A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
お尋ねの問題は,ひと言では説明できないような民事訴訟の重要問題で,かつての司法研修所,今は法科大学院での民事裁判の授業の大部分がこの問題の理解に充てられているといって過言ではありません。
一応,骨の部分だけをいうと,民事訴訟は,原告が,何らかの法律関係から生じる権利に基づいて,被告に対して請求(金を払えとか,登記手続をせよとか)をするというものです。この請求の基となる権利を「訴訟物」といいます。具体的には,「○年〇月○日の売買契約に基づく△△の売買代金◇◇円の請求権」といったふうに表現されます。
そして,ここでの「○年〇月○日に△△を代金◇◇円で売買する契約をした」という事実が認められるかどうかによって,原告の請求が成り立つかどうかが判断されます。
この,「原告の請求を成り立たせる事実」が「判決の基礎」といわれるものになります。
ですから,同じ◇◇円でも,被告が原告から借金していて,その借金を返さなければならない,という事実が認められても,それを理由に,売買代金請求の訴訟で,売買契約の事実は認められないけれども,借金を返せという請求なら成り立つから,被告は原告に◇◇円を支払え,という判決をすることはできません。それは「判決の基礎」となる事実が違うからです。
こう書くと当たり前のことのようですが,実際の訴訟では,ものすごく微妙なこともあります。例えば,原告と被告との間で,△△の売買が繰り返しなされていて,原告は2月1日の売買に関する代金が支払われていないとして訴訟を起こしている場合に,裁判所が2月1日の売買契約をした事実は認められないが,2月5日になら売買契約をした事実が認められると判断した場合,原告が自分の請求は2月1日の売買契約に基づくもので,2月5日の売買は別のものだと主張しているならば,裁判所は,2月5日の売買契約の代金未払を理由に,原告の請求を認めることはできない,ということになります。
これが,前半の命題の意味になります。
ところが,この弁論主義が適用される「事実」は,訴訟に現れるあらゆる事実に関するものではなく,「主要事実」に限られます。上の例でいえば,「売買契約の成立」という事実にのみ適用されます。売買契約の成立を直接示す事実(例えば契約書に署名押印した)ではないが,それを間接的に裏付ける事実(間接事実)については,弁論主義の適用はありませんので,裁判所は,証拠によって自由に事実を認定することができます。
例えば,売買契約書はないが,売買契約がなされたと原告が主張する日の前後に,原告と被告があれこれの行動をしていた(例えば,原告が仕入れの発注をかけた,被告が銀行からお金を引き出してきた,等)という事実から,売買契約がなされたという事実認定をすることができます。このような場合の,「あれこれの行動」の事実は,裁判所が自由に認定することができるわけです。
2つ目の,証拠の問題は,証拠提出の当事者主義の問題で,弁論主義とは直接に関係しません。民事訴訟の裁判所は,職権証拠調べはできないということをいったものです。ただ,当事者尋問は例外で,裁判所は,判断がつきかねる場合は,原告や被告の本人に限っては,職権で尋問することができます。
3つめの信憑性の問題は,更に別の問題で,裁判の証拠は証言に限りません。民事裁判では,書面が非常に重要になります。どの証拠が信用できるかは,裁判所が自分で決めることが出来ます(自由心証主義)。一つの証拠が信用できない場合でも,他の証拠を信用して事実認定をすることはいくらでもあることです。
No.1
- 回答日時:
「「こうじゃないかな」と認定することはできますか?」
出来ないですね。どちらも信ぴょう性がなければ。
民事訴訟では、基本原理とされ、裁判所は当事者の申し立てない事項については判決をすることができず(民事訴訟法246条)、当事者の主張した事実を相手方が争う場合に限って裁判所は証拠を調べる義務があり、裁判所において当事者が自白した事実はこれを証明することを必要としない(同法179条)。
裁判所は当事者間で「争いのない事実」(相手方が自白した事実やあきらかに争わない事実)は、それをそのまま判決の基礎としなければならないという原則:即ち、当事者間で争いのない事実については当事者は証拠の提出をする必要がなく(民事訴訟法179条)、当事者は争いのある事実のみ証拠を提出すればよい。
訴訟法上、審判の基礎となる事実および証拠の収集を当事者の権能または責任に属させる主義。対概念は職権探知主義。民事訴訟では、基本原理とされ、裁判所は当事者の申し立てない事項については判決をすることができず(民事訴訟法246条)、当事者の主張した事実を相手方が争う場合に限って裁判所は証拠を調べる義務があり、裁判所において当事者が自白した事実はこれを証明することを必要としない(同法179条)。
刑事訴訟でも弁論主義が基調とされ、検察官の裁量により起訴猶予を許す起訴便宜主義(刑事訴訟法248条)を採用し、起訴する場合にも、訴因の設定・変更は検察官が行う(同法256条、312条1項)。また、証拠調べの請求も当事者が行う(同法298条1項)。しかし、民事訴訟のようには弁論主義が徹底されておらず、公判廷における自白または有罪の自認があっても、それだけでは有罪とはされない(同法319条2項・3項)。また、裁判所による職権証拠調べ(同法298条2項)あるいは訴因変更命令(同法312条2項)が認められ、訴因についても証拠についても裁判所の職権発動が認められている。ただし、現行刑事訴訟法は、当事者主義を基本原理として採用しているとの理解が一般的であり、職権証拠調べあるいは訴因変更命令は例外的な制度であるとされている(通説・判例)。
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