
経済における軍事部門の生産財と言う概念について分からなかったので教えて下さい。
資本主義全史(的場明弘著)では、その資本主義における研究史・通史において次のように記載しています。
P105引用開始
最も非生産的な部門といえば軍事部門です。軍事は破壊するだけで、生産の役には立ちません。たとえば戦車やミサイルは、それ自体は生産財であって、消費財ではないのですが、何一つ生産することのない生産財です。生産財を増やすと、本来、生産が増えるのですが、軍事部門の生産財は生産を増やしません。資本主義は、生産手段を増やして、過剰生産を促進することで成り立っていますが、軍事部門は全く異質です。
国家の支出によって生産された生産手段である武器は、ひたすら消費するだけのものです。橋、堤防といった公共物も、生産をしない生産手段ですが、これらは永続的な使用に耐えるものです。しかし、武器は、使えばそれで終わりです。
引用終了
この形で、ローザ・ルクセンブルグの主張する、資本主義によって過剰生産された物品の経済的埋め合わせが軍事部門に向く、と言う動向分析を述べているのですが、この「生産財」と言う言葉が整理できずにいます。
検索すると次のようなものがヒットします。
「生産財とは、商品および製品を生産するために投入される原材料のことです。ほかに、エネルギー源となる燃料、部品や工具、装置なども該当します。生産に関する必要な物がすべて含まれることから、生産財が経済活動に占める割合は大きいという特徴があります。」
なるほど、と。それでは上記に引用した「たとえば戦車やミサイルは、それ自体は生産財」と言う文章は、そのミサイルや戦車の製造工場が生産財である、とすればすっきり理解できるのですが(工場やそこに投入される原材料は生産財で、そこから製造され出荷されるミサイルや戦車は消費財となる)、しかしそうではないようにも思えます。著者の的場さんは経済の文脈におい別のことを言っているようにも見えます。
「たとえば戦車やミサイルは、それ自体は生産財であって、消費財ではないのですが、何一つ生産することのない生産財です。」と言う文章は、明確に「戦車やミサイルは」「それ自体は生産財であって」「消費財ではない」と明確に記載しているためです。
経済学における、この文章における生産財の用語定義はどのような意味を持つのでしょうか。
「武器は、使えばそれで終わりです」と記載されているものに関しては、それは消費財であると私は認識しますが、それとは真逆のことが書かれているように思います。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
回答ありがとうございました。
なるほど! と。これで一旦整理がつきそうです。
物品が製造されて、それが個人に直接届くかどうかで、消費財か生産財かが決まる、と言うのであれば納得です。
戦車やミサイルは個人が使用しないものですしね。
と言うかややこしいですね・・・
恐らく商品動態からの経済用語定義が拡大してここまで来たんだと思うのですが、これって修正されないものなのでしょうか。
また、的場先生の本はわかりやすいので、ここも丁寧に書いて頂けないか・・・と心の中で要望していたりもします。
No.6
- 回答日時:
ご質問とは関係のないことを書きます。
アダムスミスの国富論は『 An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations』という名だそうです。英語についても、国富論についても、ほとんど知らないのですが、『Nations』と複数形になっているところから、『人々の富』『民族の富』『国中の富』『諸国の富』のような全体的な《われらの富》という感覚で、それを増やすにはどうするのが良いのかを論じたのではないかと思います。
ある個人やある一家や一事業者の富の感覚で考えると、金銀や宝石、美やゆとり、食事、休息、快適、贅沢、多彩な経験も、あるいは他者に比較しての相対優位もWealth富になるのでしょうが、《われら皆の富》を増やそうという志向性・思考性の場合、合意を得やすい説になって、英米の国際問題や、英仏の関係、国内での地域差問題、階級や職業、産業の枠を踏まえつつも、統合的政策方針を検討する説としての意義が強く理解されて、読者やこれを踏まえて論じよう、理解しようとした人が急増したのではないかと想像します。
そのベースにあるのは、商業的社会という中での独立した経済主体が認識の対象です。 ある工場の労働者やある家庭の一員、家庭の使用人、金持ちや貴族の家令、あるいはその主人や客人・来賓という立場で考えるのと、独立して商業的交換をする者の立場で考えるのとは、だいぶ違うでしょう。
信用・誠実というのをベース認識にして、各主体が利己心と自愛とがありつつも怠惰ではなく勤勉誠実で浪費垂れ流し無駄を避けることで、《われら皆の富》を増やせるという説が、好感をもって受け入れられたのでしょう。
基本商業的交換ですから、各主体が余剰を生み出せること、別の主体が生み出す余剰とは別種で交換に経済的意味のある分業がベースになること、各主体の内部では勤労や巧技・高効率のコントロールの効いた道具装置技術資本を使用した経営がなされることが、《われら皆の富》を増やすことになるということであり、説としては、各主体内の経営のことではなく、《われら皆の富を増やす社会的制約や仕組みというインフラ環境の条件》の提示がねらいでしょう。
