
こんにちは。ハイゼンベルクの不確定性原理について勉強しているのですが、どうしても腑に落ちない点があり質問させていただきます。
よく、「粒子を観測しようとすると、その観測行為自体が粒子に影響を与えてしまう(干渉する)ため、例えば位置と運動量を同時に正確に知ることはできない」という説明を聞きます。
しかし、もし不確定性が「観測の干渉」だけによるものだとしたら、それは観測技術が未熟だから起こる問題であって、自然界の根本的な「原理」とは言えないのではないかと感じます。つまり、いつか完璧に干渉しない観測方法が見つかれば、不確定性はなくなってしまうのではないか、と。
この考え方だと、不確定性原理が物理学の基本法則であるという根拠としては弱いように思います。
おそらく、この「観測による擾乱」という説明だけでは不十分で、不確定性原理が成り立つには、もっと本質的で根源的な理由があるはずだと考えています。
そこで質問なのですが、
「観測による擾乱」という説明以外に、不確定性原理を支える、より本質的な根拠(例えば、粒子の波動性や、量子力学の数学的な構造など)は何でしょうか?
もし他に本質的な理由があるのなら、なぜ「観測の干渉」という説明が、不確定性原理の代表的な説明としてよく使われるのでしょうか?
物理に詳しい方、あるいはこの点について学ばれた方、初心者にも分かりやすくご解説いただけると大変助かります。
このモヤモヤを解消したいです。よろしくお願いいたします。
A 回答 (6件)
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No.5
- 回答日時:
>完璧に干渉しない観測方法
そもそも完璧に干渉しないならば、それは観測されないという意味でしかないのです。もしあなたの横に頭の大きさほどある超巨大素粒子が存在したとしても、その素粒子と何の干渉(重力・電磁力・強い力・弱い力)もしないならば、その超巨大素粒子は存在しないのと同じなのです。この世というのは、そのような超巨大素粒子が無限にあっても問題ないのです。それが素粒子の世界というやつですw
不確定性原理については、10年くらい前に『小澤の不等式』というので日本人が貢献しています。あまり話題になりませんでしたが、不確定性原理の根本に関する研究で、この質問の回答になり得るものだと思いますので、調べてみてください♪
No.4
- 回答日時:
他の方のお礼コメントにあった「観測とは無関係に内在する性質」についてですが「そんなものは存在しない」と言うのが量子力学の考え方(の解釈の一つ)です。
より正確には「そんなものを考えるのは無意味」と言った方がいいかもしれませんが。例えば、密室の中に絶世の美女が閉じ込められているとします。そして美女には呪いがかけられていて、誰かに見られた途端に美女は醜悪な老婆の姿に変わってしまいます。そこで質問、この女性の本当の姿はどんなものなのでしょうか(美女なのか老婆なのか)。
常識的な見解では「美女が本当の姿」となるでしょうが、その女性が美女である事を知る方法は何もありません。つまり「本当は美女なのだ」と言う主張に現実的な意味はないわけですから「老婆が本当の姿」と見るべきであると言う見方もそれなりの説得力が出て来ると思います。
こう言った事例から見て、量子力学(不確定性原理)は「観測とは無関係に内在する性質」と言う概念に疑問を投げかける面もある事になります。実際、量子力学の登場によって観念論の立場を取る哲学者が勢い付いた(時がある)そうです。
No.3
- 回答日時:
まず結論から言うと、「観測による攪乱」と「量子のふるまい(不確定性)」は別者です。
不確定性は「観測の限界」ではなく、物理量そのものが同時に定まらないという量子の性質そのもので、「観測による攪乱」は観測をすることによって結果が変わってしまうという現象のことです。
んでその上で今も思考実験が使われる理由は、シンプルに分かりやすいからです。
冷静に考えてみて、そもそも物理量が決まっていないという状態はどう考えても直感的ではありません。
古典力学を学び、「大体の運動は計算できるんだな!」と思っている人からすれば、物理量が決まっていないなんてさっぱりわけわかめです。
そこで、古典的な世界観からの橋渡しのような役目として、観測が影響するから測れないという視点を段階的に示す思考実験が、量子力学への導入の補助輪として用いられるようなイメージです。
まああとは昔の物理学者たち自身が、観測による擾乱的な解釈を通ってきたため、教育上も長らくこの手法が踏襲されているのでしょうね。
要はこの手の思考実験は、「不確定性の感覚的入り口としては役に立つけれど、量子の本質とはちょっと違うよ。これから勉強していこうね」ということですね。
> 量子の本質的な性質を、思考実験のような具体的なイメージでより直感的に理解しやすくする方法があれば、教えていただけますでしょうか?
