあなたのセンスおよび、二千年の歴史を持つ日本語と文部省が急ごしらえした指針とではどちらに信用がおけるか、という問題になります。
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この回答へのお礼

詳しい説明、ありがとうございます。
確かに、中国からきたことばも外来語ですよね!
目からウロコ でした。
外来語をカタカナで書く場合、たしかに、うちの祖父などは「ボオルペン」のような書き方をしますし、外来語ではなくても(たとえば「オヂイサン」というような)、日常使われるような表記ではなく昔ながらの書き方をしますね。

今回、私が疑問に思ったのは、カタカナで表記するものをひらがなで表記するときなのですが、こういうときはどうなのでしょうか?

通常、このような使い方はしませんが、小学1年生の国語の問題には「つぎのひらがなをカタカナになおしなさい」といった問いでよく出題されるんです。

私が出題者であったとするなら、「ぼおるぺん」と出題するべきか、「ぼーるぺん」と出題するべきか迷ってしまったのです。

ああ、日本語って難しい。。。

お礼日時:2004/10/22 12:45

文化庁が外来語の表記方法について基準を定めています。

下記のURLから左のフレームにある「外来語の表記」を開いて、「留意事項その2」の(3)を参照すればくわしく分かります。

参考URL:http://www.bunka.go.jp/kokugo/frame.asp?tm=20041 …
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この回答へのお礼

すみません。すぐにお礼を書いたのですが、
最後の「お礼をする」ボタンを押し忘れたみたいです。。。

さっそくのご返答ありがとうございました。
すぐにURLひらいてみました。こういうページがあるんですね。
とても勉強になりました。

外来語をカタカナに表記することに関しては分かったのですが、カタカナをひらがなで表記する場合のきまり、といったものはあるのでしょうか?

通常「カタカナ→ひらがな」といった使い方をすることは ほとんどないですから(たとえば「エアコン」を「えあこん」など)、特にそれを想定したようなきまりはないのかもしれませんね。。。

お礼日時:2004/10/22 12:51

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