下記(「前問」と呼びます)の続きです。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12395964.html
前問の例文は「今日は朝から、掃除に洗濯にと忙しく働いた。」でした。質問者は「動作・状態の様子を表す」という回答に納得したようです。
『大辞林』には〈「あふれた水が道路を川―流れる」「貴公子然―すます」〉という用例があるそうです。
それは「動作・状態の様子を表す」の気がします。
しかし、「今日は朝から、掃除に洗濯にと忙しく働いた。」の「ト」と同じなのでしょうか。
前問の例文は、『圭子の夢は夜ひらく』に出てくる「十五、十六、十七と」と同じ気がします。これも「動作・状態の様子を表す」のでしょうか。
並列される名詞に修飾句がついて〈初めて告白してフラれた15歳の春、本気でアタックして相手にされなかった16歳の夏、二股かけられた17の冬と、私の人生暗かった。〉になっても「動作・状態の様子を表す」なのでしょうか。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「と」について
「日本国語大辞典」より引用。
2 (文や句をそのまま受けて)動作・作用・状態の内容を表す。引用の「と」。「正しい―いう結論に達する」
「名をばさかきの造(みやつこ)―なむいひける」〈竹取〉
(ロ)引用を表わす。文あるいは文相当の語句や擬声語を承け、下の動詞(「思う」「言う」「聞く」などの場合が多い)の内容を表わす。→補注(4)(5)。↓
(4)【一】(2)(ロ)の用法を時枝文法では指定の助動詞とする。
(5)【一】(2)(ロ)の用法のうち、意志の助動詞「う」で終わる文を承けた場合や擬声語を承けたある場合、中世には濁音化することがある。「平家・正節‐九・樋口被斬」の「暫の命をも生(いきょ)うど思ふ為なり」、「光広本徒然草‐五三」の「いかがはせんどまどひけり」、これら の場合、「う・ん」は「む」から変化した鼻音であり、擬声語もその最終音節が鼻音であろうと思われる。
*古事記〔712〕下・歌謡「宮人の 足結の小鈴 落ちにき登(ト) 宮人響(とよ)む 里人もゆめ」
*万葉集〔8C後〕一三・三二七〇「ぬばたまの 夜はすがらに 此の床の ひし跡(と)鳴るまで 嘆きつるかも〈作者未詳〉」
*万葉集〔8C後〕二〇・四四四五「鶯の声は過ぎぬ等(ト)思へどもしみにし心なほ恋ひにけり〈大伴家持〉」
*伊勢物語〔10C前〕六「あなやと言ひけれど、神鳴るさわぎにえ聞かざりけり」
*今昔物語集〔1120頃か〕一三・四三「実に聞く人も涙を流して、哀れ也と聞けるに」
(ハ)体言を承けてそれを状態性概念とし、また、擬態語を承けて状態性副詞を構成し、動作概念を修飾する。体言を承けた場合、比喩的修飾となることがある。→補注(6)。↓
(6)【一】(2)(ハ)と(ニ)とはきわめて用法が近く、時枝文法ではいずれも指定の助動詞である。 (ニ)の一用法である「とあり」が指定の助動詞「たり」になることから考えても、このような 「と」に助動詞性のあることは認められる。ただし助詞と助動詞との境界を明らかに引くことは困難である。
*万葉集〔8C後〕二・二〇四「やすみしし 吾が大君 高光る 日の皇子 久方の 天つ宮に 神ながら 神等(ト)いませば〈置始東人〉」
*万葉集〔8C後〕一七・三九〇六「御苑生の百木の梅の散る花し天に飛び上がり雪等(ト)降りけむ〈大伴書持〉」
*古今和歌集〔905~914〕離別・三七九「白雲のこなたかなたに立ちわかれ心を幣と砕く旅かな〈良峯秀崇〉」
*伊勢物語〔10C前〕八三「つれつれといともの悲しくておはしましければ」
*源氏物語〔1001~14頃〕紅葉賀「こまこまとかたらひ聞え給へば」
*初恋〔1889〕〈嵯峨之屋御室〉「一壇高き切株へどっかと腰を打掛て」
*良人の自白〔1904~06〕〈木下尚江〉中・一六・四「涙は滝と流れ落ちた」
コメントありがとうございます。
まず確認です。引用してくださったのは、JK版の日本国語大辞典ですね。コトバンクの精選版とはかなり違うようです。
引用部の最初の数行は『大辞泉』ではありませんか。
当方が読んだ限り、『大辞泉』は「動作・作用・状態の内容を表す」(「動作・状態の様子を表す」とほぼ同義)と「引用」を区別していないようです。日国の説明は……よくわかりません。
長くなるので、リンクにします。
【この「と」は引用の「と」でしょうか。goo 辞書モドキ〈2〉 資料編】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12683240408.html
No.2
- 回答日時:
と
■一■ (格助)
(5)動作・状態の様子を表す。「きっぱり―あきらめる」「ぐらぐら―揺れる」「あふれた水が道路を川―流れる」「貴公子然―すます」「意外―いい出来だ」
【大辞林】
です。
「動作・状態の様子を表す」というのは、格助詞「と」自体の意義ではなく、使用された文での意味で、これをパターン化し区分したものですが、そのようなパターンは文と同じく無限に存在します。これは、語の意義と文での意味を混同したもので、どちらが正しいというものではなく、単なる意味の一事例に過ぎません。
「勝手な文句を並べる」というように、言葉や語には並べるという意識が伴います。この並べるという意識を格助詞「と」が表しています。
並べるという意識がさらに結び付けるという意識に発展し、
そんなこと【と】は知らなかった。
そう【と】決まったら、即実行しよう。
のように使用し、さらに例示された、
十五 十六 十七【と】私の人生 暗かった ♪♪~
のような接続助詞の用法に発展します。
「きっぱり―あきらめる」「ぐらぐら―揺れる」は副詞と被修飾語とを並べたもので、「あふれた水が道路を川―流れる」は、副詞句、副詞節と被修飾語を並べて扱っています。
このように、「と」自体が表すのは並べるという意識・認識であり、並べられた内容により意味が表されるもので、これを語の意義と取り違えるのは誤りです。
No.1 で、<「正しい―いう結論に達する」の用法を時枝文法では指定の助動詞とする。>という説明が挙げられていますが、これは、「正しい■という」の零記号となっている肯定判断(■)を「と」と誤認した時枝の誤りです。
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