No.1ベストアンサー
- 回答日時:
まず、認知行動療法について説明します。
考え方としては「認知療法+行動療法=認知行動療法」です。
手順としては、その人の強迫症状の元になっている強い思い込み(強迫観念)や、日頃の考え方の癖=「認知の歪み」をまず特定します。
例えば、「私は世界中の人に嫌われている」と強く感じている人がいたとしましょう。世界中の人に嫌われているかどうかなんて、実際にはチェックできないですよね。だけど、その人は、一足飛びに極端にそう思い込んでしまっています。
そのように、客観的な事実や科学的な根拠に乏しい、主観による強い思い込み、これが「認知の歪み」です。認知の歪みがもとになり、実際の行動も病的にゆがみます。そして強迫性障害の症状が生まれます。
だから認知の歪みに気が付くことが最初の一歩として大事になります。
次に、認知の歪みについて「本当にそうか?」と冷静に反問する訓練をします。
上手にできる場合は、ただの「自問自答」でも行えるのですが、強迫性障害のレベルにまで至っている人は、たいていのばあい、自力では正しい自問自答が行えません。恐怖や苦痛が強く出てしまい、混乱してしまいます。
だから、プロの心理士との対話形式で、自分の「認知の歪み」をゆっくり理性的に検証し、少しずつ補正していきます。
「私は世界中の人に嫌われている」という認知の歪みを持っている人を例にして言えば、カウンセリングによって過去の出来事を振り返ってみた結果、その人はあるとき身近な人から嫌われて、激しい罵声を浴びた経験がありました。そのショックで、いつしか全世界の人々が自分を攻撃しているかのような極端な錯覚に陥ってしまったのです。
心理士はそこで、ある時期にAさんから嫌われていたのは事実だったとして、まずはそのことについて、その人の感じた悲しみや傷つきに暫く寄り添ってあげます。放置されていた悲しみにしっかり向き合うことで、心の傷をキチンと手当てします。
それが済んでから、でも、Aさん以外の他の人との関係はどうだったのかな?もしかして他の人には、好かれていたこともあったのではないですか?と促してみたりします。
患者はそういった促しを受けて、また冷静に当時を振りかえって、たとえば、BさんCさんDさんからは好かれていたことを思い出したとしましょう。
そうすると心理士は今度は、では、あなたはAさん1人には嫌われていたとしても、BさんCさんDさんの3人からは好かれていたんですね。あなたを好きな人が3人もいたのですね。としっかり確認しながら、実際には嫌われていたことよりも、好かれていた事の方が多かった、という事実を、繰り返し患者に確認させます。
また、Aさんに嫌われた理由は何だったんだろう?ということも丁寧に思い出してみると、Aさんの悪事をその人が告発したので、一種の逆恨みをされただけだったことも分かるかもしれません。
そのようなプロセスを経て、その人の認知の歪み「私は世界中の人に嫌われている」という主題は、補正されたらこうなります。
「私は過去にAさんの悪事を告発した。するとAさんは私に逆恨みをして、罵詈雑言を浴びせてきた。私はそのことが非常にショックだった。しかしBさんCさんDさんは、私に対して酷いことを言わず、私の行動に感謝してくれたり、私の心の様子を心配してくれてもいた。私は1人からは激しく嫌われたが、3人からは好かれていた」
「私は世界中の人に嫌われているわけではない。私を嫌う人もいるが、私を好きだという人もいるのが、実際の世界である」
このように、極端な思い込みの原因になっている出来事を丁寧に振り返って、事実をしっかり思い出し、認知の歪みを修正してゆくのが認知療法です。
行動療法とは、上のような会話による記憶の検証や認知の補正をするだけではなく、全人類に嫌われていないことを実際に確かめるために、何かしらの行動を進んでとる治療法のことです。
たとえば、BさんやCさんに実際に面会して、自分のことが嫌いか好きか率直に尋ねてみたり、一緒に手をつないで散歩してもらったりします。アルバムをめくって、昔一緒に遊んだ思い出を丁寧に思い出してみたり、その人に助けてもらったエピソードを思い出して「あの時はうれしかったよ、ありがとう」と言葉に出して、今一度キチンと伝えてみたりします。
「全人類に嫌われている」と思い込んでいた時には出来なかったこと、例えば人が多い駅前の広場でベンチに腰掛けて休んでみたり、レジで店員さんにお釣りをもらった時に相手の顔を見て「どうもありがとう」と言ってみたりすることも、実践してみます。そうした時に、相手から罵声を浴びないこと、自分が他者に関わった時に、いつでも嫌われると決まっているわけではないことを、実際に確かめてみるのです。
認知療法は、診察室の中で心理士と会話するだけでいいし、患者は心の中の認識を改めるだけでいいので、落ち着いて取り組めば割と誰でも上手にできることでもあります。
しかし、行動療法は、実際の行動を伴うので、認知療法よりはハードルが高いといえます。患者は、頭の中の認知や考え方の癖を変えるだけだったらうまくできても、実際の行動を変えてゆくのは難しい、怖い、いやだ、と感じやすいものです。
