No.7ベストアンサー
- 回答日時:
No.1です。
>ボイルの法則によって,Pが減少すると思いますが,ではなぜ膨張仕事としてピストンが押し出されるのでしょうか?
>外部からピストンを引き出すという仕事が与えられているのではないのでしょうか?
Pが外圧より低ければ、作業物質は自発的には膨張しません。そういう場合は、外部にピストンを引き出す駆動装置をつけてやればいいのです。この場合、駆動装置は仕事をします。ただし、「駆動装置の仕事は作業物質に与えられている」というのはまちがいです。作業物質を膨張させるとき、駆動装置は外圧に対して仕事をします。このとき、作業物質も、一緒になって外圧に対して仕事をします。
それでは作業物質から仕事を取り出すことができないではないか、と思うかもしれません。大丈夫です。あとで、作業物質を圧縮するときに、外圧が仕事を返してくれます。
外圧との関係は何の本質的意味もありませんので、相手が外圧だろうと駆動装置であろうと、「作業物質が仕事をするのかされるのか」だけに注目すればOKです。
>「温度を一定にすれば,膨張する」とは考えにくいです。
作業物質が外圧に対して自発的に膨張するかどうかは、本質ではありません。上に書いたように、ピストンを駆動装置で動かせばいいだけのことです。
>真空だと直前のサイクルの断熱圧縮で大変な力がいると思いますが...
理論的に考えているものですから、技術的に大変かどうかは関係がありません。計算が合っていればそれでいいのです。
>等温膨張は,自由膨張の際に温度を一定に保つこと,であって,熱量を与えて膨張させる,ことではない,との理解で正しいでしょうか?
自由膨張(真空に対して作業物質が膨張する)ではありません。等温膨張のとき、作業物質は外圧や駆動装置に対して仕事をします。
また、熱を与えることが膨張の原因である必要はありません。「一定の温度を保ったまま膨張させるために、熱の流入に対するピストンの動きをコントロールしているのだ」と考えてください。
>取り出すにはその前に同じだけの力で押し込まなければならない
そんなことはありません。P-Vグラフに描いた閉曲線で囲まれた面積分の仕事はちゃんと取り出せています。
>等温膨張は「気化熱を与えて膨張する」という定義どおりですが
作業物質が理想気体であるかどうかは本質ではないので、作業物質が相変化してもかまいませんが、その場合当然理想気体の状態方程式では扱えません。しかし、等温膨張は相変化のない理想気体でもできます。熱を与えながら膨張させればいいだけのことです。
>はこのあともT1のままにしておいてV2からさらに膨張するかどうかです
その先は駆動装置の動力で膨張させるとしてかまいません。この場合、作業物質と駆動装置は、ともに外圧に対して仕事をします。それで計算上問題はありません。
Shktwtaさん,Teleskopeさん
いろいろご指導いただいて感謝いたします。
まだまだ理解が足りませんが,熱力学の難しさが身にしみました。
ありがとうございました。
No.8
- 回答日時:
(どうもです、No6のレスを拝見したときすでに閉まってましたので追加投稿しま
す。)
>> 最後にもう一度だけ確認させてください。
‥‥中略‥‥
問題はこのあとも T1 のままにしておいて V2 からさらに膨張するかどうかです。
私は膨張しないと思います。
何度もすいませんがこれで最後ですのでよろしくお願いします。 <<
そっと静かにならそれ以上進みません。常識通りです。たぶん言いたいのは「だか
ら機関は止まってしまうのでは?」ですね。 この補足を拝見してどうやら、熱の話
よりも 圧力の収支でどう説明が付くのかを知りたいのではと思いました。 それに
は、ピストンや回転軸の慣性をイメージに加えてください。( これは実際のピスト
ンエンジンでも必要不可欠でして、これがあるゆえ回ってます。)
イメージ作りはこうです;
(a) 最初、シリンダ内に外気を入れて閉じます。外と同じ温度 同じ圧です。
