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中和滴定の実験で、ホールピペットの先に溜まる最後の一滴まで液を出さなくちゃいけないのはどうしてですか?

A 回答 (3件)

ピペットやメスフラスコ、メスシリンダー等の秤量器具には、受用(うけよう)と出用(だしよう)の区別があります。


ピペット類、ビュレット、メスシリンダーは出用、メスフラスコには受用と出用の2種があります。
出用とは、秤量した液体を受器に移した際に、受器に入る量(つまりピペットから出る液体量)であり、受用のピペット類に液体を吸い込んだ時には、その中に入っている量は必要量よりも少し多いことになります。
受用とは、その秤量器に量り込んだ液量がその必要量(表示量)であるものを言い、その容器(たとえばメスフラスコ)から液を別の容器に移すと、移した液量は表示量よりも少なくなってしまいます。

ご質問のホールピペットの場合、最後に残った液を一度強制排出して使用を終えます。その後に残った微量の液は原則として排出してはいけません。それはホールピペットの表面に記載されている容積(20℃における容積ですが)は、1回強制排出して終えた量を指し示しているためで、それ以上に残液をしつこく出した場合(たとえば溶媒で洗い流す等)は表記されている容積以上の液体が出てしまうことになるからです。
従って、器具の扱いになれていない場合は正確さに事欠いてしまうことになります。

もっと厳密に言えば、ホールピペットで液を秤量して受器に移した後、しばらくそのまましておくと、ピペットの内壁に残存していた液が重力に従ってどんどん下に落ちてきます。ですので、再度そのピペットを用いて秤量を行うとき、使用する頻度や時間がまちまちであると、誤差が生じてきます。この誤差は、液体の粘度が高いほど、またホールピペットから液を排出する時間(排出速度)が速いもの(出口の径が大きい、あるいは柄が太い)ほど、大きくなります。

このために、ピペットを使用する際は、あらかじめ1度以上液体を吸い込んで内壁を濡らし、内壁に残る液量が均一になっているうちにすぐに液体を吸い込んで秤量し、受器に排出します。

もっと厳密に言えば、温度補正等もあるのですが、そこまで厳密さを要する分野は限られています。(たいていは大雑把でも大丈夫です)
しかし、ピペットに限らず、あらゆる器具の使用の基礎知識を持つことは、正しい実験を行う上で非常に重要なことです。(持ち方一つ取っても)

なんかオタクな内容に思われるかも知れませんが、実験器具を用いて仕事や勉強をしている人たちには常識的なことですので、オタクとは思わないで…。
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この回答へのお礼

小さな疑問にこんなにも細かく説明してくださって有難うございます!オタクな内容なんてとんでもない!これから実験する時は、器具の必要性を考えながら行いたいと思います!

お礼日時:2001/10/15 22:58

Thiku-rinさんの言うとおり最後の一滴まで使わないと正しい量は量れません。


重要なことです。
 しかし「滴定の精度」ということをよく考えます。
一滴や二滴の滴定量がずれたって誤差範囲でに許せるような濃度を選んで実験すればいいのにな,と思う人が結構たくさんいます。製品管理などの場合,測定毎,測定者毎にばらつきがあっては困りますし。
 少ないサンプル濃い滴定液で「うりゃっ」と職人芸でのりきる人もいますがそういう人に限ってホールピペットをあつーい乾燥機で乾燥させてたりして・・・(精度が疑わしくなります。)。

 なんにせよ使う器具と使用法,実験の意味を考えるってのは良いことですね。
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この回答へのお礼

私も、解答を読む前まではそう思ってました。専門家のかたに答えて頂けるなんて思ってなかったので非常にびっくりです!ありがとうございます。

お礼日時:2001/10/15 23:04

ホールピペットは最後の一滴まで液を出し切ることで


正確に表示量を秤量できるようにできてます.
出し切らないとちゃんと測れてません.
だから「中和滴定の実験」に限らずホールピペットは
最後の一滴まで液を出し切ります.

ホールピペットはメスピペット,メスシリンダーよりも
精度が高いので,正確な試料調整には良く使われます.

このような回答でよろしかったでしょうか?
的外れなら補足お願いします.
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この回答へのお礼

こんなに早く解答して頂きありがとうございます。わかりやすかったです。

お礼日時:2001/10/15 22:47

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