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基本的人権の保障する憲法の規定は私人間の法律関係にも及ぶものなのでしょうか、教えてくださいよろしくお願いします。

A 回答 (2件)

 諸説ありますが、結論としては「適用可能な条文はすべて私人間にも適用すべき」でしょう。

通説と言って良いと思いますし、判例もこの立場に立っていると言えます。

 仮に、憲法上の規定の私人間への適用を認めるとしても、憲法の条文を直接的陽するのか(直接適用)、それとも間接的に適用するのか(間接適用)、理解が別れるところです。18条の奴隷的拘束の禁止のように、私人間に当然に直接適用可能な条文であれば問題ありませんが、その他の自由権・平等権については、両説に分かれます。

 直接適用説とは、憲法上の人権規定の効力を私人間に直接認める説です。シンプルで分かりやすいという利点もありますが、国家対私人という憲法の構図を損ねてしまうことや、21条のような利益相反的な条文では人権の衝突が発生してしまうことがこの説の欠点です。

 これに対して、間接適用説は、人権規定の私人間効力を認めつつも直接に適用することは避け、他の法律を介在させて当該条項を間接的に適用する説です(通説・判例)。たとえば、日産自動車事件では、裁判所は当該差別が14条違反であるとする立場に立ちつつ、直接適用することは避け、民法90条違反により無効としました。多少複雑な法律構成を要しますが、憲法の趣旨を尊重しつつ、事例に応じて柔軟に対応できるという利点があります。

 ただ、前述の18条や、15条4項、28条のように、規定の趣旨・目的から考えて、私人間に対して当然に直接適用される人権もあります。このことを考えると、直接適用か、間接適用かを二者択一的に割り切る必要はないと言えます。事例に応じて、憲法の趣旨を踏まえつつ、当該事件における人権の擁護が優先されることが重要でしょう。

 なお、関連する判例として、日産自動車事件(最判昭和56・3・24)の他に、三菱樹脂事件(最大判昭和48・12・12)、昭和女子大事件(最判昭和49・7・1)等が挙げられます。URLを貼っておきますので、興味があれば調べてみてください。

参考URL:http://www.takagai.jp/catchaser/hanreikenpou.html
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この件に関しては諸説ありまして、実際のところケースバーケースとしかいえないのが実情でしょう。



・私人間にも及ぶとする説(直接適用説)
・私人間には及ばないとする説(無効力説)
・民法の90条に規定される公序良俗をもとに基本的人権の理念を間接的に適用する(間接適用説)

一応通説においては間接適用説が有利な状況です。
ですが、条文中には間接適用説を当てはめることが困難なものもあり(28条、勤労者の権利 18条、奴隷的拘束からの自由 24条、婚姻の自由 等々)ますのでこの場ですべてを語るのはちょっと困難です。
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