ノルウェーの森を読みました.何点か気になりますが,特に緑の父が病床で死の5日前にワタナベに発した「切符・緑・頼む・上野駅」という言葉が気になります.この父が,かなりの弱りきった状態で片腕を懸命に上げてまで伝えたかったことは一体何なのでしょうか?きっと重要なことなのではないかと考えてしまいます.私がワタナベならば,ずっと考えるでしょう.

この他,突撃隊が急遽行方不明になったり,ハツミが数年後に自殺することや,最後にレイコとSEXをすることなど,不可解なことがあり過ぎます.正直に言えば,直子が自殺したことさえも理解ができません.自殺する間際に「一緒に住みましょう」とか言うでしょうか?どういった心境なのでしょうか.他のもいろいろ不可解,解決されていない点があり,それが村上春樹文学なのだと庇護する人が多分にいますが,これらのことについて,「解決してなくてもいいじゃない」という安直逃避的なコメント以外のことで,何か教えていただける方よろしくお願いします.私は,決してこの作品を非難しているわけではなく,純粋に理解,できれば共感したいのです.

A 回答 (2件)

『ノルウェイの森』は分からないところがたくさんありますね。

ぼくにも分からないところがたくさんあります。例えばラストシーンはどうしてあのように終わるのか? どうしてでしょうか?

文学には、村上春樹だけに限らず、分からないところがたくさんあります。その分からないところは、実は作者にさえ分からない場合があります。だからこそ、文学は常に読者によって何度も読み返されます。そして自分なりの答えを見つけ出します。そうでなければ、いまから100年前以上の作家、例えばバルザックの小説なんかがいまだに読まれるわけがないのです。

突撃隊の話は、実話らしいです。たぶん、本当に帰ってこなかったのでしょうね。だからこそ、その謎を読者と共有するために、あのように書いた、あるいは真実そのものとして書いたのかもしれません。それは、作者にさえ分からないことかもしれません。

参考URLに突撃隊にかんする専門家の意見がありますが、これは「解釈の一つ」に過ぎません。このように、一人ひとりが物語を解釈します。そしてそれは読者の数だけあってしかるべき、と常に村上春樹は言っています。そのとおりだと思います。

しかし、分からないから聞きたいというのは誰もが同じです。ということで「僕の解釈」を書きます。これは僕の解釈であり、常にそれに疑いを持ってご自身の解釈を出されることを期待します。

>伝えたかったことは一体何なのでしょうか?
そのままでしょう。緑が回想シーンで家出したときの話を出しています。おそらく脳の病気で意識が混濁していたのでしょう。それらの言葉は、断片的な記憶に浮かんでくるイメージの集合体ではないのでしょうか。誰かと間違っているようだ、とワタナベ君は言いますが、たぶん恋人と間違えたのでしょう。だから緑のことを、そそっかしい奴だから頼む、と。この場合の「頼む」は時代設定から考えて「結婚」を意味しているでしょう。

>ハツミが数年後に自殺すること
ワタナベ君が数年後にその理由を知ります。彼女は、少年や少女のように純粋な心を持ち合わせた人でした。永沢さんのことを本当に、心の底から愛していて、それでも彼は彼女を置いて外国に行きます。そして不本意に別の人と結婚してしまいます。彼女はその状況にどうしても耐えられる人ではありませんでした。彼女は本当に愛せる人は永沢さん一人だったのでしょう。ワタナベ君はそのことを十分に知っていたはずの永沢さんからハツミさんの死に関して「哀しいことだ」という趣旨の手紙を受け取って、激怒します。

>最後にレイコとSEXをする
これは実はものすごく難しい問題です。簡略に書きますが、直子の死によって、二人の心が結び付けられたのでしょう。しかしそれは恋人の関係などではなく、愛情とも少し違う、かなり複雑な感情です。二人ともなぜかは分からないけども、「この人と体を結びたい」と「同時に」思っている点に注目してください。人の心は数学のように割り切れるものではありませんよね? この場合が特にこれに当てはまります。おそらく人によって答えの数が変わってくるほどここの部分の解釈は変わるはずです。セックスに真面目さ、神聖さを求める人には理解しがたく、そうでない人には何の疑問もなく、あるいは説明が難しいけども、二人のそのときの気持ちが痛く分かったり、とさまざまなはずです。作者もその理由は分からないのでは? 人は説明しがたい感情を抱えたりしませんか? もしそうだとしたら、作者はただ単に事実をそのまま提出し、説明を拒むことによって、読者に読解を任せてしまいます。この読解が嫌いな人もいて、そうすると村上春樹の書く文章は「浅くて何も書いていない」となるわけです。この傾向は彼が崇拝するフィッツ・ジェラルドの作品にもあります。

>自殺する間際に「一緒に住みましょう」とか言うでしょうか?
これは誤読でしょう。言ったのは(正確には手紙に書いた)ワタナベ君のほうです。確かめてください。吉祥寺に引越した三日後に直子に宛てて書いた手紙です。
それはそうと、このワタナベ君の書く手紙はとても素敵ですよね。村上春樹の奥さんの陽子さんが結婚するきっかけの一つが、彼がとても手紙を書くのが素敵だった、と述べていますが、なるほど、と思います。

>直子が自殺したこと
心に病を背負い込んでいる人は耐え難い不安と恐怖と共に生きなければなりません。小説の中で直子がいつも幻聴や幻覚におびえ、レイコさんに泣いていたことを思い出してください。直子は病状が悪化するに連れて、もう耐え切れなくなってしまったのでしょう。
彼女が本当に愛していたのはキズキ君ただ一人であるのに、セックスができませんでした。それができたのは「愛してさえもいない」ワタナベ君とでした。その理由がおそらく純粋な心を持つ直子には理解しがいたいものであったはずです。「どうして私と寝たりしたの?」とワタナベ君に詰め寄ります。この彼とのセックスの持つ意味がとても重要だったことは、直子が自殺する前夜に、レイコさんに詳細に語ることによってある程度明らかになります。だって、死のうとする前に語るのが、彼とのセックスの話ですよ? よほどのことだったのでしょう。

