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昨日逮捕された堤容疑者の逮捕容疑は、西武鉄道の有価証券報告書へのコクドの同鉄道保有株数の虚偽記載と、上場廃止基準に抵触している重要事実を知りながらこれを取引先企業へ売却したインサイダー取引の2つ。いずれも証取法違反容疑です。しかし私は、なぜ東京地検特捜部は刑法の詐欺罪(246条2項)容疑で逮捕しなかったのかが不思議でなりません。

もちろん市場や投資家を裏切った罪は重大です。しかし、取引先は、単に取引の継続を望んで西武鉄道株を購入したはずです。また、同容疑者は「西武鉄道の経営の透明性を高めたい」などと嘯いて取引先に株の購入を持ちかけたそうです。こうした企業や、企業のステークホルダーは全く救済されないのでしょうか?堤容疑者はこうした会社に対して上場廃止基準になると知りながらあえて重要事実を告知せずに売却したのですから、未必の故意があると認められるのではないかと思うのです。

また、仮に救済措置として民事上(民法)の損害賠償請求が認められるとしたら、それは詐欺(96条1項)による取消を求めることができるのか、それとも不法行為(709条)による損害賠償責任を追及することができるのか、という点も分かりません。

A 回答 (4件)

>今回は証取法違反容疑で逮捕して、後日立件の可能性が出てくれば詐欺罪で追及するという別件逮捕(本来の意味からは外れていますが)もあり得るということでしょうか?



 証券取引法違反に関する勾留期限が満了間際で、別の容疑で逮捕することはあり得ます。ただ、詐欺罪は親告罪でもありませんし、被害弁償は犯罪の成否に関係ありませんが、売買代金の返却に応じているようですし、今のところ被害者からの告訴もないですから、詐欺罪では立件しないかもしれません。(詐欺罪にあたるとしても、起訴猶予処分にする。)
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この回答へのお礼

丁寧なご回答、どうもありがとうございました。

お礼日時:2005/03/07 00:08

明文の規定はありませんが、2項詐欺の場合も、通説的には、被欺網者が、犯人に対し、財産上の利益の付与を行うために「交付(処分)行為」を行う必要であると考えられています。

裁判所も同様の立場です。

例えば、無価値のものを、騙して100万円で売ったときに、代金を現金で受け取った場合、100万円の現金は「財物」ですから、1項詐欺の問題になります。

しかし、銀行振り込みで代金を受け取った場合、銀行に対して100万円払えという権利、すなわち、「財産上の利益」を得ることになるので、2項詐欺の問題になります。

このように考えると、1項詐欺と、2項詐欺の違いは、対象が物理的な物であるかないかの違いだけで、2項の場合は、処分行為が必要なくなると考えるのは、妥当ではありません。

この回答への補足

通説・判例の考え方はどうも私には理解しかねるのですが。

私には100万円をキャッシュで受け取ろうと振り込み詐欺で自分の通帳に入金させようと、別にお金に色はついていないのですから全く同じことだと思うのですが。

また、そうするとキャピタルゲイン(売却益)は利益でないという、誠に不思議なことになると思うのですが…。この辺りが私が法律についていけないところでもあります。

補足日時:2005/03/05 23:54
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この回答へのお礼

わざわざ補足に対してご回答頂き、ありがとうございました。

お礼日時:2005/03/05 23:54

>なぜ東京地検特捜部は刑法の詐欺罪(246条2項)容疑で逮捕しなかったのかが不思議でなりません。



 特捜部が詐欺罪の立件をするつもりがないかどうかは別として、証券取引法違反で逮捕した理由は、詐欺罪より、証券取引法違反のほうが立件しやすいからだと思います。つまり、証券取引法違反は、虚偽記載やインサイダー取引を行うことにより成立するのであって、実際に、株式購入者が騙されたかどうか、財産上の損害が発生したかどうかは、有価証券取引法違反の成否に関係がないからです。
 もし、1項詐欺罪で立件するのなら、1、相手方を欺いて、2、相手方を錯誤に陥らせ、3、それにより財物(株の売買代金)を交付させ、4、財産上の損害が発生したこと、および、5、故意があること、6、不法領得の意思があったことを立証する必要があります。
 今回の事例では、1の欺く行為と言えるかどうかが問題になります。「上場廃止基準には抵触しない。」と言って売却したのならば、作為による欺く行為ですから、さほど問題にならないでしょうが、単にそのことを告知しなかったことが、欺く行為にあたるかどうか問題になります。この点、欺く行為は、作為のみならず不作為も含まれると解されていますが、不作為の場合、「法律上」告知する義務を負っている者が、告知しなかったことが、不作為による欺く行為になります。その点をクリアーすれば、詐欺罪の立件も可能でしょう。

この回答への補足

ということは、今回は証取法違反容疑で逮捕して、後日立件の可能性が出てくれば詐欺罪で追及するという別件逮捕(本来の意味からは外れていますが)もあり得るということでしょうか?

補足日時:2005/03/05 23:49
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この回答へのお礼

大変分かり易くご説明頂き、ありがとうございました。

お礼日時:2005/03/05 23:48

刑法の詐欺罪が成立するには、騙した相手から、財物、または、財産上の利益の「交付」を受けることが必要です。



これを、このケースで考えると、市場価格1200円の株が、上場基準廃止に抵触しており、実際は500円くらいの価値しかなかいという認識があったとしても、堤会長の売却の意図は、500と1200円との差額を得るためではなく、株価1200円を維持するためです。

仮に、堤会長の意図通り、株価を1200円を維持していれば、被害者の会社は、1200円のものを1200円で買っただけのことですから、財物または財産上の利益が不当に移転することはなかったはずです。

つまり、堤会長には、被害者を騙して、被害者から自分に利益を交付させようという意思がないので、詐欺罪の故意がなく立件は困難です。

民事上の救済措置としては、まず、コクドから株を購入した人は、詐欺を理由に取消すことができます。民法の詐欺は、刑法の詐欺罪とは違い、欺網行為によって、意思決定を誤らせれば足ります。

売買契約を取消すと、株を返して、代金の返金を受けることになります。96条は、取消のみで、損害賠償の規定はないので、賠償請求はできません。

売買契約が取消せるなら、損害はないので、原則として、賠償請求の対象にはなりません。あえて言えば、関わったことで信用が損なわれたというようなこともいえるかもしれませんが。

取消ができない一般ホルダーや、取消をしない場合は、損害賠償請求となり、民法第709条、第715条、商法第266条ノ3、証券取引法第24条の4、などの規定によって、堤会長個人やコクドに請求することになります。

この回答への補足

刑法上の詐欺罪に関してはなお疑問が残ります。質問文にも、私は括弧書きの中でわざわざ246条2項と書きました。utamaさんがおっしゃる「交付」が構成要件となるのは同条1項であり、私もこれには該当しないと思う点では異論はありません。私が問題にしているのは2項の方です。ここには「交付」という構成要件はありません。また、上場廃止になれば取引所での取引がなされなくなりますから株主は会社に買取請求を行うしかないでしょうが、その場合は市場での購入価格マイナス額面価額分の損失が発生するわけです。これを堤容疑者側から見れば、本来は上場廃止によって額面価額でしか売却できなくなる西武鉄道株を時価で売却できたのですから、その差額分不法な利益を得ているのではないか、と思うのです。この説明は本来質問文中で書くべきですが、質問文に字数制限があるため書けませんでした。

補足日時:2005/03/05 01:09
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この回答へのお礼

民事上の救済措置に関しては大変分かり易いご説明で理解できました。どうもありがとうございました。

お礼日時:2005/03/05 01:09

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