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実験で溶液の紫外・可視吸収スペクトルを測定したのですが、
短波長側のベースラインが上がってしまうときがありました。
ネットで調べていたら「光の散乱」が原因だとわかったのですが、
「光の散乱でなぜベースラインが上がるのか」がわかりません。
わかる方いましたら回答よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

光散乱には,レイリー散乱とミー散乱の二種類があります。

レイリー散乱は散乱させる粒子が小さいときの散乱,ミー散乱は光の波長程度に大きいときの散乱で,化学では「チンダル現象」と呼ぶ散乱です。

これらの光散乱の詳細については,光物理の本などで勉強してもらいたいのですが,レイリー散乱の大きさは波長の4乗に反比例し,ミー散乱は波長の1~2乗に反比例します。つまり,どちらも波長が小さくなる程散乱が大きくなります。

例えば,車を運転していて霧が発生し視界が悪くなると,黄色いフォグランプをつけますよね。フォグランプが黄色いのは,波長の短い青色の成分を取り除き,散乱光を少なくする工夫なのです。


> 「光の散乱でなぜベースラインが上がるのか」がわかりません。

ベースラインが上昇したように見える散乱は「ミー散乱」です。仮にスペクトルの測定範囲を 300~900 nm とし,900 nm における透過率が,ミー散乱によって 80% にまで低下していると仮定しましょう。900 nm における吸光度は,

  ABS = -log(0.8) = 0.1

ミー散乱が波長に反比例しているとすると,300 nm における散乱は 60%,透過率は 40%。よって 300 nm における吸光度は,

  ABS = -log(0.4) = 0.4

となります。つまり 900 nm における吸光度 0.1 の点と,300 nm における吸光度 0.4 の点をほぼ直線で結んだスペクトルが,ベースラインとして吸収スペクトル加算されることになります。
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紫外可視スペクトル(分光光度計)では比較対象とサンプルとの吸光度の差をセンサーにとどく光の量として電気的に調べています。

もしサンプルがある波長で散乱を起こすとその波長では比較対象に比べ測定される光の量は、光源から来た光がサンプル中で散乱されるため減ってしまい、吸収が起きたものとして観測されます。そのため本来その波長に吸収が無くてもベースラインが上がってしまいます。
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