
国産(?)三菱リージョナルジェット MRJについて
主婦にもわかりやすく教えていただけると嬉しいのですが…
先日クロ現の特集を観ました。
結局MRJは現時点で国の税金をどれくらい投入されたのでしょうか?
また、回収の見込みは今後どれくらいのスパンでどの程度を予定しているのでしょうか?
予定(受注見込みなど)を示してもらわないと、一国民として見ていて不安になってしまいます。
わからないとしても、むやみに進んでいるわけではないと思うので。
外国人を登用してから進展があるというニュアンスの放送でした。
日本人スタッフの帰宅もいままでより早くなったそうで
以前は鬱などでやめる人がいたと聞いているので少しは現場の環境もよくなったのかなぁと
思っていますが…
なにしろ、巨額の税金ですので注視していきたいと思っています。
飛んだらかっこいいだろうなぁとワクワクしていましたが
少し悲しいです。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
>本当にお詳しいのですね。
YSは設計者側も操縦者側(民間)のお話も聞いたことがあります。もう、別の機体なんじゃないかというぐらい別の評価でしたね。操縦者側(政府)、操縦者側(自衛隊)のお話を聞いてみたこともありますが、「自分達はそういう立場にないので」と語ってもらえなかったです。残念です。
全く別の話、自衛隊で採用された64式小銃については設計者側も使用者側(陸自、警察、海保)、同業他社、海外サプライ代理店に聞いたことがあります。これについては語らぬ方が良いですね。ジェーン年間執筆者(当時)に聞いたこともありますが「TPOをわきまえて下さい」といった趣旨のことをやんわりと言われました。立場上、いえないですからね。
ということで、私が書いているのは、ほとんどが請け売りです。実際に構造設計の追試とか空力特性の体感をしたわけではありません。聞いた話と物理特性を考えて、「あぁ、なるほど」と悦に入っている自己満足です。実際にMRJを飛ばしたり、飛行特性やら空洞試験結果を見て言っている訳ではありません。そういった観点では申し訳なく思っています。
幾ばくかの民間航空機のシミレータ(これ、国交省に技能試験では実機扱いです)とか、小型の航空機(操縦士の監督下とはいえ、私の技量では違法です)、ある軍用機(操縦士の監督下とはいえ、日米安保協定を勘案しても多分違法です)を操縦したことがありますが、人伝の話とか経理諸表の話を経験もなく分かったように書いているのは、実は心苦しいものがあると思っています。
とても誠実なお方ですね。
こちらとしては何もわからないので、詳しいお方がそういった情報を
教えていただけることはとても有難いです。
興味がある方の情報収集能力は優れていると思っています。
スペシャリストの話も幅広く客観的に語ってくださる方のお話も
一般人には必要なので。
実際に現場の頭脳ともいえる方のお話も聞いたことがあるのですが
ここにはかけないことばかりで
なんだかなぁとモヤモヤがあったので今回質問させていただきました。
あなた様のおかげで
わたしの感じていることがすこしづつクリアになってきました。
何れにせよ責任の所在は今回もまたバラバラで誰もわからないということなのですよね。
夢を乗せるなら、〇リエモン(民間)に任せた方がいいのかも(笑)と
思ってしまいました。
No.6
- 回答日時:
>>ノウハウを政府の金で蓄えたというだけのことで終わります。
>この国策は残念過ぎる…と思わざるを得ないのですが
>ノウハウはその時点でのノウハウなので、今後大きく変わってくると
>その価値も目減り、若しくはゼロに近いものになったりはしないのでしょうか。
どれぐらいで陳腐化するかという外部要因依存ですね。
一例を挙げるとYS-11のときにもウィングレットは検討されていました。空力的には効果があると分かっていたのですが、全日空からの出向者の「そんな翼端に団扇をつけたような飛行機、売りにいけないよ」で没になりました。何十年も先行していたんですけどね。これはノウハウをゼロにするまで放置した例です。
主翼の上反角を取るのも大分画期的だったかもしれません。楔を入れちまえばいいって奴ですね。
禁止されていた航空機技術研究の期間で、スプリングタブが想像の範囲外になってしまったのは仕方無いでしょう。
