
源氏物語「桐壺・光源氏の誕生」について質問です。
源氏物語の授業が終わり、改めて読み直してみたところ少々気にかかることが出来たので、質問させていただきます。
原文「世になく清らなる玉の男皇子さへ生まれたまひぬ。」
現代語訳「世にまたとないほど、気品があって美しい皇子がお生まれになりました。」
という上記の文についてです。
桐壺の更衣は、頼りになる後立てがなく大して高い身分でもなかったのに、帝の寵愛(見ていて痛々しい程)を受けていたため、他の女御・更衣達の反感を買って、嫌われていたのですよね?
ということは、「この『男皇子さへ...』という文章は、桐壺の更衣の度重なる幸福を祝福するものではなく、『何故あの人ばかり...』という、妬みや皮肉が込められているのではないのか?」
と解釈したのですが、ネットのサイトを漁っても、それらしき答えが見つかりません。
前置きが長くなってしまい申し訳ありません。
質問です。
○「男皇子さへ...」という文章には他の女御や更衣達からの皮肉が込められている、という解釈であっていますでしょうか。
もし宜しければ、皆さんの解釈を教えてください。
A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
No.2の方、No3の方がおっしゃるように、この部分は地の文であり、作者が(「桐壺の更衣」以外の)「女御、更衣」の気持を伝えているのではありません。
(物語全体がすべて作者が作り出したものですが)「世になく清らなる玉の男皇子さへ生まれたまひぬ。」の「さえ」は「添加」の意味を表す副助詞で、普段から帝の寵愛を受けているうえに、さらに玉のような美しい男皇子までもお生まれになったので、帝の寵愛が深まるに違いないと言うことを述べている部分です。しかし、作者が他の女御、更衣達の立場を全く無視していたわけではなく、この後しばらくたって、更衣が病にかかってしまったとき、他の女性達の恨みが積もり重なった所為であるのだろうか、と書いています。
No.3
- 回答日時:
残念ですが、そのような意味は皆無でしょう。
不安になっていたり、ねたんでいたりする、そういう人々本人が書いた日記ならばそういった悪意を込めたかもしれませんが…。もしもそういう場合は違う表現を選んでいたでしょう。
でも紫式部は作者です。
そのような感情を込める理由がありません。
物語の始まりとして主人公の誕生を描いた表現だと思います。
特にそれがわかるのは「きよら」という一語が当てられていることです。
質問者さんはおそらく、この単語のニュアンスをまだ完全につかめていないのだと思います。
訳だけでは把握しきれない、その単語を使う時にこめられている感情を理解しないと使いこなせない単語ってありますよね。
きよらはそういう単語です。
きよらはきよげよりも上位の概念で、最上級の美、美というよりも清らかな華やかさがあってそれが気品につながっていて…が美しく感じられる状態を指します。
当時はこの単語は主人公格というか、なんて言ったらいいでしょうか。
たとえば、物語には登場人物に役割がはっきり振られているタイプのものがあるじゃないですか。
古代劇からオペラ、アメコミまで。勧善懲悪ものの映画を見ていると、善良な正義の側はいかにもそれらしい見た目だし、悪役はいかにもな悪党面ですよね。
もちろんそういう見た目を裏切るギャップで攻めてくるキャラもいますが、だいたいは記号で「こいつ怪しい」とかわかるように作られているでしょう。
「きよら」は、そういう単語です。
見た目が美しいだけでなく、中身も充実している・正統派・正しい側・主人公格の側にあてる単語なのです。
源氏物語でもこの後、何度かこの「きよら」「きよげ」が出てきます。
この単語がどういう時に使われるのか理解していると、作者が誰にどういう役割を振っていたのか読めるようになります。
たとえば、光源氏がヘンな中年をこじらせているときには、この「きよら」はきれいに歳を重ねた頭中将にあてられ、光源氏はこの単語から外されています。若いころ二人で青海波を踊ったときとは「どちらのほうが人として美しい生きざまであるか」が逆転していることが読み取れます。
そういうニュアンスにまで注目すると、ご質問の一文自体に暗いニュアンスは皆無だとわかるようになるかと思います。
No.2
- 回答日時:
「前の世にも、御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男皇子さへ生まれたまひぬ。
」という箇所は、地の文、つまり物語の語り手視点の文章です。ですから、桐壺更衣を妬む周囲からの視点ではなく、皮肉などもこめられていません。この文章のポイントは、「前の世にも、御契りや深かりけむ」とあるように、桐壺帝と桐壺更衣の仲が、前世からの縁であったと思わせるほどのものであることを述べているところです。
天皇には、女御以外にも、多くの妃がいます。ですが、いくら寵愛を受けていても、天皇との間に子供が生まれなければ、その地位は弱いものとなります。妃としての地位を確固たるものにするには、天皇の子供を産む、それも皇子を、というのが当時の常識です。桐壺更衣も、帝にいくら愛されても、子供を授からない可能性だってあったのです。
それが、身分の高くない桐壺更衣に、天皇との子供、しかも皇子が生まれるというのは、前世からの運命的な縁があったからこそだろう、という表現です。
しかもただの赤ん坊ではなく、生まれたときから、誰もがほれぼれするような美しい皇子です。
その直後に続く内容のように、既に皇太子となることが間違いない第一皇子がいるにもかかわらず、その皇子よりも素晴らしく、それゆえに桐壺帝が溺愛……とその素質ゆえに、光君が皇子のままでいて皇位継承争いに巻き込まれるよりも、源氏を与えて臣籍に降らせたほうがよい、と帝が判断することにもなるのです。
桐壺帝と桐壺更衣との運命的な縁によって生まれた子が、素晴らしい皇子だったからこそ、「源氏」となる光君の波瀾万丈の人生が運命づけられるわけです。
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