(b) ピストンを押すか引くか、初期変位を与えて放します。 中の空気がバネのよう
に 伸縮に反発するので 慣性と協調して 振り子のように往復運動をします。
(c) シリンダは断熱です。中の空気は 下図のように断熱圧縮/膨張 をします。1本の
曲線上を往復します。 摩擦など無損失とします。そうすれば振動はずっと続きま
す。
P
|
| * 断熱変化 PV^γ=一定
| *
| *
| * ←真ん中辺が外気圧
| *
| *
| *
|
┼────────── V
┏━━━━┳━━━━
┃ ┣━━━━━━ ⇔
┗━━━━┻━━━━
シリンダとピストン
振動ですから外圧より高い時と低い時が存在します。(これが答なのですが。)
低い領域に突入するのは 慣性の勢いによるものです。(*)
(d) 断熱変化ゆえ 高圧なら高温 低圧なら低温です。
それを踏まえて、
下図で 圧縮の最高点から膨張に転じる時に 高温源 例えば熱湯を掛けます。
すると 膨張で冷えますが 外熱が入った分だけ高温になります。 高温ほど高圧です
から 圧力の下がりも緩やかになります。(**)
P
|
| *
| * *
| * * 戻りに熱湯を
| * 掛けられた変化
| *
| * 断熱圧縮
| *
|
┼────────── V
結果、圧縮の過程よりも高い圧力に長期間さらされるので、例えば ピストンの動
きは押すときより戻る方が速くなる という形の運動エネルギで出てきます。
ご質問の「このまま熱湯を掛け続けたら外気圧と平衡して止まってしまうので
は?」は、慣性も含めたモデルでは振動するので 外圧より低い領域にも行きます。
P
|
| *
| * *
| * * ←この辺が外気圧
| * *
| * *
| * 断熱変化 *
| *
|
┼────────── V
( 参考までに; もし熱湯を連続して掛け続ければ、熱湯の温度を中心とする断熱変
化の振動に次第に移行します。(***) その振動の中心が あなたが「外気圧と平衡し
て止まるはず」とイメージした所です。)
低温側も同様ということで、最後に、本によくある出力の式
W =∫P12dV+∫P23dV+∫P34dV+∫P41dV [J/cycle]
この積分をしてる積分器は はずみ車です。 準静的なのだから はずみ車など不要だ
と思わせておいて、最後で舞台に登場して挨拶してるんですねw
(***)
等温変化カーブ上で往復振動させたければ、うまく熱を出し入れして面倒みないとい
けない、ということです。 断熱膨張なら放置でいいのです。 素朴な印象では 等
温は単純素朴で 断熱は複雑高度だったのではありませんか? イメージが逆転しま
すね。
(**)
これが等温変化での状態方程式 PV=RT の読み方でして、「 断熱膨張による冷え込み
を加熱で緩和する」というイメージです。 その加熱がうまくて温度が全く変わらな
い場合が「等温変化すなわちPV=一定」なのです。 逆に言えば等温変化させるには
陰で熱の出し入れを適切にしてやらないと不可能なのです。「 PV=RT の制覇」とは
こんなところなのですが。
(*)
同じことをやってるガソリンエンジンの圧縮行程では「 はずみ車の慣性で押してま
す」との説明だけでイメージ湧きますよね。カルノーの話に はずみ車を使うと、お
気付きと思いますが、スピードを持って動かれると「準静的」の雰囲気がぶち壊しに
なるのが怖くて使わない。 しかし思うのですが、最初から絶対に必要なものでもな
い 準静的 を外して、普通のガソリンエンジンで持ってる知識を活用して大まかな理
解をしてから、熱源と接する部分の損失の考察を「付け足す」のが理解しやすいと思
います。 カルノーの肝=悟りはそこの部分「 可逆過程 」なのですから。
カルノーサイクルは自然の基本法則の一つに通底してる特別なもの‥のようなオー
ラに毒されて変に神格化してるとすれば損ですね。
最後まで面倒見ていてだいてありがとうございます!
