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以下の件で法律的に問題となるのか悩んでいます。

学校法人へ理事長から無利息の貸付を行おうとしました。
私立学校法で民法57条を準用しています。民法57条では「法人ト理事トノ利益相反スル事項ニ付キテハ理事ハ代理権ヲ有セス」とあります。
無利息ということで利益相反にはあたらないと思うのですが、57条では代理権という言葉を使っています。代理だとすると理事長名で借入を行うと民法108条の自己契約及び双方代理の禁止に抵触してしまうのでしょうか。(当学校法人では代表権は理事長に限られているので特別代理人の選定が必要なのでしょうか。)

法律に明るい方、学校の運営に携わっている方、御教授下さると助かります。
宜しくお願いします。

A 回答 (1件)

 結論的には、無担保貸付であれば、特別代理人の選任は不要と考えます。



1 私立学校法49条、民法57条との関係
 商法265条1項前段は、「取締役が……自己又は第三者の為に会社と取引を為すには取締役会の承認を受くることを要す。」と規定していますが、最高裁昭和38年12月6日判決は、取締役が会社に対して無利息、無担保で金銭を貸し付ける行為は、ここにいう「取引」にはあたらない旨判示しています。

 私立学校法49条によって準用される民法57条は、商法265条1項前段と同様、理事が学校法人の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図ることを防止する趣旨の規定ですから、理事長が学校法人に対して無利息、無担保で金銭を貸し付ける行為は、ここにいう「利益相反する事項」にあたらないと考えます。

 したがって、pochi_2002さんがお尋ねの、「理事長が学校法人に対して無利息で金銭を貸し付ける」という事例では、無担保貸付であれば、特別代理人の選任は不要となるわけです(理事長が担保を徴求する場合には、担保物件の選択などの場面で、理事長と学校法人の利益が相反することがあり得ますから、原則どおり特別代理人を選任すべきでしょう。)。

2 民法108条との関係
 民法108条本文は、いわゆる自己契約を禁止していますが、同条但書は、「債務の履行」については自己契約の禁止は及ばない旨規定しています。
 その趣旨は、すでに発生している債務を履行するだけであれば、それによって新たに権利義務が創設されるわけではないから、代理人が本人の利益を犠牲にして自己の利益を図るおそれがないということにあります。

 つまり、「債務の履行」に限らず、代理人が本人の利益を犠牲にするおそれがない行為であれば、自己契約にあたる行為であっても、同条に違反しないと解すべきであり、実際に、判例上、例えば、当事者間ですでに取り決められた契約条項と執行受諾約款を記載した公正証書を作成するため、一方当事者の委任に基づき他方当事者が前者の代理人を選任したような場合(後者の意のままになる代理人が選任されると、自己契約と同様の問題が生じ得るわけです。)でも、同条本文には違反しないとされています(最高裁昭和26年6月1日判決。その他、双方代理についての最高裁昭和43年3月8日をご参照)。

 そうすると、「理事長が学校法人に対して無利息で金銭を貸し付ける」という事例では、前述のとおり、無担保貸付であれば、理事長が学校法人の利益を犠牲にするおそれはありませんから、同条本文の禁止は及ばないと解することになります。

 以上、ご参考になれば幸いです。
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この回答へのお礼

早速の御返事ありがとうございます。
今から御回答を参考にもう一度検討させていただきます。
簡単ですが,とりあえずのお礼まで。

お礼日時:2002/03/08 07:38

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