ルイス酸って厳密な定義はあるのでしょうか?
教科書などを見ると「電子対を受け取ることができる物質」とあります。
ちょっとイマイチしっくりこないのでどなたか説明できる方いらっしゃいますでしょうか。
今の私の考えだと以下のような疑問点がわいてきます。
間違ってるところや思い込みなどありましたらご指摘お願いします。
空の軌道を持っている物質はルイス酸だということは納得できます。
そのほかに、たとえばHClもルイス酸の定義にあてはまりますが、ここでちょっと疑問です
HClはH-Cl結合に極性があって、H+という空軌道のある物質になり得るため「ルイス酸」
ということ、なのでしょうか?
また、EtOHもルイス酸でも塩基でもある、という記述がありました。
(ルイス塩基であることは納得いきます)
これはOHのHが共有電子対を受け取るためだという理屈かなーと思うのですが、
でも例えばH20などのルイス塩基とはあまり反応しないですよね、、
「ルイス酸」というのは相手によって決まるものではないのですか?
(それか反結合性軌道の話とか、、になったらきっと私はわからなくなりそうです)
わかる方いらっしゃいましたらおねがいします。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
いわゆるブレンステッド酸がルイス酸と見なされるというのは、それから生じたH+によるものです。
そういう意味では、EtOHの場合も含めて、stabilo555さんの見解は妥当だと思います。「ルイス酸」というのは相手によって決まる」という見解も妥当だと思います。付け加えるならば、相手云々ということだけではなく、本質的にルイス酸とルイス塩基の両方の性質を兼ね備えているものは多くあるということです。
つまり、孤立電子対を持てばルイス塩基になりうるということですので、酸素を含んでいればルイス酸になりうることになりますし、比較的酸性度の高いHを有していればブレンステッド酸になりうるわけですから、同様にルイス酸にもなりうるということになります。
したがって、ある物質がルイス酸になるかルイス塩基になるかということには、その相手や反応(あるいは相互作用)の形式も関わってきます。
もちろん、ルイス酸になりやすいものや、ルイス塩基になりやすいものというのはありますが、相手によって決まると考えるべきだと思います。
ご回答ありがとうございます!
>いわゆるブレンステッド酸がルイス酸と見なされるというのは、それから生じたH+によるものです。
そういうことだったんですか!ここが多分私に抜けていたところでした。痒いところに手が届きました。
相手との相互作用によってその反応での役割(酸か塩基か)が変わってくる、ということですね。
ここ数日の悶々が解消しました!ありがとうございました~。
No.3
- 回答日時:
某大学の化学科の大学院生修士2年です。
ルイス酸、ルイス塩基の定義は、相手によって決まるものですよ。
>そのほかに、たとえばHClもルイス酸の定義にあてはまりますが、ここでちょっと疑問です
HClはH-Cl結合に極性があって、H+という空軌道のある物質になり得るため「ルイス酸」
ということ、なのでしょうか?
これはあっています。+Hが電子を受け取るのでルイス酸にあてはまりますが、あくまで反応する相手がいるからこそです。
>また、EtOHもルイス酸でも塩基でもある、という記述がありました。
(ルイス塩基であることは納得いきます)
これはOHのHが共有電子対を受け取るためだという理屈かなーと思うのですが、
でも例えばH20などのルイス塩基とはあまり反応しないですよね、、
「ルイス酸」というのは相手によって決まるものではないのですか?
これもやはり相手しだいです。水酸化ナトリウムとの反応でナトリウムエトキシドが生成するとき、EtOHはルイス酸です。
また、エタノールは酸素原子にローンペアがありますので、ルイス酸があればルイス塩基として働きます。
ちなみに反結合性軌道はここでは関係ありません。
ご回答ありがとうございます!
ナルホド。とてもスッキリしました。相手によって決まる、と考えてよいのですね。
色々考えてたらもうきりがなくなってしまって、笑、だいぶ迷い込んでいたのでした。
おかげさまで抜け出しました、ありがとうございました!
No.2
- 回答日時:
反結合性軌道への、配位子からの電子供与、すなわちドナー・アクセプター相互作用の考え方が分かれば、ルイス酸・塩基の話の理解はより深まると思います。
ホウ素やアルミなど最初から空軌道があるものや、プロトンのようなものは分かりやすいでしょうが、14族化合物(ケイ素とかスズとか)のルイス酸性の発現については、上記のような相互作用の考え方が分かると理解しやすいでしょう。桜井反応や玉尾酸化など、高配位ケイ素化合物が中間体となる有機合成反応も数多く知られています。
あと訂正ありました。
エタノールのルイス酸性で、水素結合受容体といってましたが、供与体の間違いでした。
受容体だと、ルイス塩基の方の話になってしまいますね。
丁寧なご回答ありがとうございます!
ですが、、うーちょっと私には難しかったです。水素結合とルイス酸、の関係がいまいち理解できませんでした。
ルイス酸にも酸性の強弱の話はナルホド!とおもいました。イメージがわきました。
自分はまだ大分知識不足なようですので、勉強しなおしてからもう一度読ませて頂こうと思います。
ありがとうございました!
No.1
- 回答日時:
ブレンステッド酸は同時にルイス酸でもあります(逆は成り立ちませんが)。
フリーのプロトンがルイス酸になるのは理解できますね?
おそらく、質問者さんのHClに関する記述は、ブレンステッド酸はルイス酸として働く、すなわち塩酸はルイス酸である、という意味かと思います。
ではHClの分子がどうかということですが、水素結合するケースでしょうか。
なかなかHCl自体を身近に調べるのは難しいでしょうが、たとえばHFのことを聞いたことがあるでしょう。この分子は、分子間で強い水素結合を作りますね。
H-F---H-F---H-F
このとき、HF分子の中の水素原子は、フッ素原子のローンペアを受け取っているので、ルイス酸だと言えるとは思います。
ただ、このときは同時にフッ素原子はルイス塩基として機能していますから、ひとつの分子が同時にルイス酸でもルイス塩基でもある、ということになるでしょうか。
ただし、水素結合の本質というのは今でも議論の対象ですから、私のこの説明が妥当かちょっと自信がありません。
ルイス酸ー塩基錯体と同列に議論して良いかいまいち自信が無い。
エタノールのルイス酸、というのもプロトンを放出する場合のことでしょうか。水素結合もしますから、水素結合の受容体としての働きを、ルイス酸だと言っているのかもしれませんが。
ただ、エタノールの酸性は、塩酸などと比べると低いですし、水よりも低いです。
ブレンステッド酸の場合、酸が強い・弱いとか言いますね。
ルイス酸でも、数値的に評価するのは難しいですが、酸性の強弱はあります。
弱いルイス酸だと錯体形成しない場合でも、強いルイス酸だと反応することはあります。
この場合、エタノールは水より弱いルイス酸、水は塩酸よりずっと弱いルイス酸、といえるでしょう。
ルイス酸の強弱は、置換基の電気陰性度などを考えると理解しやすいです。
ホウ素のハロゲン化物(BX3)の系列など、よくこの説明に使われます。
(ホウ素の場合は構造や共役の効果もあるので、ちょっとトリッキーですが)。
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