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2005年4月25日に起こった福知山線脱線事故において、前の4両と後ろの3両のモーター出力・制御装置が違ったために加減速時に不具合が生じ、脱線の間接的要因になったという声があり、実際に207系の編成組み換えとモーター出力増強を行うという噂まで飛び交っています。

ところが、他の鉄道会社では抵抗制御車とVVVF車を連結している所もあります(小田急・京王など)。同じ系列でも問題なのに、まして違う形式を併結して不具合が起きることはないのでしょうか? 

A 回答 (6件)

鉄道関係者ではありませんが、電動機の制御に関しての知識を中心に説明します。



従来の直流電車(および国内で普通に使われている交流や両用の電車)は直列抵抗制御(モーターから見るインピーダンスが高い)を使用しております。この場合、負荷に応じて回転数や回転力が変動します。この場合、出力や回転数の違うモーターを使った車両(異なる系列など)を連結して、同時に起動すると、高速で回転しようとするモーターに多くの負担がかかりますが、一定の割合でつりあいが生じて回転を続けます。おおまかに言えば、力の強いモーターが弱い物を引っ張る状態です。もちろん、連結器には張力がかかります。問題は、加速にともなっておこなわれる抵抗の制御が段階的だということです。気を付けていると、加速時にガク・ガクと加速度の変化が感じられることがあると思います。自動車のギヤチェンジをイメージしてください。でこの抵抗(やモーターの接続の組み替え)のタイミングが各車両でバラバラだと、早く切り替わった車両が切り替えの遅い車両を強引に引っ張る状態になり、衝撃を発生したり、乗り心地の悪化や異常な揺れを発生します。衝撃などによって空転が生じた場合には、空転した(負荷の軽くなった)車輪のみ高速で回転する現象が生じます。電車よりも軸あたりの出力が大きい機関車では問題が深刻です。異形式での協調運転では、この切り替えのタイミングを合せるように調整します。
チョッパ制御や交流位相差制御では、(見掛け上の電源インピーダンスが低いので)各モーターは所定の回転数で回ろうとする傾向が強くなります。各軸がギヤで連結されている鉄道模型に近いイメージで見てください。モーターの特性(出力曲線)が同じで、車輪の直径が同じならば問題は無いのですが、実際にはある程度の出力の不均衡が生じますが、直流モーターの特性でカバーされる程度で収まっているようです。異なる形式の連結では、双方の特性の近い領域を重ね合わせるような制御が必要になります。
VVVFでは、原理的にはモーターの速度安定性がたいへん高くなります。複数のモーターを同じ周波数で駆動すると、同じ回転数で回ろうとします。ここで摩耗などで車輪の直径が違っていたりすれば、それだけで空転を誘発するぐらいです。また、加減速時には周波数と電流をどの程度の割合で変化させるか(実際の加速の具合と対照して)という課題があります。これには、各モーターごとに制御を分けてやるのがいちばんですが、当然コストアップになります。電車では数個ごとに制御して同調させています。また、駆動輪以外で速度を検出して制御に反映させることもおこなわれています。

VVVF車やチョッパ車と抵抗制御車の連結であれば、結果として抵抗制御車が他者に合わせることになるので、問題は生じにくいと思います。

今回の事故の車両に限らず、VVVF車では周波数と電流をコンピュータの制御で変化させているので、このプログラムによって出力や特性の違うモーターでも同調させることが可能という事が基本にあると思います。また、制御に使用されている半導体素子にも(車両の世代などで)いろいろあります。理屈の上では、周波数も電流も連続的に変化させることができるのですが、実際にはある程度段階的な変化になっている(ことが多い)ようです。加速時にウィーンウィーンウィーンと音程が変化するのはこの現れのひとつです。この際の変化は良く調節されていて乗り心地に影響しないほどです。だから、正常動作であるならば、異なるモーターを異なる制御回路で駆動してあっても、プログラムとして加速特性が調節されていれば、相互に連結しても支障無いはずです。
ただし、異常時については不確定な部分もあります。基本的にセンサとコンピュータで補正することで成立しているような系ですから。また、異なるプログラムのコンピュータどうしをどのようにして統括連携させているかという部分の不透明さもあります。このあたりでの同調不良があったという話しはいくつか聞いたことがあります。
特に、ブレーキについては、電気司令を各車で読み替えて、空気ブレーキと電気ブレーキに配分しています。省エネなどの理由で、高速域では電気ブレーキを主にして不足分を空気ブレーキに配分する方式が主流ですが、減速とともにその割合は変化します。ここで空転や滑走(あるいは回生失効)が生じた場合、編成全体でどのような挙動をするかは、かなり不透明な気がしています。この問題は、同一形式であっても(各制御回路が統括的に制御を受けていない場合に)生じる可能性がありますが、当然異なるプログラム間では注意が必要だと感じています。(当然、設計・運用側では配慮されているでしょうけど。)
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この回答へのお礼

