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素朴な疑問なのですが教えてください。
一般に、物理学の理論は測定精度を上げると反証されやすくなりますよね。でも、推測統計の場合、データ数を増やし、実験精度を高めると対立仮説が採択されやすくなります。これはどうしてなのですか?

A 回答 (2件)

 用語に振り回されていらっしゃるだけとお見受けします。



「対立仮説」というのは、「帰無仮説」の否定のことです。

帰無仮説:「変量Aの平均値は0である」
対立仮説:「変量Aの平均値は0でない」

Aの測定データを沢山集め、帰無仮説を仮定して検定を行います。(ここで、対立仮説を仮定しても検定にはならない。なぜなら対立仮説は変量Aの平均値が幾らであるかについて、具体的には何も述べていないからです。この意味で、stomachmanは「対立仮説」という概念は不必要、むしろ混乱の元であると考えています。)
 検定の結果、ある危険率で帰無仮説が棄却されたとき(すなわち対立仮説が採択されたとき)、「危険率XXで、変量Aの平均値は0でない」と言える。
 しかし帰無仮説が棄却されなかったときには、帰無仮説「変量Aの平均値は0である」が採用される訳ではない。せいぜい、「計測したデータと帰無仮説とは矛盾しない」としか言えません。厳密には何も言えないのです。
 この点を間違えている教科書すらあるようなので要注意です。もし棄却できない帰無仮説が採択されてしまうと考えるとおかしなことになります。
 例えば、「変量Aの平均値は0.0001である」という帰無仮説もまた、同じデータによって棄却できないかもしれません。すると、「変量Aの平均値は0である」と「変量Aの平均値は0.0001である」とが共に真なる命題ということになりますが、両者は矛盾していますね。

 さて、物理の理論から導かれる予測、というのはこの種の帰無仮説に他なりません。データが少なかったり測定誤差が大きい内は棄却されることはなく「計測したデータと理論とは矛盾しない」と言っていられても、いずれ反証となるデータが得られる可能性は常にある。ゆえに、確立された揺るぎない法則、というものはあり得ないのが、自然科学の大原則なのです。
 例えば、「重力は距離の2乗に反比例する」という帰無仮説は、距離が非常に大きい場合には精密なデータがあるけれど、数キロメートル~数メートルの範囲ではデータがほとんどありません。ですから、この範囲では理論は成り立たないのではないか、という可能性が実際何度も検討されています。

この回答への補足

直接関係ありませんが、最後に書いていただいた「数キロメートル~数メートルの範囲では重力の法則が成り立たない可能性」、初めてききました。面白いですね。このことにかんしてfurther readingなどありましたら是非教えてください。

補足日時:2002/02/04 07:30
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この回答へのお礼

どうもありがとうございました。
・「科学の法則」=「帰無仮説」
・「対立仮説」=「帰無仮設の否定」にすぎない
・帰無仮説は、積極的に棄却されなくとも<証明された>わけではない
ということなのですね(この把握が間違っていたら申し訳ありませんが教えてください)。
統計学は自習しているのでなかなか概念がつかめず混乱していました。もやもやだった部分をうまく言語化していただいて嬉しいです。ありがとうございました。

お礼日時:2002/02/04 07:30

>直接関係ありませんが、最後に書いていただいた「数キロメートル~数メートルの範囲では重力の法則が成り立たない可能性」、初めてききました。

面白いですね。このことにかんしてfurther readingなどありましたら是非教えてください。

「物理の種明かし」シリーズの「重力場とスカラー場」は、読みやすいです。(数式にこだわらなければ。)
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この回答へのお礼

ありがとうございます。図書館にあるようなので是非見てみたいと思います。

お礼日時:2002/02/07 12:49

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