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Wikiによれば
<ラウールの法則(ラウールのほうそく、英: Raoult's law)とは、
「混合溶液の各成分の蒸気圧はそれぞれの純液体の蒸気圧と混合溶液
中のモル分率の積で表される」>・・・
<ラウールの法則は十分に希薄な溶液について成り立つ。任意のモル分率
にてラウールの法則が成立する溶液を理想溶液という。理想溶液では各
成分は互いに異なる分子間力を及ぼさない。>だそうです。
言っている事は、例えば溶質分子Xと溶媒分子Yが混合された溶液では
それぞれがあたかも独立であるかのように振舞い、それが観察される現象
としての蒸気圧はそれぞれの分子数(分率)だけに依存すると云う事です。
しかしこれだけでは何の事か解りません。理想溶液とは?から始めましょう。
理想溶液は、理想気体の混合のアナロジーとして構成された理想的な
挙動をする溶液です。
理想気体では、気体を構成する粒子は大きさが無く質量だけを持つ
質点として扱われ、粒子間に力は働かないとされています。
しかし溶液では粒子の大きさもその間の相互作用も無視できないので、
理想化するために、溶質と溶媒の大きさは同じで、溶質同士、溶媒同士と
溶質・溶媒の間に働く力も同じと仮定します。
この前提から出て来る理想溶液の性質は、溶質と溶媒を混合する際に
体積変化が無く、発熱も吸熱も起こらない事です。
理想溶液の等温等圧過程の自由エネルギG(ギブスの自由エネルギ、
Gibbs free energy)は、エンタルピー H、熱力学温度 T、エントピー
S として
G = H – TS (1)
で定義されます。
溶質と溶媒の混合によるギブスの自由エネルギの変化ΔGは、発熱も
吸熱も起こらない、すなわちΔH = 0であるから、
ΔG = -TΔS (2)
となります。
エントロピー変化ΔSはボルツマンの式
S = k*lnW (3)
ここにWは状態数でkはボルツマン定数、で表されます。
(lnは自然対数を表します。)
今、Nx個の溶質分子XとNy個の溶媒分子Yの混合を考えます。
混合前の溶質分子Xと溶媒分子Yの配置方法Wはそれぞれ1組
だけであるから、混合前のエントロピーSoは
So = k*ln1+k*ln1 = 0
混合後のエントロピーSafterは
Safter = (Nx+Ny)!/(Nx!*Ny!) (4)
となり、ΔS=So-Safterと考えればよくなります。
非常に大きな数 N に対するスターリング(Stirling)の近似公式
lnN!≅ N lnN − N を使うと、
ΔS = k*ln(Nx+Ny)!/(Nx!Ny!)
= k{ln(Nx+Ny)! – lnNx! – lnNy!
= k* {(Nx+Ny)ln(Nx+Ny) – NxlnNx – NylnNy}
ここでNx+ Ny=No (総分子数)と置き、XとY分子の分率Xを
Xx = Nx/No、Xy = Ny/No とし、その後にNoを1モル当りと考えると
ΔS = -k*No( XxlnXx ∔ XxlnNo + XylnXy + XylnNo)
= - RT(XxlnXx + XylnXy) (5)
Xx、Xyは 1 より小さいので、ΔSは正の値を取ります。すなわち、混合により
エントロピーの増加が生じます。
理想溶液の混合の自由エネルギー変化 ΔGは次式で与えられます。
ΔG = R T(XxlnXx + Xyln Xy ) (6)
正則溶液においては、X,Y分子が混合する際に発熱または吸熱が
起こり、混合エンタルピーΔH≠0となります。しかし、溶液中の各分子は相互の
分子間力の差異に打ち勝つだけの熱エネルギをもっており、完全にランダムに
混じり合っている(つまり混合エントロピーの変化ΔSは理想溶液の場合と同じ)と
さます。
Web辞書の説明では
溶質と溶媒との間の凝集力がファン・デル・ワールス力(厳密にはロンドン
分散力)のみの場合、その溶液を正則溶液(せいそくようえき、regular
solution)と呼ぶ。 すなわち、静電相互作用(イオン結合)、会合(水素
結合)、双極子相互作用(分極)等が作用しない溶液が正則溶液となる。
モデル的には、隣接する分子間の力が隣合う対毎に異なり、更に時々刻々変動し
異方性を示し、それが混合エンタルピーΔH≠0となる場合と解釈されます。
以上、コロナ暇なので纏めてみました。
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