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 思いつきの質問なのですが、、、

 いまの科学技術で、(お金のことは考えずに)
最高どれぐらいの速さを出せる、人の乗れる宇宙船を作ることが可能なのかに興味があります。

 そこで、現在の宇宙船の、宇宙空間での加速方法にはどのような方式があるのか、また、どれぐらいの能力があるのかをご存知の方、教えてください。

 くわえて、実現されていない宇宙船の推進技術のアイディア(未来技術)があれば教えてください。

(質問をうまく書くことって難しいですね。わかりにくい質問で申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。)

A 回答 (8件)

>現在の宇宙船の、宇宙空間での加速方法にはどのような方式があるのか、



現在我々が知っている推進原理は作用反作用の法則を利用するものです.
上記ソーラーセイル以外では通常,推進剤を噴射して,
その反作用を推進力とするものです.
いかに推進剤を効率よく速い速度で噴射するか,が推進機の要となります.
推進剤を速い速度まで加速するためのエネルギーとして,
化学反応を用いたり(化学推進),電気を用いたり(電気推進),
レーザーを用いたり(レーザー推進)します.
大別すると,
・化学推進
・非化学推進
の2つになります.

>また、どれぐらいの能力があるのか

推進機はおおまかに言って,「推力」と「比推力」で性能評価されます.
推力は出せる力の大きさ,
比推力は推進剤の持ちの良さと言いますか,そんなパラメータです.
一般に,推力と比推力の両方を同時に大きくすることは非常に困難ですし,限界があります.
両極端にある推進機には,下記のものがあります.
全ての推進機は,大体のところこの両者の間にあると考えて頂いて良いでしょう.

・化学推進
 化学反応のエネルギーを推進力に変えるもの.
 どどどと炎を噴いて上昇するロケットなどです.
 推力はエンジン次第で大きくとれます.
 比推力は最も性能の良い液体酸素-液体水素エンジンで450秒程度です.

・電気推進
 電気の力で推進剤を非常に高速に加速して噴射するもの.
 いま小惑星イトカワを目指している「はやぶさ」のイオンエンジンに代表されます.
 比推力は1000秒から10000秒と大きいのですが,
 推力は数g~数10gと非常に小さいです.

>実現されていない宇宙船の推進技術のアイディア
 (未来技術)があれば教えてください。

レーザー推進のメリットは,エネルギー源を地上におけるので,ロケットが軽く出来る点です.
学会(Beamed Energy Propulsion)では盛んに研究成果が発表されていますが,
しかし大きなレーザー施設が必要,非常に高精度のレーザー追跡技術が必要,などから,
実用化はまだ先です.推力はエンジンとレーザー次第,比推力は1000秒程度です.

核融合エンジンは更に遠い未来の技術です.
核融合を利用して,推進剤4万トンを搭載して,アルファケンタウリを目指す
構想もあります.非常に高い比推力となりますが,推力はそう大きくありません.

以上は,能動的に推進力を得る推進機です.

それ以外には,#1さまおっしゃるように,天体の公転の運動エネルギーをもらって
加速する「スイングバイ」がボイジャーやカッシーニなど,よく使われています.
現在の技術では,ボイジャーが秒速40kmとかの最高の速度を達成しています.

お金のことを考えず,
現行の技術ですぐにも可能なものの中で,
推進装置それ自体で最も速い速度まで加速できるものは,
「ソーラーセイル(太陽帆)」です.
太陽光の圧力を受けて,ほんとーにちょっとずつちょっとずつですが,
継続的に加速できるので,例えば最も速く冥王星に達することが出来ます.
太陽の影響が支配的なヘリオポーズ内であれば,ずっと加速可能であると思います.
ソーラーセイルはかなり研究が進んでいます,厚さ9ミクロンのアルミ蒸着高分子膜の
帆を広げて加速を得る実証ミッションが活発に提案されています.

世界最大の推進系の学会は,アメリカで毎年行われる
Joint Propulsion Conference and Exhibit
ですが,ここでは「ワープ(Warp Drive)」とかも真面目に発表されています.
でもワープはやはり本当に人間が実現できるのか不明です.
でも宇宙や推進機を研究している人達はSFにも造詣が深いですから,
名物にもなっていて,これらのセッションは夜7時からビールやおつまみ片手に
聴講する,名物セッションとなっています.

ポイントを絞って頂けますと,もう少し深くお話することも出来ます.

この回答への補足

能動的な推進の話に限ると、
加速度や最高速度を概算するためには、

推力、比推力、はじめの宇宙船の重量と燃料の重量
が分かれば良い。

ということでよろしいのでしょうか?

補足日時:2005/02/09 12:21
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この回答へのお礼

ご返答いただき、ありがとうございます。

推進機に関する概要や、最近の動向、
学会に関する情報など、幅広く答えていただき
参考になりました。

また、若干、補足していただきたい事項が
ありますので、よろしければお付き合いください。

お礼日時:2005/02/09 12:48

訂正。



>ΔV=9.8 * 300 * ln(1000/400)=約8.3km/s

ΔV=9.8 * 300 * ln(1000/60)=約8.3km/s
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この回答へのお礼

 
この場をかりて、、

私の興味本位の質問に対し
親身に回答してくださった皆様、
ありがとうございました。
 
 