なので最初のうちは焦らず、対話式の認知療法を丁寧に繰り返します。認知の歪みに気づき、認知の補正を行うことが十分スムーズにできるようになってから、あまり難しくなく、恐怖や緊張が生じにくいようなごく簡単な行動から、段々と行動を変えてゆきます。その場合も最初は心理士などが同伴したり、励ましたりアドバイスしたりしながら、患者をサポートします。
そして最後には、心理士のサポートをあてにせず、自力で認知の歪みに気が付き、それを自力で補正し、実際の行動を自分から進んで改善してゆけるようになると、認知行動療法のゴールです。
単独で行動療法だけを行うことは現在ではあまりないと思います。以前は、強迫障害の人の強迫観念を解除するために、わざとその人の気にしていること、嫌がることや怖がることにハッキリ直面させるやり方もありました。エクスポージャーとか、暴露療法、フラッディング法と呼ばれる方法がそれです。
その方法は、治療者と患者に強い信頼関係が確立できていなければ成功しない大胆な方法です。治療者は高度なテクニックや判断力を持っていなければなりません。患者の方でも高い理性や強い意志力を持っていなければなりません。だから、誰でもできるやり方ではありません。成功した時の効果は絶大なのですが、もし失敗すると、病気が一気に悪化したり、患者が医師や心理士を信じられなくなったりしてしまいます。
なので、現在では、ハイリスクな暴露療法やフラッディング法よりも、もっと穏健で安全な方法として認知行動療法が使われることが多いようです。
森田療法はまた全然別の方法です。長くなりましたので、森田療法に関しては、次の投稿に書きます。
No.3
- 回答日時:
森田療法の行き着き方を説明したいと思います、治り方とか治し方と置き換えても良いと思います。
主に神経症全般の治し方になります。始めに神経症の簡単な説明です。神経症は『正常な人間の脳の機能を持っている人が、陥る一つの形だと思います。』
症状は大変多岐に渡っていますが、神経症になる原因が同じ原因ですので、症状別な治し方は無いようです。
神経症になる原因を簡単に説明して治し方も、森田療法を通した治し方として説明します。
神経症の原因は、脳の機能に在ります。脳内に機能の違う二つの機能が存在しているからです。
仏教ではこの事を端的に指摘しています。人間の苦しみは『自分自身が起こしている不安や苦しみとして捉えています。』そしてそういった苦しみの原因は、その不安なり苦しみを起こしている張本人が、本人の中に原因がある事を知らないでいる事からとしています。
端的な表現は『無明の闇』と云ったら分かると思います。脳の機能の説明です。人間の心の正体です、命の働きが『右脳の意識です。』=『無意識の意識です。』心の矛盾とは自分の無意識と戦っている状態です。漠然とした不安を送っている送り主です。
科学的な証拠です。ウイキぺデアからです。
”ロジャースペリー 分離脳
ノーベル賞受賞者
受賞年:1981年
受賞部門:ノーベル生理学・医学賞
受賞理由:大脳半球の機能分化に関する研究
ノーベル賞の受賞理由となった業績として分離脳研究がある。てんかん治療の目的で半球間の信号伝達を行っている脳梁を切断した患者に、片方の脳半球に依存することが知られている作業を行ってもらい、二つの脳半球がそれぞれ独立した意識を持っていることを実証した。”
この場合での『右脳の機能』を簡単に説明したいと思います。
右脳の機能は『生命発生装置兼生命維持機能』という働きです。人間の苦しみは『心の矛盾や心の葛藤や、対立とか分裂』を云っていますが、『自らの命を働かせている者との戦い』ですので大変苦しいものです。
左脳の機能とは、自我意識の事ですが、生まれて来てからの経験の記憶装置です。学びながら成長してゆく機能の事です。
それとは対照的なものが、右脳の機能です。腸の働きとか循環器の働きとか、手や足などの身体の動きなど全てに関わっているものです。
呼吸器とか血液の循環とかも全て仕切って働かせている働きそのものの事です。寝ていても起きていても、自意識が関わろうが関わらなかろうが、常に命を守って働かせている働きそのものです。
神経症の種類の中に、吃音とか書痙とかいうものがありますが、こうなる原因は『自意識が、無意識の自分(右脳の機能)と仲違いをしているためです。』無意識の自分がやっていた領域を自我意識が出来るものと勘違いをして、やろうとして、やろうとすればするほど,出来ない事が分かって、落胆する現象が神経症です。
不眠症なども同じです。自意識単体では眠る事が出来ない事が原因です。自我意識が『無くなって行って、無意識の自分と交替が終わった有段階が、熟睡に入った状態です。』
無意識の自分(右脳の命の働きと云った分野)の機能まで自意識がやってやろうとしているものに、自律神経失調症や、過敏性腸症候群などもある様です。