航空機開発の下地が日本にあったとしても軍用機と民間機は全く違いますから、機体を沖止めして掩体壕に入れないなんてのは堀越さんや土井さんどころか、東条さん以下の技術者にも吃驚だったことでしょう。
>働く人たちのモチベーションがそんなに高くなく(学歴は高いけど)
>会社に行きたがらなかったり、鬱になったり,休職したり…そんなことを聞くと
>この結果は当然だよね、荷が重すぎると思ってしまいます。
B5、B6、B7、B8の下請というか部品製造を通じて日本もノウハウを蓄えてきました。でも、それは三菱のことじゃありません。三菱もサプライヤのひとつです。それを航空機開発ゼネコンとして、急に他社をとりまとめることになった訳です。機体、主翼、降着装置、尾翼、アビオニクス等、ゼネコンは全部の分野で圧倒的である必要はないのですが、組み合わせ技術と調整能力は求められます。それこそがボーイングやエアバスの位置付けなのですが、下請が宣言したから元請、という訳にはいかないのが航空機設計です。皆までは言いませんが、そんなに簡単じゃないんです。単なる航空工学に過ぎませんから下請でも設計能力はあります。部品を組み合わせて性能緒元特性を安定させる、その能力は日本の航空業界では未知数です。YSでは少数の天才が強引に微調整で辻褄あわせしました。理由や理論で全部解明できている訳ではありません。凡百の秀才なんか不要で、センスのある天才が何人か必要という世界です。
更に必要なのは、優れたアーキテクト、初期段階で口出ししてシリーズの拡大に寄与する人、優れた営業、過ぎれた整備設計ができる人などの別の天才です。
>いずれにしても、これだけの税金を使っておいて、誰も責任を取らずに
>国民だけが損をするということになると
>年金問題などあるなか主婦としては腑に落ちないのです。
天才を維持するのは難しいです。その産業をある程度の規模で維持しなければなりませんからね。実際のとこ、天才を維持するのは金より環境です。あとは凡百の技術者を鍛えること、それができていないからMRJは失敗しました。輸送機、対潜哨戒機、潜水艦、巡洋艦は今のところ維持できていますけどね。
>私は主婦でもありフリーランスでもあるので
>「できませんでした、でも、”大金”はもらいます」っていう
>感覚に違和感があります。
ITゼネコンなんか常にこれですよ。I○Mとか○立とか富士○とかN○Cとか。単なる高給作業員なんでしょうね。そして、こういう輩や関係企業が数多く航空機開発に関係しています。そういえば、住友精密でしたっけ? 手抜きがバレて指摘されたら降着装置から撤退ですってね。機関銃データの偽装がバレて居直った住友重工といい、売国者が群れ過ぎです。航空機開発ゼネコンはこういう輩をまとめて尻を叩く訳なんですが、航空機版の空飛ぶタイヤにならなきゃいいなと心配しています。
お礼が遅くなりまして申し訳ございません。
普通に読み物として面白く読み応えがあり、正直ここだけなのが
もったいないくらいです。
本当にお詳しいのですね。
わからないこともあったので、調べてみようと思います。
これだけこの業界に明るい方が失敗とおっしゃるのだからそうなんだと思います。
わたしは近くに関わるものがいるので、とても期待していて
どこかで諦めたくなかったんだと思いました。
でも、あなた様のおかげで吹っ切れました。
どの業界でも一部の天才が引っ張るし、その天才を生かしきれないのも
この国だよなぁ、とも思います。
また、教育の仕方か国民性か、決められたことやコツコツモノづくりは
得意なのに、ひらめきは弱いんだなぁなんて思ってしまいます。
No.5
- 回答日時:
>結局MRJは現時点で国の税金をどれくらい投入されたのでしょうか?
そう、それが不透明なのです。明確なのは500億円ですが、その後、日本政策投資銀行の1000億円融資を経由して流れ込んでいます。多分、600億まではいってないと思いたいところで、私自身の想像(根拠無し+希望的観測)では550億円を少し下回るところじゃないかと思っています。政府からの借入金となると1500億円超でしょう。完全な債務超過ですから戻ってきません。事業が成功しても、三菱航空機はノウハウを政府の金で蓄えたというだけのことで終わります。
>また、回収の見込みは今後どれくらいのスパンでどの程度を予定しているのでしょうか?