貿易船の就航、港、陸路運送、河川や水利の整備、市場や商店のための施策、各種の情報システム、資本の移転のための貸借や投資、法制、司法、警察、行政なども、《われら皆の富》を増やす上では重要なものと考えられたでしょう。
筋力・肉体労働ばかりが重要で、他のものが重要ではないと考えたのであれば、そもそも説として国富論を書くこともなかったのではないかと思います。
記述された言葉の解釈をしていては、説が分からなくなることが多いように思います。 枝葉のことを書いていても、樹や森、生態環境のことや景観のことを説いているのかもしれないし、植物生理のことを説いているのかもしれないです。
No.5
- 回答日時:
No3です。
>マルクスの視座で経済を語る人だと思うので、現代的における国家史観と経済の融合を果たした概念で語らないのでこうなったのかな、と。
もともとのマルクスの経済学はアダム・スミスやリカードの古典派経済学を引き継いだ思想なので、「公共財」はもとより、サービス等の「形のない財」の生産は、生産される「財」あるいはマルクスの表現でいうと「商品」の中に含まれていません!アダム・スミスは生産的労働と非生産的労働を区別し、製造業の仕事は前者に属するのに対し、たとえば「屋敷の使用人の仕事は、何物にも価値を付加しない」非生産的労働と考えた。マルクスもこの考え方を引き継ぎ、共産主義崩壊以前のソ連の経済統計には「形ある生産物」については記録されているが、サービス業はほとんど無視されている。あなたが引用している本の著者のメンタリティーにもこの考え方が色濃く反映されているのかもしれません。
No.4
- 回答日時:
言葉にこだわり過ぎて、説が理解しにくくなっているのではないかと思います。
一般的に、「生産財とは、(原材料や部品)(設備品など生産のために使用される製品)」のような説明がされます。 では、電気はなんでしょう。生産財でしょうか、消費財でしょうか。 住宅は耐久消費財だとして、高層ビルの下が店舗やオフィスなどで上の層がマンションはどうでしょう。 企業などで自動車や備品、IT関係機器、従業者が使用する情報機器・PC・スマホはどうでしょう。 小麦粉は一般家庭でも購入使用しますが、量的にはパンや麺の製造業者が購入する原材料の方が多いでしょう。 筆記用具、プリント用紙などでも、産業や企業で業務用に使うのが多いでしょう。 ガソリン・軽油・電気などのエネルギーも、産業用が多いのです。
https://www.google.co.jp/imgres?imgurl=https%3A% …
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2 …
ものそのもの、サービスそのものの用途は、利用者のその時々の状況でも、事業活動などのためであったり、自分自身の趣味娯楽快適さのためであったりするので、ものやサービスそのものを、産業用と消費用とに分類することは意味がないのと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
引用されている「説」を読むと、論者は、「弾薬、武器、軍用輸送車両船舶航空機、防護設備、ミサイル、軍用レーダー、各種訓練、軍事施設、軍用の宿舎、軍人・軍属などは、そこから先の経済活動で、一般家庭や一般人の消費財やサービスを産み出さない、専ら需要・市場をつくるだけ」と言っているように読めます。 それを、言葉としては、「ひたすら消費するだけのもの」「生産の役には立ちません」といっているに過ぎないでしょう。
もとの文を知らないので、「説」の中にあるのかどうかわかりませんが、北朝鮮の現状は、「過剰生産された物品の経済的埋め合わせが軍事部門に向く」というものではないです。 軍人が幅を利かせている国では、体制に関係なく、軍事部門に多額の政府支出があり、その財源として多くの税が国民経済から税などで引き出されます。 もちろん、その軍事部門への支出が大きければ、軍人への給与も増え、軍事産業は需要が増加し、その範囲では好況・羽振りが良い人たちもたくさんでます。
盗人にも三分の理と言えるくらいですから、軍事産業が牽引役となって産業連関で需要を喚起する、各種技術や機械、システムが開発実用化される、効率の高い組織運営システムが出来るということもあるし、高級軍人を目指すエリート教育システムが、社会的にも良い効果をもたらすということもあります。
いまのロシアに対するいくつかの国の対応を見れば、軍事的優性を作ることは国際関係や貿易での優遇を得られるという効果もあること、国際政治でも有利を作り出すという効果もあるのがわかります。
暴力団、ギャングが社会的に有利を獲得出来るのも、武力行使できるという体制を誇示出来ればのことです。
> 「武器は、使えばそれで終わりです」と記載されているものに関しては、それは消費財であると私は認識します。
「言葉」は、いろいろな意味で使用されます。 地獄、天国、鬼、犬畜生、
{「使えばそれでなくなってしまう、消費されてしまう」ものは「消費財」}とは思われていないのです。 火力発電に使用される石炭や石油は消費財ではないです。
https://kotobank.jp/word/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E8%B …
https://r.binb.jp/epm/e1_238123_07042022110952/
