No.6ベストアンサー
- 回答日時:
ワタシ、おクルマの研究者ですが、車両運動性能に於いてまだ欧州車と日本車の差が大きかった'80年代末頃の数年間、メルセデス、ポルシェ、VW、オペルなど(BMWは入ってません。ってか、BMWは事前評価で研究対象から落としました)の高速操縦安定性の謎を解明する研究をやりました。
奇しくも日産が、あの有名な901作戦(『1990年にハンドリングで世界一になる』という開発目標)を掲げていた同じ時代です。相棒の研究者と2人で、総額¥1億ぐらいの研究費を使い、240km/h出せる4台の実験試作車を作り(このクルマの設計は楽しかった・・・)、比較検討車をとっかえひっかえ購入し、テストコースを何百周も走りました。この研究は、ワタシの『青春の思い出』みたいなものですね~。
さて。
>どのようなメカニズムでアウトバーンなどの高速走行で安定性を保っていたのでしょうか?
・・・全部述べたら本になってしまうほどのボリュームになります。
っというわけで、とりあえず『工夫しているところ』だけ並べてみましょう。そういう工夫で何故直進性がよくなるか?は、考えてみてください。
※高速直進性がよい様に感じる要素は、極論すると『外乱に対し鈍感なクルマ』だということです。
’80年末頃、最も優れた高速直進性を持っていたのは実はメルセデスでもVWでもなく、オペルの巨大なモデル、オメガとセネターでしたが、コイツらは操舵に対する鈍さも特級品で(操舵入力もクルマ側から見ると『外乱』の一つです)、直進性と操縦性は、ある種のトレードオフの関係となっていたと言えます。(完全にトレードオフとはならないのは、相反する要素と相乗する要素があるからです。クルマを作る上ではその見極めが重要なんですが、まぁそれはここでは関係ないということで。)
※高速直進性を向上させるのは、
①各輪の高いトー角保持剛性
②直進性に適したサスペンション・ジオメトリ(アライメント変化、ロール軸の高さ及び傾斜角と、それに伴うロール剛性、ピッチ剛性など)
③横風に対する空力中心の位置
④それに、ドライバーの位置(正確にはドライバーの『頭部の位置』)
・・・などが直進性の良/不良に影響しています。
①の場合は車体剛性、②はよく考えられたサスペンション・ジオメトリ、③は偏ヨー角を考慮した空力特性、④はドライバが比較的後方に座るパッケージング・・・っという点に、日本車とは違う工夫が見られました。
例えば②でも③でも、どちらか一方だけでも詳しく解説するとここの回答規定である4000文字ぐらいすぐに埋まってしまいますが・・・長くなるので話を先に進めましょう。
※サスペンションのばねについて。
一連のドイツ車のばねは、それほど固いワケではありません。
ばねの固さは、ワタシはばね上共振周波数という数値で比較していましたが、ドイツ車の多くが、計算上はばね上共振周波数を1.2Hz 強の辺りに合わせてありました。これは日本車やアメ車と、概ね同じ傾向です。
実際、例えばメルセデスは、高速道路のインターチェンジやジャンクションなどにある大きなカーブをグイグイ回っていると、意外に大きくロールしますよね?これは、ばねやスタビライザがそれほど硬くないからです。
※ダンパ(ショックアブソーバ)は?