年初で開発コスト5000億円、採算ラインは1500機とか言っていました。2月でコストが6000億円になってます。これからローンチカスタマへの納入期限に伴い、膿を出さなければならないので(=隠していたことを言う)、納入できたときには開発コストは1兆円近くに膨れ上がるんじゃないかなと思ってます。こうなると採算コストは3000機、そんなの受注してないし、受注できる可能性もない、そもそも今後20年の世界需要が8000と言っているなか、需要が急拡大するかMRJに異常な発注がこない限り、無理なのです。当然ながら、採算が取れるまでは赤です。よって30年間以上赤字を垂れ流し、その後に売れればその分だけは社員の人件費とかに貢献するかもしれない、という状況です。そんなレベルの子供の教育投資、普通の感覚をもっていればしませんよ。
そもそも国産化率が下がっていて、収益率は下降気味です。国産化率を上げるには、経験も技術も信用も不足しています。改善可能箇所はどんどん減っています。というより、傍目で見ていて感じますが、2016年ぐらいでローンチできなかった時点で、このプロダクトは終わりました。早くボーイング・エンブラエル連合に売却すべきです。そのためには身を綺麗にすべく、政府系借款は諦め、重工、商事、銀行は潰れる寸前まで補填して、他の出資者にも相応に泣いて頂くしかありません。既に撤退状態でなければならないのに、未だに進軍しています。○違い沙汰としか思えません。
大変為になるご丁寧な回答に感謝いたします。
そしてとても面白く拝読しました。
>ノウハウを政府の金で蓄えたというだけのことで終わります。
この国策は残念過ぎる…と思わざるを得ないのですが
ノウハウはその時点でのノウハウなので、今後大きく変わってくると
その価値も目減り、若しくはゼロに近いものになったりはしないのでしょうか。
いずれにしても、これだけの税金を使っておいて、誰も責任を取らずに
国民だけが損をするということになると
年金問題などあるなか主婦としては腑に落ちないのです。
…あまりここで詳しく書けないのですが
働く人たちのモチベーションがそんなに高くなく(学歴は高いけど)
会社に行きたがらなかったり、鬱になったり,休職したり…そんなことを聞くと
この結果は当然だよね、荷が重すぎると思ってしまいます。
外国人が入ってからは負担が軽減されたようですが、
しかし、彼らは高給取りですからね…
私は主婦でもありフリーランスでもあるので
「できませんでした、でも、”大金”はもらいます」っていう
感覚に違和感があります。
>国産化率を上げるには、経験も技術も信用も不足しています。
まさしくおっしゃる通りですね。
いたるところでそう感じることがあります。
世界と戦うことを前提にするなら、しかもスピードが必要なのに
最初から国産化にこだわっていたところがよくわかりません。
(もちろん国産でできれば純日本人の私は嬉しいですが)
わたしも○違い沙汰としか思えません。
No.4
- 回答日時:
>結局MRJは現時点で国の税金をどれくらい投入されたのでしょうか?
様々な資料で見る限り500億円程度でしょう。
>回収の見込みは今後どれくらいのスパンでどの程度を予定しているのでしょうか?
かつて損益分岐点は750機ほどと言われましたが、各種部品の技術革新によるコスト削減が出来れば
400機程度でも可能という見方もありますが定かではありません。現状で仮契約を含め契約数が400機ほどですので
これからいつどの程度受注できるかというのは、はっきり言って全くわかりません。
意気込みだけで言うと、1000機の受注を目指しているようではありますが、度重なる納期の延期もあって
ここ2年間は受注0という厳しい現状です。
>むやみに進んでいるわけではないと思うので。
これに関してはまず日本が旅客機を作るべきなのかどうかから始まります。
戦前、戦時中、日本は世界最高レベルの航空機を製造してきました。ゼロ戦、紫電改、疾風、二式大艇等々。
かつての栄光よ再びという夢がまずありきです。絶対に儲かるからやろうというプロジェクトではありません。
ハイリスクではありますが技術のすそ野が非常に広いので、その恩典は幅広い産業にもたらされるであろうという
希望的観測も含まれます。
その第一弾がかつてのYS-11です。これは結果で言うと大赤字に終わりました。
いろいろと問題はありましたが、一番大きかったのは為替レートです。計画当初は1ドル=360円であったものが
計画終了時には1ドル=300円ほどにまでなりました。これだけ円が高くなりましたが、海外に提示した価格はドル建てですので
日本からすると2割近く値引きして売るのに似ています。もちろん、他にもいろいろあって、約180機で製造打ち切りとなりました。
>外国人を登用してから進展があるというニュアンスの放送でした。
やはり旅客機設計経験のあるスタッフは不可欠です。当初はこだわったかどうかまでは不明ですが、日本人技術者だけで
手探りの部分が多く見られ、それが裏目に出るケースも多くありました。度重なる納期延期があり、その反省からそれまでは
アドバイザーにとどまっていた外国人技術者を採用したわけですね。その点、現在成功裏に進んでいるホンダジェットの方は
当初から積極的に工場のある米国で外国人技術者を採用しています。
>国が後押ししたものよりも
>民間だけの力で進めたプロジェクトの方が強かったりしませんか?
