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乙川優三郎の作品がお好きな方、おすすめを紹介してください。理由も書いて頂けると幸いです。宜しくお願い致します。

A 回答 (2件)

先の方のご推薦の作品も良いですが、それらを除いて


長編、短編各2作品を選びました。

若いころは理想に燃えて生きて、そして老境にさしかかったころのセリフとその場面がすてきですね。

『霧の橋』第7回時代小説大賞
「老いて一生を振り返ったときに、諸手を挙げて喜べる人などいないのじゃないですかね。必ずひとつやふたつの不幸に出会い不運にも巡り合う。その中にはうまく乗り越えられないものもあっていつまでもしつこく心に残る。ですが、結局人間はいまの自分に満足がいくかどうかではないでしょうか」

『蔓の端々』
「明日のことを考えられなくなったら人間は仕舞だ。いかに財を成そうがそうでなかろうが、明日のことを考えぬ人間は惨めだ。若いころは、十年、二十年先まで考えたものだが、歳をとるにつれて五年さき、一年さきとなり、そしてとうとう明日のことすら考えられなくなってしまった」

暗い、やりきれないストーリーの中に、弱者に対する思いやりが溢れています。
主人公のセリフがそのことを如実に物語っています。

『安穏河原』
「あんな者とかこんな娘とか、同じ人間に対して言うことではないでしょう。あの子もあの子の母親も人並みの運に恵まれなかったことを除けば、あなたの娘さんとだって何も違いやしない。いや、もしかすると、あなたたち父娘よりずっと立派な人間かも知れませんよ」

『早梅記』
「そうして人とのつながりを頼りに暮らしておりますが、貧しいつながりはたやすく切れることはありません」
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この回答へのお礼

丁寧なご回答をどうもありがとうございました。参考にさせて頂きますね。

お礼日時:2006/07/07 02:31

時代は流れても、人の感情や行動には変わらないものが確かにここにはある。

そんなことを教えてくれるのが、氏の作品だと思います。山本周五郎や藤沢周平を彷彿とさせます。表現は繊細で登場人物の心理描写が多く、「暗い」印象を受けます。読者の心に重く響き、考えさせます。しかし、それだからこそ最後の場面は感動的です。

お薦めは

 「生きる」(直木賞受賞作、文春文庫)
 「五年の梅」(山本周五郎賞、新潮文庫)
 「武家用心集」(集英社文庫) 




 
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この回答へのお礼

丁寧なご回答をどうもありがとうございました。参考にさせて頂きますね。

お礼日時:2006/07/07 02:30

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