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大学の無機化学の範囲なのですが、結晶場理論の考え方と、分子軌道論のそれとの
主要な違いについて教えて下さい。

また、四面体型の軌道分裂が八面体型と逆転する理由についても教えて下さい。
宜しくお願い致します。

A 回答 (1件)

私も現在理工学部の応用化学科2年に在籍していて、ちょうど無機化学の同じような内容を勉強しています。

しかも、今回のテスト範囲であり、自分も躓いたところなんで、何かお役に立てればと思いました。あまりいい答えにはなっていないですし、もっとすばらしい回答は他の方がして下さると思うので、参考にでもして下さい。

結晶場理論では、配位子の孤立電子対を負の電荷として考え、それが中心金属イオンのd軌道中の電子と反発すると考えるところが出発点です。この考えでは、d軌道が結果的にいくつかのグループに開裂しますが、この開裂から分子の安定性や磁性などを説明できます。この方法は簡単で視覚的にわかりやすいのですが、配位子と中心金属イオンとの結合相互作用を無視しているために、厳密な理論を考えるには、より一般化した配位子場理論を用いることが多いようです。
配位子場理論は分子軌道法の拡張で、中心イオン上のd軌道の役割と、それらd軌道と配位子上の軌道との重なり合いに焦点を置いたものです。


では、結晶場理論を用いて四面体型(4配位)と八面体型(6配位)の軌道分裂について考えてみましょう。その前に、5つのd軌道(dz2、dx2-y2、dxy、dyz、dzx)の概形は知っていることを前提にします。だって、ここには書けませんからね。

まず、6配位の錯体について考えましょう。そこで、理論の都合上、配位子がx、y、z軸上にあったとしましょう。dz2軌道とdx2-y2軌道は、xyz軸上にd軌道がありますので、配位子を負電荷と考えると強い反発を受けます。一方、dxy、dyz、dzxは軌道が軸上にはありませんから、それほど反発は強くないです。したがって、電子が入りやすいのはdxy、dyz、dzxのほうであり、こちらのほうがエネルギー準位が低くなるのです。

次に、4配位の錯体について考えましょう。今度は、それぞれの軌道が立方体の箱の中に入っていて、4つの配位子がその立方体の頂点にあったとしましょう。(多少わかりにくいかもしれませんが、これらの頂点を結べばたしかに正四面体ができるはずです)
そうすると、dxy、dyz、dzx軌道と配位子の距離は近づくので、強い反発を受けますが、dz2、dx2-y2軌道と配位子の距離はdxy、dyz、dzxよりも遠くなるので、反発は弱くなります。すると、エネルギー準位が低くなるのはdz2、dx2-y2のほうなのです。結局、この軌道分裂は、正八面体のときと逆転してますね。


以上です。

で、同じ大学生として、私が愛用としているバイブルを紹介しておきましょう。
シュライバー「無機化学」(東京化学同人)
これは、数ある無機化学の参考書の中で、学生には一番わかりやすいものだと教授に進められました。基礎の基礎から応用まで丁寧に書いてあるので、どんな人にも適しています。今回の説明も、大方はここに載っていました。是非一読してみて下さい。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。大変解りやすく、理解できました。大学の授業で使っている教科書が解りにくいので早速、シュライバー「無機化学」を買いに走ります。
これで、後期試験も何とか頑張れそうです。本当に有難うございました。

お礼日時:2001/01/10 09:07

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