XPSで金属試料を測定しているときに
例えば20回同じ条件で測定してその平均を取る場合で、
時々、明らかに違う強度のバックグラウンドとピーク高さがでる時があります。
これは高くなるときもあり、また低くなるときもあります。
これじゃ平均するにしてもばらつきが出てしまいますよね・・。
これはX線を試料に当てていても、
同じ時間間隔で光電子が放出されていないということでしょうか。
また測定しているうちに試料に気体分子が吸着してIMFP(光電子の非弾性衝突を意味する平均自由行程)が変化することがあるのでしょうか。
それとも私が扱っている機器に何らかの支障があるのか・・・・。
X線源の配線が一本切れやすくなっているのもあります。。
(切れるたびにハンダで修理してます)
アドバイスを戴けたら幸いです。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
薄膜など薄いもので測定したことはないのであまり自信がありませんが
数原子層だとノイズが多くなるかもしれませんね。
機械的なものか材料的なものかを判断するには、
蒸着される前に下地の金属のXPSを測られてはどうでしょう?
下地の金属ならかなり強い強度が出るでしょうから、これで
ノイズがあまりなければ装置は問題なしということになります。
これでもノイズが出るのなら明らかに装置がおかしいでしょう。
ノイズの多い場合は20回で終わらせずに50回、100回、200回と
やってみられてはどうでしょうか?(かなり時間がかかりますが)
私は50回が最高ですが、先輩方は200回とか取られたことあるようです。
エージングは、X線(フィラメント)の準備運動とでもいえばいいでしょうか?
波形分離など細かいデータを取る時には、やっておいた方がいいでしょうが
survey scanとかならやる必要はないと思いますが。。。
たしかに定量って難しいですよ。一番いいのはXPSだけでなく、同じチャンバーに
その他の装置もついている(たとえばAES)と2方向から定量できるので
いいと思いますが。(お金の問題で無理かもしれませんね)
回答ありがとうございます。
蒸着する前の下地の金属は測ってみています。
その薄膜を見るスペクトル領域での、下地金属のノイズですが、
これがまたかなり変動するのです・・。
pass energyを23.5~29でやることが多いのですが、
23.5の時ではノイズ強度が2300(c/sec)だったのが、
いきなり1800になってみたり、そこから2000に持ちなおしてみて・・・・
というようにとてもランダムでした。
128yenさんのおっしゃるとおり、装置の問題なのかもしれません。
エージングもそれにかかわってくるのですね。
フィラメントからの熱電子を一定にしたいために時間をかけて
準備運動させるというように解釈しましたが、
薄膜の場合はそれが必須のような気がしてきました。
今度の実験で試してみます。
同じチャンバー内に・・・・
”in situ”ってやつですよね。
一応装置にAESはついていますが、LEEDを無理やりAESに仕様変換したもので
先輩の話ではあまり精度はよろしくないようです。 ;-;
AFMもあるにはありますが・・・・大気にさらさなければならないので。。
組成が変わってしまいそうで信頼度がガクッと下がりそうで怖いです(笑)。
それにしても200回測定ってすごいですね・・・
No.1
- 回答日時:
こんにちは。
以前、gods-twilightさんに助けていただいた者です(笑)
よほどピーク強度の弱い試料でない限り、普通の状態では
こういうことはありえません。金属試料というのは単体でしょうか?
それともある物質に数%含まれている金属とかを測定しているのでしょうか?
文章からするとはっきりしたピーク強度の試料をはかっていると思いますが。
測定しているうちに試料に気体分子が吸着してIMFPが変化するとありますが、
そうであるとするならば真空度が変化すると思います。
測定中の真空度はどうなっているでしょうか?
もしかすると真空度が悪い状態で測定しているせいかもしれません。
もし測定中に真空度が変動していれば、装置内部でガスが発生している
可能性も考えられます。たとえば金属試料の固定方法ですが、
銀ペーストなどガスの出やすい方法ですと変動するかもしれません。
(私の経験ではそういうことはありませんでしたが)
X線源の配線というのは何ですか?もしかしてフィラメントの配線ですか?
おそらく外部の配線だと思いますが。
あと考えられるのは、X線フィラメントのデガスはちゃんとやっているでしょうか?
デガスをしていないとフィラメントから少しずつガスが出ますので。
あと測定前にエージングはやっているでしょうか?X線は安定するまでに時間が
かかります。安定するまで1時間ぐらい(それ以上)X線を出してあげてから
測定をしてみてください。
私の考えれる原因はこれぐらいでしょうか?(どういう装置を使っているのか
わかればもうちょっと手助けできるかもしれませんが)
回答ありがとうございます。
また128yenさんに助けてもらってしまいました(笑)
測定している金属試料は、金属基盤に、それとは異なる金属を1/2~数単原子層程度真空蒸着し薄膜にした状態のものです。(加熱するのでバルク内に侵入しています)
やはりこの程度の試料では、ピーク強度・ピーク面積とバックグラウンドのズレは仕方がないことなのでしょうか・・・。
測定中の真空度は、1×10のマイナス9乗で、蒸着源を動作させて測定しているときは1×10マイナス8乗の付近です。
通常は超高真空を維持できています。
デガスは、X線源・イオンガン・アナライザとやっていますし、試料加熱もしています。もちろんベークもです。
ただ、エージングはしていませんでした。
安定するまでに時間がかかる・・・というのはなぜでしょう・・・?
気体分子を取り払うという意味でしょうか。
定量って難しいですね。。
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