一方、ダンパのセッティングにはドイツ車特有の傾向があり、これが結果的に固い乗り味を演出する一部となっており、『ドイツ車はばねが硬い』っというイメージにつながっていたと言えそうです。
具体的に言うと、ロール運動をヨーのダンピングに連動させる様にダンパがセッティングされているわけですが・・・まぁ、言ってる意味、判りませんよね?簡単に言うと『適正な固さのばねに対して、ショックアブソーバは結構固め』ということです。
現在の日本車でも、このダンパとばねの組み合わせによるセッティングはなかなか実現されていませんが、これには重大なデメリットがあり、日本車では採用し難いという事もあります。
高速直進安定性が優先され、操舵に対する応答や動き量がイマイチのドイツ車が、ハンドルを切ると『心地よいハンドリング』に感じるのは、このロールとヨーの連動がカギだと言えます。
※操舵系のチューニングも、当時の日本車には無かったものです。
具体的には・・・・パワステのアシスト量の絶対値が日本車よりも少ないのは確かですが、ただヤミクモに重いという事ではなく、保舵力よりも操舵力を重視したセッティングでした。
これが『ハンドルが重い』という印象につながっていましたが、同時にハンドルの座り感をよくする効果があります。
こういう操舵系のセッティングではヒステリシス(時刻歴)が大きくなる様に設定する必要がありますが、ヒスが大き過ぎると微小舵角が曖昧になります。実際、メルセデスとオペルには、微小舵角で何かスッキリしない手応え感が残っていました。
これ、いわゆるスポーティなハンドル手応え感(=軽くスパッと切れ、しかしキックバックが明確で前輪のグリップ状況を明確に伝える)とは真逆なんですね。『軽い』『なめらか』を狙う日本車では、やはり採用が難しいセッティングです。
・・・・以上、サラッと話す、にしては長くなりましたが、概ねこれらが『アウトバーンなどの高速走行で安定性を保っていた』理由です。
さて、ところで。
>トラクションコントロールや電子制御の無かった時代のドイツ車はどのようなメカニズムで・・・
実際に車両の制御状況をモニタリングすれば判りますが、直進時は殆んど制御が働いていませんよ。車両運動に制御が介在するには、各輪のスリップ率の変化勾配やそれの前後左右輪での比較、車両のヨーイングや前後・横加速度、ハンドルの操舵角や角加速度、車速などの発動条件があり、例えリミッター限界の250km/h(ポルシェの全モデルとメルセデス、BMW、アウディの特殊なモデルを除き、ドイツ車には業界自主規制で250km/hリミッターが装着されています)まで出しても、フツーに真っ直ぐ走行している限り制御は行われていません。
ドイツ車に限らず日本車でもイタ車でも、高速直進安定性は制御の巧妙さでは無く、『そのクルマの基本性能』で得られる様に設計されています。
ありがとうございます。ロールをヨーにダンピングするようにダンパーが設定されているというところ興味深いですね。
スポーツドライビングでの荷重移動によるコーナリングですね。ハンドルを切らなくてもハンドル操作はロールを発生させるキッカケに過ぎず、ロールがヨーにダンパー経由で変わればスピードは落とさなくて良いし、ロールせずに挙動を乱さず鼻先に向きが変わってくれる。ハンドルは重くて良い。
凄い!だからドイツ車のデザインがセダンでも亀臭くなくて綺麗なんですよ。バランス取れててそれも安定走行、挙動を乱さず走れるポイント。
バランスが常に4輪に、しかもロールしないから無駄にスピードを落とさなくて良い。ピッチも少ないからカーブでも2輪に平均してしっかり重心が乗ってる。更に綺麗に曲がれる。無駄なく乱さず安全に安定して。
200km/h以上の高速走行時のヨー、ピッチ、ロールのバランスの取り方ってどうしてたんでしょうか?ヨーやロールやピッチが起こりにくい工夫はやっぱりダンパー設定なんでしょうか?
逆にヨーやロール、ピッチをどうにかして逃がさないと挙動が乱れて危ないと思うんですが。200km/hで少し荒れた路面になった時とか......。
No.9
- 回答日時:
先ず、ドイツ車は例え昔のモデルでも日本車に比べてサスペンションのキャパシティが全然違います。
車に対してオーバークオリティな位のサスペンションを装備しています。
それからサスペンションジオメトリーも高速に向いたセッティングをしています。
それと、何と言っても大事なのはブレーキです。特にポルシェなどを見れば分かりますが国産車とは
比較に成らない性能のブレーキが装備されています。
強固なボディ+キャパシティの大きいサス+強力なブレーキがドイツ車の基本でそれは今でも矢張り
そうです。
現代のドイツ車、例えばポルシェ911ターボのフロントブレーキは日本の4tトラックに劣らない位の
サイズで、尚且つ性能は4tトラックに付いているモノよりずっと上です。
ありがとうございます。サスペンションのキャパシティなんですね。トラクションコントロールや後輪の舵角とか電子制御じゃ無しに。まずは足腰しっかり鍛えるのが基本なんですね。VWでも海外の120km/h走行で全然安心感が違いました。静けさも。VWは価格帯性能比が良いから買った方が良いと言われたこともあります。燃費やデザインじゃなくて。
単に衝突安全性が良いとか重いとか鉄板が分厚いとかじゃ無しに足腰の鍛え方が違うんですね。
No.8
- 回答日時:
よくはわかりませんが、
ボディ剛性と、車重のバランスかと思います。
ドイツ車とかって、子供のころとかに乗ったりした時に「ドアが厚いなあ~」 とか
そんな感想だったと思います。