お礼日時:2005/02/09 18:24

#3です。



>推力、比推力、はじめの宇宙船の重量と燃料の重量
が分かれば良い。

その通りです。

比推力Ispの推進機でどれだけ加速できるかは、
下記のロケット方程式で求まる速度増分ΔVで求まります。

ΔV=g×Isp×ln(mi/mf)

gは重力加速度、miは宇宙機の初期質量、mfは終端質量です。
従って、使用した推進剤質量mp=(mi-mf)となります。

例えば、
mi=1000kg
mp=mi-mf=940kg、即ちmf=60kg
Isp=300sec
の小型ロケットを地上から打ち上げることを考えると、
ΔV=9.8 * 300 * ln(1000/400)=約8.3km/s
となり、軌道速度(秒速7.9km/s)を超えているので、
60kgのmfの質量を人工衛星とすることが出来ます。

上記の見積もりは、時間に関しての情報がありません。
そこで推力Fが、そのミッションをどのくらいの期間で実現できるかを表します。
上記の場合、推進剤を使うに伴い軽くなるので、一定の推力ならば
加速度がどんどん大きくなります。

あと#6さまのものは、「テザー」と呼ばれるもので、
重力のアンバランスを利用したり、回転するテザーを捕まえることで運動量を獲得するモメンタムテザー、
テザーの両端に荷電粒子の流入と流出を担う装置をつけたエレクトロダイナミックテザーがあります。
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この回答へのお礼

 
補足のご回答ありがとうございます。

具体例を交えた説明をいただき、
明確に理解することができました。

今回いただいた回答を参考に、
自学研鑽させていただきます。

ありがとうございました。
 

お礼日時:2005/02/09 18:19

#4です。



ロケット、太陽風帆走やパルスロケット、スイングバイ以外の方法がないか考えてみました。

運動量の交換ということからは逃れようがありません。(ワープは加速とは言わないだろう。)

あるとすれば、傾斜を利用する手段です。勿論、これも全体の系の中の重心の移動に過ぎないので運動量の交換には違い有りません。たとえば重力傾斜の利用です。簡単に言えば落下ですね。衛星の軌道変換では実現している手段です。それから磁力傾斜の利用も考えられます。星には磁場がありますから、そこに電気的傾斜をもつ宇宙船を通過させればフレミングの左手の法則により加速が生じます。

宇宙船から長いロープ状のもので繋いだ錘を伸ばすと、宇宙船の位置が移動します。これも加速と言えなくもありません。ただ全体の重心は動きませんけどね。
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この回答へのお礼

補足のご説明、ありがとうございます。
様々なアイディアがあるということがわかり
参考になりました。
また、イメージの浮かぶ説明で、
良く理解することができました。

お礼日時:2005/02/09 12:14

電気ロケット(イオンロケット)が既に実用化されています。



参考URL:http://spaceinfo.jaxa.jp/note/rocket/j/roc14_j.h …
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この回答へのお礼

ご返答ありがとうございました。
参考URLの未来ロケットの種類の分類は、
良く整理されており参考になりました。

お礼日時:2005/02/09 12:03

どのようなロケットエンジンであれ、燃料が全体に占める重量比(構造効率)大きければいくらでも(光速が限界ですが)加速できます。

でも燃料タンクばかりでかくなります。比推力の大きな燃料ほど、大きくする度合いは小さくなります。比推力とは1Nの推力を維持して1kgの燃料で何秒燃焼させることができるかという数値です。

ロケットは重量を後方に噴射する反作用で推進します。スイングバイは逆に惑星に引っ張られることで加速します。いずれにせよ運動量の移動があります。極論を言えばスイングバイをやりすぎると惑星の公転がとまってしまいます。ロケットとスイングバイの関係は丁度逆になります。質量を後方に噴射するか、追い越して行く惑星に引っ張られるかだからです。どちらも重量比が大きいほど加速します。

他には太陽風による帆走です。これも太陽風の質量との運動量の交換であることに違いはありません。これに近いのがパルスロケットです。後方で核爆発を起こして、その反作用で加速します。
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この回答へのお礼

ご返答ありがとうございます。
比推力について理解を深めることができました。
また、「いかにして運動量の交換を行うか」という
視点が重要であるということがわかりました。

お礼日時:2005/02/09 12:00

>現在の宇宙船の、宇宙空間での加速方法にはどのよう


な方式があるのか、また、どれぐらいの能力があるの
かをご存知の方、教えてください。

方式というのかは、わかりませんが、『スイングバイ』が該当すると思います。
『スイングバイ』とは、天体の引力を利用して、宇宙船を加速させる方法です。
下記に参考URLとして載せておきました。
宇宙空間では、等速直線運動をするので、加速した物体のスピードは落ちません。
つまり、『スイングバイ』で加速した宇宙船は減速しないので、『スイングバイ』の回数により速さが増していきます。

人間が乗れるかどうかはわかりませんが(たぶん無理w戻ってこれなくなるから・・・)、現在使われている中で、最も速いスピードが出せる方法だと思います。

参考URL:http://www4.ueda.ne.jp/~guoningqiu/moonformation …
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この回答へのお礼

ご返答ありがとうございます。
「スイングバイ」がどのようなものであるのか
参考になりました。

お礼日時:2005/02/09 11:48

現在実用化されている、化学反応を利用した物以外に


核パルスエンジン、レーザー推進、太陽風を利用した物、恒星や惑星を利用した
フライバイ航法などがあります。
(フライバイ航法は実用化されてます)
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この回答へのお礼

ご返答いただきありがとうございます。
概要を理解する手助けとなりました。

お礼日時:2005/02/09 11:39

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