『ノルウェイの森』にでてくるセックスは、それぞれにさまざまな意味を持っており、一つ一つを注意深く読む必要があるのでは、と思っています。しかしそれすらも僕の解釈であり、人によっては無意味なラブシーンくらいにしか思えない場合もあるでしょう。

長くなりましたが、以上が僕の解釈です。反論その他もろもろあるでしょうが、それすら含めて文学とはさまざまな可能性を含んでいます。文学の面白さとはこういうところにもあるのだと実感します。

参考URL:http://be.asahi.com/20050702/W21/0001.html
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>正直に言えば,直子が自殺したことさえも理解ができません.自殺する間際に「一緒に住みましょう」とか言うでしょうか?どういった心境なのでしょうか.



最近読み返していないのでよく憶えていないのですが、
直子は精神を病んでいましたよね。
ですから、生き難い状態にあったのだと思います。
あるいはもともとキヅキ君が死んだあたりから、この世に生きることが難しくなっていたのかもしれません。
人間は、あまりにも二人でセットみたいにいると、自分の存在が危うくなることがあります。

一緒に住もうと言ったんでしたっけ?
この世に留まろうか、消えてしまおうか(生き続けるか・生きるのをやめるか)直子本人も迷っていたのではないかと思います。
直子も、一瞬は本気で思ったのかもしれません。
あるいは、本気のつもりで思い込んだか、思い込もうとしたか。
でもやっぱり、向こうの(彼岸の)世界に引かれてしまったとか。
死ぬ前に言うことはありうると思います。
ちょっとは生きたい気持ちも残っているのであれば。

残念ながら直子を引き止めるだけの強いストッパーになるものが、この世には無かったんでしょう。
それとも、死に引かれる力の強さに直子が抵抗を諦めて身をゆだねたか。

精神的に不安定で死と生の狭間をゆらゆらしている状態というのは、健康な人の感覚とは違うんじゃないでしょうか。
入院したことはありませんが、少しは経験があるので精神的な闇や、生きているだけで辛い状態は理解できます。

それはさておき、直子みたいな人(キャラクター)はやはり、この世に生き続けることはできないだろう、と思います。
繊細な月明かりのように脆く危うい感じで、昼間には存在できないような。

レイコさんや緑は現世とつながっているから生きて行ける。

作品解釈は、ファンがネット上であれこれ行っていると思いますが、読んでみましたか?(私は興味ないので読んでいませんが)

裏話としては、
『100%の恋愛小説』みたいなキャッチフレーズが付いておりましたが、あれはハルキさん本人は「100%リアリズム小説」(羊をめぐる冒険などの架空世界的作品に対して)という気持ちが大きかったようです。
でも「リアリズム」じゃあちょっと身もふたもない・・・ということでああなったようですが。

それと、それまでの作品ではあえて死とセックスは書かない方針で書いてきたのを、この作品ではとことん書こう、と考えたんだそうです。
だからそういう要素や場面がそれまでの作品より増えてます。
ということらしい(ご本人が語っていた対談集やエッセイを読んだ記憶より)。

『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』あたりをお読みになるといいかもしれません。

参考URL:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101001 …
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http://www.h6.dion.ne.jp/~jikenbo/f_totsugawa.html
このサイトを参考に。
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>・かなり昔のだと思うのですが、東京都民全員が人質のような話で、十津川さんが出ていた話はなかったでしょうか?
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Aベストアンサー

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でも今調べてみたら「こびとと靴屋」で出てきました。
どっちでも一緒?(^^);

グリム童話ですねー♪

参考URL:http://homepage1.nifty.com/wataru-norie/new_page_5.htm

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Qたぶんアガサ・クリスティだと思うのですが...

この本を探しています。
●ポワロやマープルは出てこなかったように思います。
●男の人が主人公でした。
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殺人現場の向かいのフラットの女の子(足が悪いかなにかでずっと窓の外を見ている)の、「そういえばあの日○○屋さんがきて、・・・でおかしいなと思ったの」という証言で一気に解決!だったと思います。
●よろしくお願いします。

Aベストアンサー

こんにちは☆
お探しの本は、
★アガサ・クリスティー『複数の時計』(原題は.."THE CLOCKS")
ではないかと思います。

他殺体発見現場に偶然居合わせたコリン(秘密情報部員・海生物学者)の捜査手記が中心になって話が展開していきます。ポアロも所々登場します・・

コリンが捜査をしていると、向かいのアパートで何かがキラキラ光る。
ポケットから双眼鏡を取り出し見てみると、10歳くらいの少女がオペラグラスで覗いている。早速コリンは少女を訪ねる。少女は足を骨折していて、片足にギブスをはめていた。

という場面が出てきます。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150700060/qid=1139888739/sr=1-2/ref=sr_1_2_2/249-9426275-5415507

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4151300295/qid=1139888739/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/249-9426275-5415507

クリスティーの作品はほとんど読みましたが他に当てはまりそうな作品が思い浮かびません。

お探しの本だと良いのですが(^^;
違っていたらすみません。

こんにちは☆
お探しの本は、
★アガサ・クリスティー『複数の時計』(原題は.."THE CLOCKS")
ではないかと思います。

他殺体発見現場に偶然居合わせたコリン(秘密情報部員・海生物学者)の捜査手記が中心になって話が展開していきます。ポアロも所々登場します・・

コリンが捜査をしていると、向かいのアパートで何かがキラキラ光る。
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