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確定日付ある証書の意義について教えてください。

(1)確定日付ある証書とは何か?
(2)確定日付がある場合とない場合ではどう違うか?
(3)確定日付ある証書が個別に複数あり、またそれが同日時であった場合、優先さるものはどれか?

(1)や(2)はなんとなくわかるのですが、一番答えていただきたいものは(3)です。詳しく説明が載っているサイトだけでもいいので教えてください!!!お願いします。

A 回答 (2件)

 はじめまして、「確定日付ある証書」というのは民法467条の債権譲渡という問題を考えるときに出てくるものですね。

ちょっと複雑なところもありますが、なるべく判り易く説明してみたいと思います。

 何はともあれ、まず条文を見てみましょう(口語体)。
467条〔債権譲渡〕
 1項
 手形や小切手などと異なり、貸し金や売掛金などのように債権者のはっきりした通常の債権(これらを指名債権といいます)を譲渡するときには、譲渡人である債権者から債務者に対して「誰々に譲渡した」という通知を出すか、または債務者の承諾がなければ、その債権を譲り受けた者は、債務者または第三者にその債権の譲渡があったことを主張することはできない。
 2項
 ことに前項に規定する債権譲渡の通知または承諾は債務者以外の第三者に対しては、「確定日付ある証書」がなければ債権の譲渡を主張することはできない。


 まず1項の存在理由を考えましょう。この規定は一体なんのためにあるのでしょうか? それは、債権というものが、日常ではよく人から人へと譲り渡されていきます。その債権の取引を安全で円滑なものにしようとしたのがこの規定の存在理由です。 
 
 例えば、仮にわたしが-hiiro-さんに百万円を貸したとしましょう。支払期限はちょうど一年の予定でしたが、わたしの方が途中でお金に困ってしまいました。なんとか早くその百万円を返して欲しいと思ったとき、Aさんが現れて、「minojunさんよ、その百万円の債権を俺が50万円で買い取ろうじゃねぇか。たった今現金で支払うぜ?」と言われたらどうでしょう。確かに債権額が半分になってしまい、損をするのはわたしの方ですが、わたしも今手元に現金がないと会社が倒産するとか不渡りを出してしまうとかといった状態になっていたとしたら、仕方が在りません。その百万円の貸し金債権をAさんに50万円で譲ってしまうでしょう。ところがそれを-hiiro-さんに知らせずにそのまま放っておいたらどうでしょう? 一年後にAさんが-hiiro-さんのところにやって来て、「やぁ、例のminojunから借りてる百万円は俺に払ってもらおうか」なんて言われて、きっと-hiiro-さんも驚いてしまいますよね。しかも一足違いでわたしに返済してしまっていたとしたらどうでしょう。Aさんは取り逸れてしまいます。そこで、このように債権を譲り受けたと主張したい立場のAさん(譲受人)は、債務者に対して債権者から通知させるか、債務者本人が承諾し納得していないと主張できないことにしたのです。これによって譲受人の利益も守られるし、債務者としても、間違って支払ったり、二重に請求されたりという危険性がなくなる訳です。

 次に2項の存在理由です。2項は債権が万が一、二重に譲渡されてしまった場合
を想定しています。

 先ほどの事例で、確かにわたしは目先の現金ために百万円の貸し金債権をAさんに50万円で譲ってしまいました。Aさんも「じゃ確かにこの債権は俺のものだな。ワッハッハ、安い買い物じゃったわい!」と笑いながら帰っていきました。わたしは独り百万円の半額の50万円を握り締めて泣いていると、Bさんがやって来ました。「ねぇ、確かキミ、-hiiro-さんに百万円貸してたよね? その債権、ボクが80万円でなら買ってもいいけど売ってくんない?」と持ちかけたのです。そう、ずる賢いわたしは金に困っているのですんなり「いいよ、現金80万円持ってるなら今すぐ-hiiro-さんに電話して君に売ったことを通知してあげるよ。」と承諾してしまい、既にAさんに売ったはずの債権を更にBさんにも売ってしまいました。これが二重譲渡です。こんな事例は日常社会では頻繁に見られます。

 また、更にわたしとBさんと-hiiro-さんの3人がグルだったとした場合はどうでしょう? 最初からAさんから50万円を騙し取るつもりで3人で茶番劇を打った場合です。

 例えば、「いや~、Aさん、実はねぇAさんに売る前にBさんに売っちゃってたんだよねぇ、この債権。嘘だと思うなら-hiiro-さんに聞いてもいいよ、もう確か-hiiro-さんはBさんに支払っちゃったって言ってたけど」なんて事が出来ちゃう訳ですね。そしてAさんは債権を手に入れられずに50万円騙し取られる結果になります。このように当事者だけでこっそりズルをすることができてしまうのです。

 とすれば、この2項の「確定日付ある証書」というものの重要性が理解できてきますね。そうです。どんなにBさんが高い金で後からその債権を手に入れようとしても、また一部の当事者同士が先に売ったとか買ったとか主張しても、「確定日付ある証書」がない限り、その債権譲渡は有効とはならないのです。
 
