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基本的な質問で申し訳ないのですが、電気泳動を行なう際に、サンプルのジスルフィド結合を還元し、SDSを結合させて、電荷を等しくするという処理を行ないますが、ここでもし熱処理を行なわなかったら、泳動の結果、バンドに具体的にはどのような違いが出るのでしょうか。

A 回答 (2件)

加熱処理は、ペプチドの二次・三次構造を壊して、ランダムコイル状に変性させるために行います。

SDS自体にタンパク変性作用があるため、加熱処理は必ずしも必要なく、室温で一晩静置するという方法もあります。一般には、実験時間を短縮するため、過熱処理を行うわけです。

No.1の方が回答されているように、ペプチドの変性が十分に行われないとバンドはスメアになります。ペプチド分子ごとにSDSの付き方が異なってくるからです。ただNo.1の方の回答で誤っている点は、「変性が不十分だと理屈上速く流れます (バンドは下に来ます)」という箇所です。実際には、未変性のペプチドの泳動は遅れます(バンドは上に来ます)。

SDS分子は強いマイナスチャージを持っていますから、互いに強く反発します。このためペプチド鎖の一箇所にSDS分子が結合すると、その近くには他のSDS分子は結合することはできません。したがって、ペプチドが高次構造を保ったままコンパクトにまとまっていると、電気的反発力を緩和できないため、結合しうるSDSの量は極めて少なくなります。ランダムコイル状に変性しペプチド鎖が最大限に伸びることによって、最大量のSDSを結合することができるのです。

SDS電気泳動では、分子の大小よりも、チャージの大少の方が大きく影響します。変性が不十分な場合、マイナスチャージが少ない分ペプチド分子にかかる力が減少し、ペプチドの泳動速度は遅れ、実際より高分子量に換算されます。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。
とても分かりやすく、納得がいきました。
調べてもあまり行き着かなかったものばかりで、
とても参考になります。

お礼日時:2006/05/30 19:20

熱処理は SDS の結合よりも、その前のタンパク質の変性目的なので、熱処理を怠った場合、タンパク質の「見かけ上の大きさ」は変性したものより小さくなるので、SDS の結合数が同じだとすると、理屈上速く流れます (バンドは下に来ます)。

現実には、SDS の結合数も異なってくるでしょうし、実際にはバンドが「スミア」になることが多いです (タンパク質の種類と量によっては、結果的にさほど熱処理が必要でないこともあるようです)。

この回答への補足

大変丁寧で分かりやすい回答ありがとうございます。
またしても基本的な質問で申し訳ないのですが、
なぜ熱処理を怠った場合、タンパク質の見かけ上の大きさは小さくなるのでしょうか?
私には逆に変性しないので大きくなってしまうようにしか思えないのですが。。。

補足日時:2006/05/29 22:30
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