重要なのは可逆過程なのですね。
時間を反転しても成り立つ,P1V1=P2V2が永遠の時間継続するという仮定を考えていませんでした。
膨張・圧縮仕事も単なる往復運動では仕事が取り出せず,回転機構(はずみ車?)によって必ずトルクに変換しなければならないということですね。
お話に出てきたスターリングサイクルで調べてみたのですが,ディスプレーサピストンがパワーピストンに対し位相90°進んでいるとき出力最大...などとなっており,すでに二つのピストンは暗黙のうちに連動され,等温変化に外部からの運動(単振動)を持ち込んでいます。
密閉系であっても運動エネルギーを最初から考慮したモデルで考えたほうがよさそうな気がしました。
貴重なお時間を割いていただいて心より感謝いたします。
No.6
- 回答日時:
>> 「温度を一定にすれば,膨張する」とは考えにくいです <<
失礼ながらこれが全ての原因。 RV=RT が「熱エネルギの出入りがある」と理解されてないようです。それの代用に潜熱を持ち込んでるようです。
●もしカルノーサイクルを理解したいのなら; 潜熱を捨てて上記の PV=RT を熱力学的に制覇してください。それができてる人は;法則の名前を見ると直ちにエネルギの流れに注意を向けます。 理科で習ったのは法則の名前と式の暗記だけかも知れませんが、もう1ランク深く本質を。 繰り返し書きますが「準静的」は理解の邪魔です。全部わかった後で「これを付け足せば理論熱効率と等しくなるんだな」と付け足せばいいです。カルノー=等温変化と断熱変化。
●もし冷凍機のサイクルを理解したいのなら; この方面よくわかりませんがスターリングサイクルがベースなのではありませんか? スターリング=等積変化と断熱変化。 このサイクルも 熱源が冷媒との温度差無限小で追従すれば 理論熱効率と同じになります; と書けば初耳かも知れませんが;カルノーは「熱源温度が一定」限定のモデルにすぎません。カルノーの「準静的」が何を目的としてるかが理解できる他山の石?ですね。
カルノーサイクル一神教なのだと暗記してる人が多いですがそうじゃないんです。
繰り返しますが、カルノーサイクル云々から一歩退いて、PV=RT に集中して徹底的に制覇を。
これをカルノーの制覇に絡めて「ついでに理解しよう」とせずに。それは本末転倒で、話術に翻弄されて断片知識が増すだけです。(おぼれながら水泳を覚えようとしても普通パニくるだけで沈没です。)
それから、外部圧は普通の1気圧とし、作動流体の圧も 外気と温度が同じときは1気圧だと限定してください。 温められて圧が1気圧より上がってピストンを押し上げる。冷やされて圧が下がってピストンが外圧に押される‥‥最初はこの程度の抽象で十分です。
( 実際の実用サイクルでは;膨張のところ以外は「さっさとしてくれ!」と言わんばかりに ピストンが積極的に動いて速やかに進みます。圧縮行程とか。 しかし そのイメージをカルノーの理解に持ち込まないでください、余計に迷走するだけです。)
(なお、No3の図は私の好みで横軸がp縦軸がvで書きましたが普通は歴史的経緯(ワットに習って横軸がピストンの位置)で横がv縦がpです。)
貴重なアドバイスありがとうございます!
PV=RTの制覇ですか,それができたらすばらしいですね。
最後にもう一度だけ確認させてください。
温度T1が一定であれば,PVも一定ということですよね。
等温膨張の最初をP1V1として,これをT1のままずっとほったらかしておくと圧力が大気圧P0とつりあうまで膨張しますよね。
そのときP1V1=P0V2ですよね。
問題はこのあともT1のままにしておいてV2からさらに膨張するかどうかです。
私は膨張しないと思います。
何度もすいませんが,これで最後ですのでよろしくお願いします。
No.5
- 回答日時:
No.1です。
No.3~4の補足を読むと、質問者様は「ピストンの外側は大気圧の空気であるはず」ということにとらわれているような気がします。カルノーサイクルはそのようなことが前提にはなっていません。
>外部からピストンを引き出すという仕事が与えられているのではないのでしょうか?