この試し読みの部分を斜め読みすると、筆者は、「各人が自己の経済的利益追求をすることを是認する社会=資本主義」と捉えているようです。古代だと、「お前は、俺の命令に従え」とか、「これが人としてあるべき生き方、行動である」とかの方が優先していて、「各人が自己の経済的利益追求をすることを是認する社会」ではなかったには違いないです。 この30年間くらいでいうと、日本やアメリカは「各人が自己の経済的利益追求をすることを是認する社会」がベースっぽいですが、それでも人権とか、個人の自由の尊重とか、公益や環境への配慮はそこそこ求められているようにも思います。
強すぎる経済主体がのさばりすぎるのを忌避するという動きは、まああるようです。
https://toyokeizai.net/articles/-/401260
一個人や一家族が、数千億円、数兆円、数十兆円をいう資産をもって経済活動すれば、あっという間に取り巻きが形成され、経済はその人や家族を中心に回り出し、ますます富は集中します。 貧民にどう配慮するかということは残るとしても、地球規模で{王の一族と、取り巻きと、その他}になっていく可能性はとても高いです。 古代、中世でも、数百年程度なら体制は持続できているのですから、21世紀、22世紀が、そうした『資本主義の王制』で安定するという可能性は十分にあると思います。
『資産や資本の親子・一族での継承額の上限設定』というようなものが、現実に実行される可能性は、まずないと思います。
多岐に渡る方向性のお話ありがとうございました。
兵器が何も生み出さないのかというと、それは軍事プレゼンスの拮抗を作ることによって平和をもたらしたりしますからね。
軍事侵攻のみにフォーカスすれば何も生産はしないのですが、拮抗状態を生産することはできる、と。
また、資本主義地域が非資本主義地域を経済的に侵食することも資本主義の本質であるともこの本では書いているので、その進出に対して軍事プレゼンスを利用することもあれば、それも有用と言えます。
ただ、注意が必要なのは、恐らくこの矛盾した言い方や、あるいはその考え方は著者がそう言っていると言う形ではなく、ローザ・ルクセンブルグの資本の軍事進出を著者なりにまとめた形で言っているので、ローザ・ルクセンブルグ辺りの思想に現実とは乖離する歪みが生じていたのかもしれません。
No.3
- 回答日時:
国(政府)が提供する外交、国内の治安、防衛等は経済学的には「公共財」と呼ばれています。
ここに例としてあげられている戦車やミサイル等の武器は「防衛」という公共財を生産するために使用される「生産財」でしょう。ですから、文中にある「たとえば戦車やミサイルは、それ自体は生産財であって、消費財ではないのですが、何一つ生産することのない生産財です」という表現は正しくありません!では「公共財」の生産は毎年どのくらい生産されているかというと、統計的には「公共財」の生産=政府支出として計算する以外にはありません。GDP=C+I+G+X-MのGの部分(政府支出)が公共財の生産であり、それへの支出です。
回答ありがとうございました。
公共財だとしっくりきますね。
的場先生は、どちらかというとマルクスの視座で経済を語る人だと思うので、現代的における国家史観と経済の融合を果たした概念で語らないのでこうなったのかな、と。
No.2
- 回答日時:
経済も経済学となれば、言葉を定義し、あらゆるものを定義された言葉の中に分類しようとする。
それが頭の固い学者の習性だ。だから「生産財ではあるが、何も生産しない生産財」という意味不明の解釈が出てくる。
私は、ご質問者の認識が正しいと考えます。または「戦争材」など新しい用語を定義するかでしょうか。
回答ありがとうございました。
経済学における用語が、古典からの積み上げ方式になっているから現実を反映していない理論になった感はありますね。
> 「生産財ではあるが、何も生産しない生産財」
恐らくこれは、的場先生的に言って、消費者個人に直結で提供されない製造品(生産財)であり、通常はこれを使って企業や組織、グループや事業体などは別の何かを作って最終的に消費者個人へ提供する物品やサービスを生産するのだが、こと兵器に関してはそうはならない(生産財なのに個人へ提供されない)、奇妙なトートロジーですよね、しかし用語が循環してややこしいですが、経済学ではこういう見方もあるんです、とちょっとややこしい書き方をしたのだと思います。
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補足です。
皆様回答ありがとうございました。
ちなみに、現代社会で一般的に使用される生産財の定義と、この書籍の中での生産財の定義の乖離がありそうだ、と言うところまでは整理できました。
私としては、個人的に的場先生のマルクス史観に立った際における当時における用語定義を使用したのかな、と思っています。
また、私がここの部分を読んで勝手に思うに、ここの部分だけ的場先生は筆が乗りに乗っていた感じだったと思うんですよ。個人の内発的感覚によったドライブ感マシマシの感じで書いていた感じではなかったかな、と思うのです。
ご本人が凄い楽しく書いているのは分かるのですが、一方において一般的な私のような読者はついていけない感じになって・・・
できれば次の版とかでここを丁寧に紐解いて敷衍頂ければと一個人の読者は思っております。。。