 そこで-hiiro-さんの質問の。(1)と(2)はほぼご理解戴けたと思います。
(1)確定日付ある証書とは何か?
 確定日付ある証書とは、
 1・公正証書
 2・公証人役場または登記所で日付ある印章を押した私署証書
 3・官庁または公署(郵便局など)で、ある事項を記入した日付を記載した
   私署証書(内容証明郵便など)のことをいう。
(2)確定日付がある場合とない場合ではどう違うか?
   債権が二重に譲渡された場合、債権を有効に譲り受けたと主張するため
   には「確定日付ある証書」をその権利主張の要件とする。


 さて、そんな貴重な価値のある「確定日付ある証書」ですが、ときにはそれが複数存在することがあります。譲受人だと主張するAさんとBさんがそれぞれにそれを揃えることは可能です。一人は公証人役場で公正証書を作り、もう一人は郵便局で内容証明郵便を出す、という場合もあるし、2人が同時に別々の郵便局から内容証明郵便を出したという場合もあるでしょう。そんなときは一体どうなるんでしょうか?
 実はこれには説が分かれていて、「確定日付説」と「到達時説」という学説で少し揉めています。

 「確定日付説」というのは、例えばAさんが内容証明郵便を最寄の郵便局から出したのが1月8日、同じようにBさんがその最寄の郵便局から内容証明郵便を出したのが1月10日だったとしたら、確定日付が早かったAさんに債権の譲受権限を認めようとする考え方です。しかし、この場合に、もしもAさんが少し遠くに住んでいたために-hiiro-さん宅にその郵便が配達されるのが遅かった場合どうしましょう? Aさんの郵便が1月の11日にしか到着しなかったのに、たまたま近所に住んでいたBさんの「確定日付つき証書」が1月10日に到着し、几帳面な-hiiro-さんはさっそくその日の内にBさんに債務を支払ってしまう場合も考えられますね。更には、実はCさんやDさんやEさんなどが現れ、「俺もminojunの野郎からこの債権買ったんだぞ!」といって、それぞれ1月7日、1月6日、1月5日と一日違いの確定日付証書を持っていたとしたら、このような確定証書を持った人があと何人現れるか検討がつかず、いつまで経っても真の権利者を確定できない事態になります。

 郵便配達屋さん、Aさん、Bさん、-hiiro-さん、決して誰にも責任はないのにこのような結果になることが十分考えられます。この説はこの点で妥当でないと批判されます。

 これに対して「到着時説」はどうでしょう? この説は確定日付に関係なく、債務者に到達したのが早い方にその権利を認めようとするものです。その方が債務者してしは判り易いとも言えますが、到達時説も決して完全ではありません。というのも、内容証明郵便なら到達時がはっきりしますが、公正証書を単に郵送したりする場合もありますし、債務者と譲受人の陰謀でいくらでも勝手に誤魔化すことができてしまいます。常に客観的な公正さを図るという意味ではこの到着時説もちょっと問題ありです。

 しかし、先ほどのように債権譲渡は、一つの債権が3人とか5人といった大勢の人に渡る場合もある訳で、そんなとき、最後に債権を譲り受ようとする者にとってみれば、一体誰がホントの債権者か判らないこともあります。そんなとき、一番手っ取り早いのは「今君の債権持ってる人は誰?」と債務者に聞くのが一番安全です。このことを「債務者の公示機能」といいます。

 とすれば、債務者に公示機能を担わせたり、権利者を確定するのに簡素なのはやはりこの「到達時説」だと言われています。判例もこの説を採用しています。

 最後に、では「到達時説」に立ったとして、同時に到達した場合や、いくつも到達していてどれが先に到達したものか分からなくなってしまうことが考えられます。そんなときはどうすればいいのでしょう?

 判例は、そのようなときはAさんBさんいずれにも権利を認めるとしています。
そして、その正当な権利者同士で按分して債権を分配するようにしなさい、としています。確かにAさんもBさんも何の落ち度もなく「確定日付証書」まで揃えたのに全く権利が認められないのも可哀相だし、どちらか一方に認めるのも酷です。

 そこで、あまり法律的解決方法ではありませんが、裁判所はどちらにも半分づつの権利を認める事で、この問題を解決しようと図っています。痛み分けって事ですね。

 大変長々と説明してしまいましたが、納得して戴けたでしょうか? えぇ?余計にこんがらがってしまった? し、失礼しました。

 まだ腑に落ちないという点がありましたら、補足して下さればまた回答させて戴きます。

 ではでは。
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「確定日付ある証書」と云えば、私の場合、公証人の「認証」です。

即ち、私製証書について公証人に日付印をもらい、その私製証書が、その日に作成されたものであることを後の裁判で証拠として提出するためのものです。通常の私製証書より強力に証拠としての意味があります。(3)の同一証書が同一日時の認証は考えにくく、実務ではあり得ないと思います。あるとすれば優先は裁判所の判断によると思われます。
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