非常に詳しい説明をありがとうございました。参考になりました。

お礼日時:2005/12/24 19:38

#1です。

ちょっと追加します。

 一般に併結が可能かどうかが決まってくるのは、
ブレーキの指令方式のようです。電車のブレーキの方式は、
自動ブレーキの時代に始まり、電磁直通ブレーキを経て、
現在は、電気指令式ブレーキが標準です。

 自動ブレーキの電車はさすがに現在見かけませんので
(旧性能電車の時代)、電磁直通ブレーキと
電気指令式ブレーキで考えてみましょう。
 電磁直通ブレーキの場合、運転席のブレーキハンドルは
あくまで「ブレーキ弁」です。電磁弁も付属していますが、
基本的にはエアーの管の圧力を直接ブレーキハンドルで
制御しています。
 これに対し、電気指令式ブレーキでは、ブレーキハンドルは
単なるスイッチです。各車両へはエアーの圧力が送られるの
ではなく、電気信号のみが送られます。

 #1で書いたJR211系と313系は、モーターの制御方式こそ
違うものの、ともに電気指令式ブレーキを採用していますので、
併結が比較的簡単に行えます。
 逆に、211系と電磁直通ブレーキの113系は、営業運転では
併結は行われていません。

 もっとも、近鉄特急のように、読替演算装置を用いて
電磁直通ブレーキ車と電気指令式ブレーキを併結している
例もありますが、これは特殊なケースと言えるでしょう。
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質問者様こんにちは



私も♯1さんと同じ様に考えすぎだと思います。また、脱線の間接的要因になっていたのかもしれませんが、確率的にすごく低い(全然問題にならないぐらいに)と思います。

国鉄時代、113系電車(新性能電車)と荷物電車クモユニ74とかクモニ83(旧性能電車)など、併結運転していました。
昔、鉄道ピクトリアルで旧性能電車と新性能電車の併結運転について、鉄道技術研究所でそういった運転をすることについての研究という記事がありました。特性的に走り始めは低速域で旧性能電車が引っ張り(もしくは押し出す。)、高速域になってくると新性能電車の方が力が出て、旧性能電車を押し出す(もしくは引っ張る)様になるそうです。
手元にすぐ資料が無いので、詳細は省かせていただきますが、結論は特に問題はないということでした。

質問者様は鉄道模型を触られてるのでしょうか?
鉄道模型の場合は減速率の高く取れるギアのため、動力車を手で押しても、車輪はロック状態、モーター軸も回転していません。よく、(購入時に同じ機関車でも、重連とか考えているなら、模型屋さんで試運転して動力性能をあわせたほうが良いよ。)という話を聞くと思いますが、こういったギア構造のために、性能があっていないとギクシャクした動作となり、最悪脱線するということで、こういった話がされています。

しかしながら、実物は模型と比べればギア構造が違い、多少前後に引っ張られたり、押されても、遊び(モーターの回転子と固定子の間は空間に過ぎない)があるので、抵抗制御車やVVVF車が併結したところで、問題にならないと考えられます。
考えられない様な動作(一方が加速、もう一方はブレーキ)をしない限り、脱線の要因とは程遠いと考えます。

あくまでも、福知山線の事故原因は70km/h制限の曲線を100km/h越えた速度で侵入したから脱線したのであって、たとえ同性能の車種、番台でも同じ様に相当な超過速度で侵入すれば、遠心力に負けて脱線すると思います。
制限速度を守らないことが前提だったら、JR西日本はモーターうんぬんよりも、全車振り子電車を導入すれば、カーブでの脱線はしにくくなるでしょう。(振り子電車だって限界はありますが・・・・)

※ただし、私は単なる鉄道ファンに過ぎないので、”自信なし”とさせていただきます。
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No.2です


誤:「…高速列車でも問題な異系列の車両…」
正:「…高速列車でも問題なく,異系列の車両…」

 福知山線では,カーブでの速度超過が脱線の引き金となったと思われます.
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 現に,東北新幹線の「はやて」と「こまち」,「Maxやまびこ」と「つばさ」等の高速列車でも問題な異系列の車両を併結運転し,今まで脱

線事故が起こっていないので,福知山線においても無関係だと思いますよ.
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 考えすぎではないでしょうか?



 たしかに3連の編成と4連の編成では、引張力に
差が生じます。
 しかし、この差が問題になるのは、主として
連結器の強度に対してであって、力学的に
即座に脱線の原因に結びつくとは到底思えません。

 最近の電車は、インバータ制御で引張力の制御が
容易になったため、異形式併結が比較的容易になって
います。私のよく乗る中央西線では、211系と313系の
混結は当たり前に見られます。211+213+313なんての
ありました。この場合は、インバータ車が他形式の
特性に合わせた引張特性を出すようにプログラム
されています。

 しかし、昔のたとえば113系などは、
2M2T編成と4M2T編成を併結すれば、編成間に
ガタが生じます。これはやむを得ません。
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