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代ゼミの西谷先生や西先生などが
よく情報構造の読解の講義を行っているそうですが、
情報構造とはどういうことでしょうか。
また、英文を精読、速読していく上で大切なことなのでしょうか?

宜しくお願いします。

A 回答 (1件)

(1)


「情報構造とはどういうことでしょうか」


文をメッセージとして伝えるとき、話し手は、聞き手がすでに知っている(と想定される)事柄(=旧情報)と、聞き手がまだ知らない(と想定される)事柄(=新情報)とを、どのような順序で配列するかを工夫するだろうし、聞き手もまた応答するときに「新・旧」の配列に注意するはずです。そういった、情報が「新・旧」に配列された構造を文の「情報構造(information structure)」と言うそうです。

談話(discourse)は、相手が知っている(と思われる)事柄を「話題(topic)」としてとりあげ、その話題について相手のまだ知らない(と思われる)事柄について述べるのが自然です。すなわち、談話は情報が「旧から新」へと流れていくのが自然だということです。

この「談話は情報が「旧から新」へと流れていくのが自然」という原則は、実は基本的に日本語でも英語でも共通のようです。

例えば、
(1-a) Paul got up when Mary came up.
(1-b) When Mary came up Paul got up.
を情報構造に忠実に日本語に訳すなら、

(1-a) は
「ポールが立ち上がったのは、メアリーが入ってきたときだった」
となる場合が多く、

(1-b)は
「メアリーが入ってきたとき、ポールは立ち上がった」
となるように、この二つの英文は異なる情報構造をもっています。この場合の(1-a) は(2-a)の答えとして適切であり、(1-b)は(2-b)の答えとして適切です。

(2-a) When did Paul get up?(ポールはいつ立ち上がったのか)
(2-b) When did Paul do when Mary came in?
(メアリーが入ってきたときポールはどうしたのか)

すなわち、(1-a)のように文末に置かれた副詞節は<新情報>を表し、(1-b)のように文頭に置かれた副詞節は<旧情報>を表すのです。



(2)
「英文を精読、速読していく上で大切なことなのでしょうか?」


はい。私はそう確信しています。

日本語と同様、英語においても「旧から新」の順で情報は流れるのが自然ですが、語順の制約が強い英語ではこの情報の自然な流れを維持するために、様々な工夫がなされています。

例えば、日本語で

「部屋には天蓋つきのベッドがあった。そのベッドに眠っていたのは美しい少女であった。」

という談話の流れを英語で表現するときに次の2つのどちらがより自然でしょうか?

(3-a) A canopied bed was in the room. A beautiful girl slept on the bed.
(3-b) There was a canopied bed in the room. On the bed was a beautiful girl.

明らかに(3-b)が適当であることがわかっていただけると思います。(3-a)が本来のSVの語順による表現であり、そういう意味で「文法構造」にちゃんと従っているものの、談話の流れが「「旧から新」へと向かう「情報構造」に従っていないのに対して、(3-b)は "there is構文" や語順転倒などの工夫により、ふさわしい「情報構造」をとっているからです。

以上の限られた例からも、英語で情報を発信したり、「英文を精読、速読していく」(受信する)上で「文法構造」だけでなく、「情報構造」についても習熟しておくことが大切であることがわかっていただけるのではないでしょうか。
(以上、安藤貞雄著『現代英文法講義』(開拓社、p.749-777)を参考にしました。)
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この回答へのお礼

懇切丁寧に説明して頂き恐縮です。
旧→新という流れが原則なのですね。英文を読んでいく際に、新情報に重点を置いていくと今まで以上に精読、速読ができるような気がします。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2006/10/02 02:20

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