これはモノによります。旅客機のように重厚長大産業は助走段階では一企業には余りに荷が重すぎます。
経営上の安全ばかり考えると、日本の大企業といえども参入はできなくなります。
MRJの当初の開発費は1500億程度と考えられていましたが、既に3000億円以上に膨らんでいると言われています。
この金額は三菱航空機製造の親会社である三菱重工にとっても屋台骨を揺るがしかねない大きな金額です。
参考までに言うと、ホンダジェットは1機6億円程度ですが、MRJは1機50億円はします。
しかも好調と言われるホンダジェットも、今のところ営業は赤字続きです。
これにしても儲かるから始めたのではなく、ホンダの創始者である本田宗一郎氏の夢であったからだそうです。
日本は戦後7年間もアメリカから航空機製造を禁止され、その間多くの航空機技術者が主に自動車産業の方に
散って行きました。そのおかげで日本の自動車産業が発展したわけではありますが。この7年間の空白は航空機産業からすると
痛手はとても大きいです。YS-11の頃はまだゼロ戦の設計者である堀越二郎氏をはじめとする技術者が健在で、そういった経験者が
多く参画しましたが、MRJには経験者がいませんでした。
まぁ、前途多難ではありますが、問題を一つ一つ解決し良い方向に行く以外ありません。
今のところMRJは「これ以上の延期はない」と社長が宣言し、現状その方向で進展しています。
うまくゆくことを祈るばかりです。
詳しく教えてくださりありがとうございます。
ビジュアルが浮かぶようでした。
始めたからにはやるしかないのですね。
>かつての栄光よ再びという夢がまずありきです。絶対に儲かるからやろうという
>プロジェクトではありません。
戦後GHQに禁止され、当時かかわってきた方々は悔しい思いをしたことでしょう…
それを考えると胸が痛みますが
現在の設計スタッフなどにその当時のような意気込みを求めても難しいような
気がしているのです。
三菱重工は大企業です。そしてスタッフはサラリーマンですよね。
(サラリーマンがダメということではありませんが、
大企業にはいるいい大学の人がメインで作るわけですよね…)
根性論ではないことも重々承知です。
(現場に耐えられず、退職する正社員スタッフもいると聞きます。)
ただ、個々の力というものの根底が変わってきているからには
何かしら補うものを考えていかないと、共倒れになりそうで怖いです。
>旅客機のように重厚長大産業は助走段階では一企業には余りに荷が重すぎます。
そうですよね。口出しするところを限定するとか…?
ホンダジェットにも期待しています。
ホンダジェットの赤字はホンダの赤字ですし
そこに夢をのせても応援したいです。
国外のライバル社のほうが安全性が低いということなのでしょうか。
No.3
- 回答日時:
確かにそれは言えると思います。
政府は良く民活などと言っていますが国が旗揚げしたプロジェクトより遥かに民間企業のプロジェクトの方が壮大でしかも行動が速い為成功するのも国より民間企業の
方が多いですから。
その一因として民間企業は国の様な自主規制や慣例と言った仕事を邪魔するだけの間違った考え方に
よると思います。国が始めたプロジェクトでも民間企業が引き継ぐと全然スピードが違いますからね。
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