森田療法の神髄は、『神経症は、正常な人間の脳の機能を持っている人が、陥る一つの形だと思います。』を体得するところにあると思います。
本人の思い過ごしで、健康な体でさえも異常なもの、と思っていたところを『嗚呼このままで全て整っていた事』を了解させる事が出来る療法、と云っても過言ではない事です。
鈴木知準先生(入院森田療法の大家)の言葉です。神経症を乗り越えた人の中には、仏教の高僧と同じ境涯を体得出来た人が居る様です。
それもそのはずですがその理由は、今現在を全て肯定する事こそ、悟りの全てだからです。今正に死の淵に居たところで、全て肯定出来る場合では『苦しみが存在していないからです。』
人間の不安とか苦しみとは、今現在を否定しまくっている事が原因だからです。五体満足であって脳の機能も全て正常であったとしても、自分が自分を否定している中に、苦しみとか悩みとか、がある事です。
もう一回云うなら、森田療法の神髄は、症状などは治らない事を心の底から納得させる事が出来る療法です。何故なら『元々神経症は、正常である事が絶対条件』という中で育まれて来た療法だからです。
No.2
- 回答日時:
森田療法について回答します。
まず「森田療法」で検索すると専門的なサイトが多々出てくるので、本気で森田療法を検討するのであれば、それらを読むことをすすめます。
森田療法の基本にあるのは禁欲的な入院(共同生活)治療です。あたかも修道僧のような生活を一定期間行いながら、自分の心の動きや肉体の欲求をよく見つめることが重視されています。
森田療法では、患者は最初の一週間程度は「何もしないこと」がノルマになっています。個室でただ横たわり、食事や排せつ以外の時間は、ひたすらじっと安静にし続けます。声も出してはいけません。沈黙しつづけ、じっと横になり続けるだけです。
上のような絶対安静の期間を耐えることができるかどうかが、森田療法に向いているかどうかの一つの目安なのかもしれません。
安静の期間が済むと、軽作業の期間があります。共同作業ではなく、基本的には個人作業をします。自然を観察したり、軽い農作業のようなことをするようです。指導者(主治医)との面談も行います。この面談も、活発な意見の交換やセッションというよりは、患者が感じたこと考えたことを指導者に話し、指導者はそれを傾聴する、というのが基本です。日記をつけるように指導される場合もあるようです。要するに内省・内観を重視しています。
その後、作業を活発に行う期間になります。入院患者同士の共同作業や会話も増やされます。対人不安や逃避的な心境があっても、それを抱えたまま進んで共同作業をし続け、人と交流し続けることを促され続けます。
上のような一連のマニュアルを経て、患者はある種の悟りの境地に至るとされています。森田療法ではその悟りの態度について「あるがまま」という言い方を特に好むようです。
認知行動療法では、患者は自分自身の認知が歪んでいることを認めるだけでなく、その歪みを補正していくことが求められます。しかし、森田療法では、その人の部分的な認知が歪んでいるかどうかとか、歪みを補正することなどは重視していません。
「私は総体として不完全である・私は完璧な人間ではない・私は不安を抱えている」というような自己認識、自己理解に到達することを目指しています。そういった不完全で不安な自分を、そのまま受容して生きてゆく、という考えが森田療法です。
一般論としては、そもそもロジカルシンキングが得意なタイプは、認知行動療法の方が合っていると言えます。心理士と活発に会話しながら自己発見したい人も認知行動療法の方が合うでしょう。
然し、理屈をこねるのは苦手で、心理士と活発な会話の応酬をするのも苦手、じっと自分を見つめる方が好きなタイプは、森田療法の方が合うでしょう。生活態度が乱れすぎている場合も、森田療法を通して規則的な生活態度を身につけることができるので、森田療法の方が合うかもしれません。
実際には認知行動療法と森田療法を両方使う場合もありますし、薬を併用する場合もあります。認知行動療法も、森田療法も、どちらも強迫性障害だけではなく、神経症全般に適用される治療法です。
強迫性障害の場合、特に「確認行動」や「巻き込み行動」が出やすいことが多いので、森田療法ではなくても何らかのルールや方針をもって、患者に行動制限を課すこともあるようです。
また、私自身が自分の症状を治す過程で色々調べたなかでは(私は強迫性障害と診断されたことはありませんが、強迫的な症状が一時期酷く出たことがあります)、特に親子関係の失敗が強迫症状に影響していることが結構多いようです。
親に虐待されていた、親に愛されているという安心感が無い、親に監視や干渉(過保護)されていた、親が幼い頃に死亡したり離婚で片親になったりした、親が留守がちであった、その他、親子関係に何らかの偏りやわだかまりを感じている場合、カウンセリングを通して親子関係を丁寧に振り返ることも、強迫性障害の改善に有効だと思います。
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