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「その利用者さんがその利用者さんらしく暮らすためのお手伝い」というイメージで据えてもらうと、普段から活かしてもらい易いのではないかと思います。
では、そんな権利擁護を実践していくためにどんなことがポイントになるか、一緒に考えていきましょう。
1「利用者さんらしさ」という視点をもつこと
「利用者さんが親から相続したお金をキャバクラで浪費していて、このままだとあっという間に使い果たしてしまう。」こんなとき、あなたならどう対応しますか?
①施設預りや成年後見制度によってお金をしっかり管理する、②本人が楽しんでいるなら自由に使ってもらう、③その中間や別の手段を考える、色々なことが考えられると思います。
権利擁護の視点からすると、この問題の正解は②です!…なんて言えると簡単なのですが、この問題も含めて権利擁護には基本的には正解がありません。はっきりした正解はないけれど、「どのようにするのが利用者さんらしい暮らしに繋がっていくだろうとうんうん考えていくこと」、この過程こそが権利擁護なのです。
そのため、普段から、「当たり前と思っているこの支援、本当に利用者さんらしい暮らしに繋がっているだろうか?」という視点をぜひ持って頂ければと思います。
2みんなで考えること
2つめのポイントは、みんなで考えることです。「利用者さんらしさ」と言っても、ふわふわ抽象的ですよね。支援者それぞれに価値観は違いますし、場面が変われば見ている利用者さんの姿も違うと思います。そのため、意思決定支援の場面など権利擁護が特に問題になるときは、ケース会議等を開催してみんなで検討していくことがポイントです。
ちなみに、会議の開催方法を含めて、意思決定支援については「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(厚労省)が参考になるので、ぜひ読んでみてください。
3自分に優しくしてあげること
最後のポイントは自分に優しくしてあげることです。以前、自分は施設で夜勤を体験させてもらい、素晴らしいけれど責任も重大で大変なお仕事であることを改めて感じさせて頂きました。仕事に奔走していると、ついつい心に余裕がなくなってしまいますよね。そうなると、なかなか「利用者さんらしく」ということを考える余裕もなくなってじまうので、自分に優しくして心に余裕をもつことも大事だと思っています。
それぞれご自分にあったやり方をみつけてもらえればと思いますが、心理学にはまっている自分流の優しさ実践方法は、「できていないところばかりが気になる性格を意識して、自分のいいところやできたところに目を向けて自分を褒めてあげること」、「心に余裕がなくなったときは、少し時間をとって自分と向き合って、怖い、悲しい、腹が立つなどの自分の気持ちを受け止めてあげること」などがあり、なかなか効果的です。
おわりに
権利擁護の視点を持ちながら支援にあたっていくこと、これを一人一人が実践していけば、施設がもっとすばらしいものになっていくと思います。これを読んで頂いた方が、まずは何より自分に優しく、そして、「利用者さんらしく」という視点を持ってお仕事に臨んでもらえると大変嬉しいです。
(権利擁護・研修部会オブザーバー 不二法律事務所 弁護士 市丸健太郎)
やめたければすぐにやめられます。
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