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研究でステンレス鋼(SUS304)を使用しています。
その際に溶体化処理を1050℃で一時間加熱し水で急冷という過程で行っておりますが、この前、炉の故障で温度が950℃位までしか上がりませんでした、その後一応、水で急冷しました。
こういった熱処理不良のステンレス鋼ときちんと処理したステンレス鋼との違いを教えて頂きたいです。
あと、熱処理不良のものは、再度1050℃で一時間の熱処理を行っても何か不都合は無いでしょうか?。(炉の方はもう修理し直りました。)

A 回答 (2件)

SUS304 ステンレス鋼の粒界腐食の要因は鋭敏化現象によるもが知られており、クロム欠乏説が最も一般的な機構として説明されている。



鋭敏化450~800度の温度で鋭敏化されると結晶粒界に沿って析出物があらわれる。

温度が 900゜C以上に上がると、オ一ステナイト中に急速に溶け込んでいく成分が存在しており、この成分は,650゜Cの温度で、結晶粒全体というより、むしろ結晶粒界に沿って析出する。

析出する成分は、CrFe23C6があげられる。これは,結晶粒界付近が炭化物の析出によってクロムの減少が起こり、鋼の耐食性を激減している。

このことは、クロム欠乏理論と呼ばれている。また、鋭敏化を調べるために、シュトラウス試験がある。

つまり熱処理不足のステンレス鋼は鋭敏化により耐食性が低下する。(ただし950度は微妙なライン)

再熱処理により粒界析出した成分を溶体化処理出来れば、粒界炭化物は溶け込んでしまい,ふたたび炭化物が形成されるのを防ぐことができると思われる。
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この回答へのお礼

とても丁寧な回答ありがとうございます。
溶接した時と同じでクロムが欠乏するのですね。
加工硬化とか加工誘起変態への影響はどうなるのでしょうか?
とにかく失敗した物を再度熱処理してみます。

お礼日時:2007/01/08 19:01

お礼を有難う御座います。



私の如きロートルの拙い知識でも多少は参考になりましたでしょうか。

なにしろ冶金学をかじっていたのは、かなり昔の事なので最新の情報は不足しており、ボロが出そうです。

さて、ある文献に溶体化処理したオーステナイト系ステンレス鋼を800℃から1200℃に加熱するとCr炭化物が析出し,それに伴ってCr欠乏域ができ,それが冷却途中でマルテンサイト変態を起こすと言う記述がありました。

ですから再加熱によりマルテンサイト化する可能性もあるようです。

後、加工硬化とか加工誘起変態の件ですが。

SUS304の組成はフェライトからオーステナイトに組織が変る成分境界に近い組成なのでオーステナイトは不安定です。このために塑性加工や切削などの外力を受けると、加工誘起変態を起こして粘り強いオーステナイトから、硬いマルテンサイトに変化します。これが加工硬化といわれる現象です。(これはご存知と思います)

加工硬化を起こした部分は硬さから判別できるが、オーステナイトが非磁性であるのに対して、マルテンサイトは強磁性なので、透磁率を測定することによっても検出できるでしょう。

これ以上は私の頭に残っていません。申し訳ありません。研究が旨く進みますようご健闘をお祈りします。
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この回答へのお礼

再度の御回答ありがとうございます。
私もまだまだ勉強不足でして回答が大変参考になっております。
切削でもマルテンサイト化するのですね。
熱処理してから引張試験用に旋盤で加工していますのでその時点でマルテンサイトが生成されてますね。これは困りますね。
これからもっと勉強してみます。また分からない事があれば質問するかもしれませんので、よろしければまたご教授願います。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2007/01/09 21:02

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