国産車とかでもスポーツカーとかのドアパネルは、2ドアだと長くデカくて重たい
感じで、閉める時にドンと重厚な音がします。
一般的な国産車ですと、サイドドアビーム? でしたかドアの内部の補強バー
を減らしていたりするので、ドアが薄くて軽い特徴があったと思います。
日本は世界一信号機の数が多いと言われ、市街地では、ストップ&ゴーを繰り返す。
この為走行距離数が、5万kmで多走行車と呼ばれます。
アメリカですと、10万マイルで多走行車ですので、16万km程度ですので、日本の車
の方が3倍寿命が短い感じもあります。
そんな感じですと、車重をまず軽くしないと燃費性能のカタログデーターに直撃します
ので、売れない可能性も出てきますので、かなり軽さを意識して造っていたと思います。
日本車は、たぶん時速50km/h台とかで田舎道を道なりにただまっすぐに走っている
時に、良い燃費となるようなセッティングを意識してあると思います。
一方ドイツのアウトバーンは、200km/hくらいで走った時の快適さみたいなものに
フォーカスして造られていると思います。
メルチェデスとかは、かなり車重重たいので、「高速道路を高速で巡行している時の
安定感」 みたいな為に重たさとか頑丈さを意識してある。
高速走行時に100km/h とかでガードレールなどの停止したモノに追突したりしますと
よく死んじゃうという言い方をされています。
イメージとしては、時速150km/h とかで巡行する際あたりで、使いやすい程度の重さや
ボディ剛性となっている感じで、そこが燃費とか意識した造りとは違っている。
雨の降る日に、日本の高速道路で、デカい4ドアのメルチェデスとかが150km/hとかで
巡航していたりします。
一方、日本車のスポーツカーとかは、そこまで車重が重たくは造られていないので、晴れた
日に150km/hとかで巡行するのは楽勝でも、ザンザン降りの高速道路では、ハイドロ
プレーニング現象で速度が出せない。
空力の優れたデザインにエアロパーツ装着し、排水性の良いタイヤを装着している場合でも、
唯一、ザンザン降りの雨の量が多い日は、車が嫌がる感じで高速巡行できず、浮いてしまう。
たぶん、メルチェデスとかって、そんな雨の日とかの天候でも、高速で巡行できるくらい
の性能になっているのだと思います。
世界的に見れば、日本に来た外国人が、軽自動車に乗っている日本人を見て、「見て~
あんな小っちゃな車に乗っている変わっているね~」 となったりしますが、あれはあれで
日本の市街地向けというセッティングなので、燃費性能とかあなどれないと思います。
おばちゃんとかは、そもそもその辺の買い物にしか行かないとかで、高速道路で仕事で
移動するとかたぶんないので、ちょうど良い性能に仕上げてあるのかと思います。
マーケティング的なものでは、おばちゃんとかって、たぶん車買う時に、「この車の
燃費ってどのくらいなの?」 みたいな質問して買う車を決める感じで、ハンドリングとか
そういったドイツ人のような高速性能とか気にしていないと思うので、売れ線を造る必要
ではそのようになっただけなのかもしれません。
ドイツは基本性能が高いのかもしれませんが、欧州で売れ線のコンパクトカーは、
ルノーだったと思います。
日本と違い、時間貸し駐車場とか少ない欧州では、道路に縦列駐車したりするので、
小型車の人気が根強い。
その小型車では、「ルノーは、シートが絶妙。腰痛の人が車を運転しても痛くならない」
と、足回りのネコ足とかも評判良い感じです。
腰痛の人が、ドイツ車運転していて、段差とかで、「ギャ~っ」 みたいな悲鳴あげることも
あるでしょうが、真逆のフランス車ルノーは、絶賛されて売れていたりしますので、ボディ剛性や
サスペンション固めとかも嫌な人はいるのかと思います。
ありがとうございます。重量バランスですよね。VWの中級車?SAGITARってたぶん日本の中型セダンクラスだと思うんですが、後ろから眺めたときの綺麗さが違いますよね。
日本ではまだ高速道路の最高速度は据え置きですが、将来引き上げられたり直線的に修正されたら日本車のデザインや重量バランスもドイツ車にもっと似てくるんんでしょうね。
No.7
- 回答日時:
>車は放っておいても直進しようとすると聞いたことがあります。
前輪がハの字(いわゆる、内股)になっているから。
>一昔前の前後輪の大きさが違ったフォーミュラカーは直進することすらままならなかったと聞きました。
レーシングカーは ┃┃ にセッティングされているから、
直線でも路面のうねりや風圧の影響を受けるから方向性が定まらない。
でも、回頭性が優先されるので、それで良い(コーナリング速度が高い)のです。
>電子制御の無かった時代
失火さえしなければ高回転で回るから、プラグとディストリビュータがまともなら問題はないかと。
>トラクションコントロール
実際は急カーブが無いのだから、超高速走行においてTRCって必要かなぁ、と思います。
ボディ剛性は違う。
160km/hを超えた時に日本車はボディが呼吸するように膨らんだり凹んだりするが、
ベンツあたりは動かないから。
>そこがドイツ車の基本性能の良さに思えます。
見た目が整っていて、そこそこの装備があって価格が手ごろなのが日本車。
ドイツはA地点からB地点まで安全に高速移動出来ることが最低条件で、大概の装備はオプション。
ありがとうございます。時速160km越えで呼吸するって怖いですね。
VWも安全装備はほとんど全部オプションでした。でも、高速運行中の急ハンドルで尻滑り防止機能が確か標準だったかな.....?