むずいね。
粒子は、決まった点に存在するというよりは、ある範囲の中に確率的に存在しています(波動関数)。
なので観測しようとしなかろうと、そもそも粒子がどこに存在するかは決まっていません。
No.2
- 回答日時:
「完璧に干渉しない観測方法」などと言ったものは原理的に存在し得ない(∴未来永劫そんな観測方法が見つかる事はない)と言うのが不確定性原理の基本的な考え方です。
だからこそ「原理」と言う表現が用いられているわけです。お読みになられた本等にも書いていたと思いますが、例えばものを見る場合には見る対象に光を当てる必要があります。そうすると光を当てる事によって対象の運動状態等が変化してしまいます。これは「見る」以外の観測も同様なので「対象に干渉せずに観測」は原理的に不可能と言う事になります。
もっとも日常レベルの話では、観測するための行為が対象に与える影響なんて無視して差し支えないぐらいわずかですから、常識的な感覚としては「完璧に干渉しない観測方法」なるものがあると考えてしまうのも仕方ないと思います。この辺りは「相対性理論の結論が定式と乖離していて受け入れられない」と言う感覚に近いかもしれません。
No.1
- 回答日時:
腑に落ちなくて当然です。
我々が普段物理と聞いて想像するような振る舞いを全くしないので。んで結論から言うと、量子がそういう風に振る舞うのは観測の問題ではありません。
不確定性原理とは簡単に言うと、「ある粒子の位置と運動量を同時に正確に知ることはできない」というものです。
そしてこれは、観測の方法とか測定のミスとか関係なく、量子はそういう風に振る舞うんだよという一つのルールのようなものです。
んでここから本質的なことなのですが、「観測が干渉して結果が変わる」という質問者様のような説明は、確かに直感的ではあるのですが正確ではありません。部分的に正しいです。
たとえば電子の位置を見るためには、光(光子)を当てて跳ね返ってくるのを観測します。
でも光を当てることで、電子にエネルギーが伝わって、動きが変わってしまいます。これを「観測が粒子に影響を与える」という意味でいうのなら正しいです。
ただし不確定性原理は、測定装置が未熟だからでも観測が乱すからでもなく、そもそも自然界では粒子の位置と運動量は同時にハッキリした値を持っていないということです。
観測しようがしまいが、最初からぼやけているわけですな。
つまり、観測が影響を与えるのは事実だけど本当の不確定性の理由は量子の振る舞いそのものなわけです。
ご回答いただき、誠にありがとうございます。
返信する方法が分からないのでこちらに書かせていただきます
「観測が影響を与えるのは事実だけど本当の不確定性の理由は量子の振る舞いそのもの」「観測しようがしまいが、最初からぼやけている」というご説明で、長年のモヤモヤが晴れ、不確定性原理の本質について深く理解できたように思います。本当にありがとうございました
その上で、もう一つどうしても気になってしまう点があり、もしよろしければご意見をお聞かせいただけますでしょうか。
それは、ハイゼンベルクの不確定性原理を説明する際によく用いられる「思考実験」(例えば、電子の位置を観測するために光子を当てるが、その衝突によって電子の運動量が変わってしまう、といった類のもの)の役割についてです。
この思考実験は、「観測による擾乱」を分かりやすく示す例としては有効だと思うのですが、一方で、今回ご説明いただいたように不確定性の本質が「量子が元々持っている性質」であるとするならば、この思考実験はかえって「観測が原因で不確定になる」という誤解を助長し、本質的な理解から遠ざけてしまう側面もあるのではないかと感じてしまうのです。
つまり、「観測の干渉が問題なのではなく、元々決まっていない」という本質を伝えたいのに、思考実験が「観測の干渉」という側面を強調しすぎているのではないか、という懸念です。
そこで、お伺いしたいのは以下の点です。
このような「観測による擾乱」を主眼に置いた思考実験は、不確定性原理の本質(観測とは無関係に内在する性質)を理解する上で、実際にはどのような位置づけや意義を持つと考えれば良いのでしょうか?
もし、この思考実験が本質の理解を妨げる可能性があるとしたら、なぜ今でも不確定性原理の導入として広く使われ続けているのでしょうか? 歴史的な経緯や教育上の便宜などがあるのでしょうか?
「観測とは無関係に、元々位置と運動量は同時に確定していない」という量子の本質的な性質を、思考実験のような具体的なイメージで(あるいは別の比喩などで)より直感的に理解しやすくする方法があれば、教えていただけますでしょうか?
せっかく本質に近づけたので、この思考実験との付き合い方についても理解を深めたいと考えております。
お忙しいところ恐縮ですが、もしよろしければご教示いただけますと幸いです。
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