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半導体のpn接合時における、バンドギャップモデルについての質問です。
半導体デバイス中のキャリアの移動は、ドリフト電流と拡散電流のつりあい、つまり静電ポテンシャルと化学ポテンシャルの平衡で説明されています。
このモデルの限界(つまり現実のpn接合の際の電流・電圧値と食い違う点)には一体何があるでしょうか?

教科書をよくよく見ると、熱平衡状態ならば、という但し書きがあるので熱的に非平衡な状態ならば通用しない、というのは分かるのですが・・・。
高電圧をかけた時にもバンドギャップモデルが適用できるのでしょうか、また、その他の適用できない状況はどのようなものがあるのでしょうか?

どなたか教えてくださると助かります。

A 回答 (1件)

半導体のpn接合の電流-電圧特性がexp(q V/kT)に比例する関係がどこまで適用できるのかという質問と解釈します。


オーダーとして10A/cm2程度以下の小電流で近似的に成り立つようです。
しかしながら、製造プロセス中に欠陥等が誘起されますと小電流でもこの関係は崩れます。大電流ではexp(q V/kT)に比例する関係は基本的に成り立ちません。これは、約1V程度以上の順方向電圧がかかる状況に当たるでしょう。
例えば数十Vから数百V以上の逆方向電圧がかかる状況では、exp(q V/kT)に比例するリーク電流が発生します。しかしながら、現在主流のシリコンを使った半導体では、このタイプのリーク電流よりも空乏層中で自然発生する自由電子-正孔対に起因するものが(少なくとも室温程度では)大きくなります。
次にモデルの話ですが、pn接合の動作モデルに特別な名前はないのと違いますか? "半導体デバイス中のキャリアの移動をドリフト電流と拡散電流の釣り合い"で説明されますが、これは"ドリフト-拡散モデル"というのが適当だと思います。
このモデルにアインシュタインの関係式(D=(kT/q)μ)を使うと"半導体のpn接合の電流-電圧特性がexp(q V/kT)に比例する関係"を導くことができます(D:拡散係数, μ:ドリフト移動度)。
また、アインシュタインの関係式が成り立っているとすると、pn接合を隔てたキャリア(正孔あるいは自由電子)がボルツマン分布していることが導かれます。
アインシュタインの関係式は熱平衡状態で成り立ちます。キャリアのボルツマン分布も同様です。電流が流れている状況は熱平衡状態ではありません。しかしながら、ドリフト電流や拡散電流に対して、それらの差(すなわち動作電流)がごく小さい場合には、アインシュタインの関係式やボルツマン分布が成り立つと近似できる訳です。
pn接合の動作機構に"バンドギャップモデル"という名前は使わない方がいいと思います。
また、"ドリフト電流と拡散電流のつりあいを静電ポテンシャルと化学ポテンシャルの平衡"という考えも不適切だと思います。p, n領域の間には化学ボテンシャル(フェルミレベル)の差があり、その間にはそれに拮抗する静電ポテンシャルは発生してますが、その状況を"平衡"しているというのは不適切であると思うからです。化学ボテンシャル(フェルミレベル)は静電ポテンシャルを含む概念だと思います。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。以下のように理解しました。

ドリフト-拡散モデルの説明として、アインシュタインの関係式より導かれるキャリアのボルツマン分布を用いる。これは熱平衡時に適用できる考えである。
1.熱平衡状態ではない状態では近似して用いている。そのため以下の時に近似が成り立たなくなる。
1-1 電流が大きい場合
1-2 半導体に欠陥などが多数あった場合。

pn接合の動作モデルに特別な名前はなく、pn接合の用い方にバンドギャップモデルと名づけるのは不適切なんですね。了解しました、気をつけます。

お礼日時:2007/01/05 10:10

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