街中で見かけて「グッときた人」の思い出

実対称行列A:=
| 0 1 2 |
| 1 1 3 |
| 2 3 0 |
に対し、tPAPが対角行列となるような実正則行列Pはどのように求めればよいのでしょうか?
この場合は、固有値&固有ベクトルが簡単には求まらないので、簡単には対角化のための行列が求まりません。(たいていの問題では求まるんですが。)
このような時は実二次形式を利用して解く、というような事は、色々見るのですが、いざやってみると行列Aの第1行第1列が"0"である事が非常に扱いづらいのです。つまり基本行変形だけで三角行列に変形できないのです。
どなたか教えていただけないでしょうか?

A 回答 (2件)

固有方程式は


x^3-x^2-14x-8=0
なので、これは当然3実数解を持つわけですが(実対称行列だから当たり前)、因数分解できない以上、具体的に求めるにはカルダノの公式なりなんなりを用いる必要があります。実際解いてみると相当に汚い式になります(たぶんAN.1様は計算違いをされていると思います)。である以上、P^{-1}APを対角行列にする実正則行列Pも必然的に汚くならざるを得ず、求めるのは大変困難です。実二次形式を利用したからといって簡単になるわけではないのです。

かくなる上は、ということで、実対称行列の場合は、P^{-1}APが対角行列となるようなPを見つけるのは諦めて、tPAPが対角行列になるようなPを求めよう、とそういうことになっているのです。それなら簡単に計算できるからです。これは通常の対角化とは異なる概念です。もしtP=P^
{-1}なら、つまりPが直交行列なら通常の対角化と同一ですが、そうでない場合は異なる行列の変形(tPAP)を考えているので、P^{-1}APとは違うんですね。ちなみにここはきちんと理解しておくべきことですが、行列P^{-1}APと行列Aの固有方程式はまったく同一です。したがって、この変換P^{-1}APは固有値を変化させないのですが、一般に変換tPAPは固有方程式を変えてしまいます。対角化行列tPAPの対角成分に並んでいる数は一般にはAの固有値とは異なります。ですが、実対称行列の固有値は必ず実数であり、変換行列tPAPの正の固有値の個数とAの正の固有値の個数、あるいはtPAPの負の固有値の個数とAの負の固有値の個数は一致します。このことは変換tPAPの「符号を変えない」という表現に集約できます。シルベスター標準形というのは、そういう概念なんですね。

では、実際にどうやって対角化を実行するか?ということですが、これは一言で言えば平方完成なんですね。3次の実対称行列Aが与えられたとして、ベクトルx=t(x_1,x_2,x_3)を考えます。tは転置の意味で、xは縦ベクトルと思ってください。そうするとtxAxなる二次形式を考えることができます。成分表示すると、Σ_{i,j}a_{ij}x_ix_jです。つまり単項式x_ix_jの係数が行列Aのij成分だと思うわけですね。これで実二次形式と実対称行列全体が完全に1対1に対応します。

さてtPAPが対角行列になるとはどういうことかというと、tPAPに対応する二次形式がx_1^2、x_2^2、x_3^2の項しか含まない、ということです。であれば、Σ_{i,j}a_{ij}x_ix_jを平方完成してやればよいではないか、ということになります。具体的にはこうします。

Aに対応する二次形式は(あとの都合でxではなくyで書きます)
2y_1y_2+4y_1y_3+y_2^2+6y_2y_3
だから、これを平方完成して、
(y_1+y_2+3y_3)^2-(y_1+y_3)^2-8y_3^2
です。
したがって
x_1=y_1+y_2+3y_3
x_2=y_1+y_3
x_3=y_3
とでもしてやれば、行列P=
| 1 1 3 |
| 1 0 1 |
| 0 0 1 |
によって、y=Pxとなることが簡単に分かります。したがって
tx(tPAP)x=t(Px)A(Px)=tyAy=…=x_1^2-x_2^2-8x_3^2
となって、tPAPに対応する二次形式は二乗の項しか含まず、tPAPは対角成分が{1,-1,-8}の対角行列であることがわかります。

理論も含めて手続きはすべて述べましたが、実際にいくつか計算してみないとしっくりこないと思います。まずはとりあえず対称行列を上の方法で対角化する例題を何問か計算してみてください。その上でどうしてこれでうまくいくのか考えて見られたらよいでしょう。よくわからなければ線形代数の教科書も参考にしてみてください。ちなみに平方完成の仕方は中学で習っていると思いますが、たとえばx_2^2があれば、まずx_2以外を定数とみて平方完成をする。残ったx_2以外の多項式を同様に平方完成していく、という方法でできます。対角成分が全部0になっているときは難しいのですが、この場合はたとえばx_1=(x_1'+x_2')/2,x_2=(x_1'-x_2')/2,x_3=x_3'と置き換えるとうまくいったりします。これも詳しくは教科書に書いてあると思うので、その例題を参考にしてみてください。

しつこいですが、普通の対角化とはちょっと違う手続きだ、ということをお忘れなく!
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この回答へのお礼

なるほど、非常に良く分かりました!Aに対応する二次形式を平方完成させると、tPAPに対応する二次形式は二乗の項しか出ず、tPAPは対角行列になるのですね。
本当に親切で分かりやすい説明ありがとうございます。こんなに丁寧に書いてくださるなんて信じられませんでした!おかげで、今まで何となくしか分かっていなかった事もはっきりしましたし、色々な定理が実際の問題でどのように関係しているのかも理解できました。これから色々練習してみます。

お礼日時:2006/07/17 15:59

固有値は簡単に求められます。


基本変形よりも簡単では?

三行三列の行列の固有値は大抵簡単な三次方程式です。
固有ベクトルまでは計算しませんでしたが、固有値が一桁の数であるところを見ると、
こちらも簡単に求められるはずです。


注意に「課題内容を転載しているものは著作権の侵害となりますため質問削除となります。」
とありますので、これからは注意してください。
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