ピストンを引き出すのに力が必要だとしたら、その力は大気に対して仕事をしているのであって、内部の作業物質はこのとき外部に仕事をしています。
一度、外側は真空だとして(そうすれば、作業物質はいつでも自発的に膨張可能です)、ピストンは何か特別な機構でその動きが制御されているのだと考えて、作業物質と制御機構との間の仕事のやりとりを考えたほうがいいと思います。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。
素人考えにお付き合いいただいて感謝します。
カルノーサイクルは熱効率が理論的に100%であるとのことで興味を持っています。
真空だと直前のサイクルの断熱圧縮で大変な力がいると思いますが...
等温膨張は,自由膨張の際に温度を一定に保つこと,であって,熱量を与えて膨張させる,ことではない,との理解で正しいでしょうか?
大きな力は取り出せない(取り出すにはその前に同じだけの力で押し込まなければならない)ため考案当初は実用化されなかったが,熱交換器の原理としては有効である。
この際の等温膨張は「気化熱を与えて膨張する」という定義どおりですが相変化のため理想気体の状態方程式は成り立たない。
との考えです。
No.4
- 回答日時:
>> 理想気体でのカルノーサイクルは可能でしょうか? <<
質問に答えるのを忘れました。可能です。等温変化:PV=RT、断熱変化:PV^γ=一定 の二つの性質を有すモデル=理想気体。
「準静的」は大前提でも必須条件でもありませんので。損失がゼロだとするために導入する仮定です。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。
No.3のPV線図で考えると,
P1V1等温線→断熱線にそって膨張し,最後は大気圧まで圧力が低下してP0V3するのだと思います。
等温加熱は直前の断熱圧縮で圧力はP1まで上昇していますので,P1V1=P2V2まで圧力は減少,体積は増加します。
もし熱源がないと断熱膨張ですから,圧力の低下が激しく,温度も下がると考えられます。逆に言うと温度が下がらないように熱量を与えていると考えられます。
「温度を一定にすれば,膨張する」とは考えにくいです。
熱量を与えても,温度が一定でかつ膨張するのは,液相からの気化しかないと考えましたので,最初から理想気体として考えるのは無理があると思いますが
いかがでしょうか?
No.3
- 回答日時:
>> T1である動作流体にT1の熱源から熱が移動できるのでしょうか? <<
サイクル図を p-v 平面で見ればすぐ理解できます。ピストン中の作動流体は膨張自由なのです。 高温源に触ってるあいだ「ピストンを押さえつけて体積変化を許さない」のではないです、もしそうしてしまうと心配通り熱の移動はありません。
v
|
| *
| * 断熱膨張
| *
| *
| *
| * T1 に接触中
| * 等温膨張
|
┼────────── p
余談;
理解に至る補助階段として; 温源からの熱伝導率が無限大なら、等温変化はすみやかに進行できますよね。 普通の解説で これをゆっくりに限定(いわゆる準静的と称して)してるわけは、熱の流動は有限なスピードだという暗黙の常識が働いてます。
カルノー自身の著書はとても簡素な短文で、こういう細かな説明付けは、後年、「先駆者が居るぞ!」と持ち上げてくれた人が大有力者(ケルヴィン)だったこともあって 言わば「好意的な拡大解釈?」のようなものです。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。
Pv線図で等温線(Pv=一定)にそってvが増加するのですね。
するとボイルの法則によって,Pが減少すると思いますが,ではなぜ膨張仕事としてピストンが押し出されるのでしょうか?
外部からピストンを引き出すという仕事が与えられているのではないのでしょうか?
よろしくお願いします。
No.2
- 回答日時:
普通、カルノーサイクルは理想気体を準静的過程で等温、断熱の処理を繰り返して行う1サイクルです。
高温源から、低温源に熱が移動し、その残りが外部への仕事(理想気体が外部にした仕事)になります。1サイクルのそれぞれの過程を見て何の矛盾もありません。No.1
- 回答日時:
カルノーサイクルは準静的過程なので、等温変化の間は熱源と動作気体の温度は同じです。
現実の実験では、きわめてわずかな温度差で非常にゆっくりと熱を移動させることになります。
質問の意味が違っていたら補足してください。
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