如実に走るだけ。快適装備も日本車が最近付けてる車線変更センサーなんかもつけると1グレード上の車に近い価格になりますね。
ということは、1グレード上なんですね。車格が同じでも.....。
ドイツ車あの重さであの燃費って逆に凄くないかな?とも思います。
No.5
- 回答日時:
No4です。
当時の取扱い車種の大半はフロントサスペンションがシムによるアライメント調整可能なダブルウイッシュボーンタイプでして、また車検のたびに全車フロントアライメントと左右のホイールベースの点検・測定・調整を行っていましたが、欧州車は直進性に影響が大きいキャスター角が2度付近と国産車から比べると多めについていましたね。
また、その後扱ったフィアットとランチアは4輪独立サスでしたが、リヤにはネガティブキャンバーが多めに付いており、またリヤのトーインも当時から調整可能でして、その数値は常識ではタイヤの偏磨耗が心配されるほど直進性やコーナーの安定性を高める方向の数値でした。
4輪の位置決め・サスペンションやステアリング取り付け部の剛性などもしっかりしていたのだと思います。
当時、フィアット本社にアライメントについて質問したことがありましたが、高速道路の直進安定性を重視したセッティングとの回答があったことも記憶しています。
さすが速度制限が無いアウトストラーダや古くからレースがある国の車だなあ~と感心したものです。
No.4
- 回答日時:
70年代、オペル(GM系)のディーラーで整備士をしていました。
オペルは当時からメルセデスやBMW、VWと比べてもより大衆車レベル(レコルトやカデットなど)のメーカーだったと思います。
入庫車は60年代後半からのオペルだけでなくメルセデスやBMWなどもありましたが、共通して記憶しているのはステアリングが重かったということですね。ラック&ピニオンでも重かったです。
パワーアシスト付きでも当時のアメ車や国産車と比べると重くて直進状態からの遊びもなくて・・高速道路でも直進安定性はたいしたものだったと記憶しております。
そのかわり女性ドライバーからは街中での取り回し時にもう少し軽くならないか?とはよく言われたものですが・・・。
それと足回りが硬めだったこと、また、タイヤは当時から小型車レベル(オペルのカデットやマンタ)でも175~185/70あたりのラジアル〈ミシュランやコンチなど)が標準だったこともたいしたものでしたね。
やはりアウトバーンでの走行を考えていて、足回り・ステアリング系・ボディーの剛性やタイヤ・ホイールの性能にはかなり気を使っていたのだと思います。
ありがとうございます。車は放っておいても直進しようとすると聞いたことがあります。でも、一昔前の前後輪の大きさが違ったフォーミュラカーは直進することすらままならなかったと聞きました。
パワステを剥ぐと、残っているのは剛性ですが、それだけで直進する車にはならないように思います。ステアリングが重いと言うのはタイヤが言う事を聞かず頑固なまでにしっかり同調して直進回転しようとすると言うことですよね?
トラクションコントロールは4輪の回転を一致させる或いはコーナリング時に左右のバランスを調整していますが、トラクションコントロールを剥いでもタイヤが安定してコーナーでもバランスが良いような車ってどこが違うんでしょうか?
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