aからbまでのf(x)の定積分を∫(a,b)f(x)dxと表します。
不足和・過剰和から始まって定積分を定義した後の、「f(x)が区間[a,b]でリーマン積分可能で、αが定数ならば、∫(a,b)αf(x)dx=α∫(a,b)f(x)dx」という定積分の性質の証明についてですが、大学初年級の理工学部向けの教科書・参考書ではこの定理の証明はたいてい「容易なので省略する」となっており、私が見た中で唯一証明してあるのは「微分積分学1」(三村征雄、岩波全書)です。
この本(235ページ)によると、α≧0、α≦0の二つの場合に分けています。α≧0の場合は容易ですが、α≦0のときにはsup(-f(x))=-inff(x)であることを示してからひとつの補題を証明し、その後に上の証明に取り掛かっています。これによると、この定理は、どうも「容易なので省略する」とはいえないような気がします。
そこでお尋ねですが、
1 αの場合分けをしないなどして、定積分の定義から容易に、それこそ2,3行ぐらいで証明する手法はありますか?
(ただし、f(x)が連続関数であるときの定理∫(a,b)f(x)dx=F(b)-F(a)(F(x)はf(x)の原始関数)というルートは使わないものとします。)
2 もし、容易でないにもかかわらず証明を省略する場合は紙数の都合によるのでしょうか?
3 初学者には容易ではないのに、著者がそう判断してしまっているということはありえますか?
以上、よろしくお願いいたします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
細かい議論までは、追っていませんが、リーマン積分の定義が分かっていれば、「自明」じゃないですかね。
リーマン積分というのは、上積分の下限と下積分の上限が一致する時に、この値を∫(a,b)f(x)dxのように書くという感じで定義されてましたよね。(ちゃんとした定義は教科書を見てください)
∫(a,b)αf(x)dxというものを考えたとしても、上限や下限の値がα倍されるだけですので、両者が一致する事に代わりはないし、値自体もα倍される、つまり、α∫(a,b)f(x)dxに等しくなりますよね。(αが負の場合には、負の数を掛けたのだから上限と下限がひっくり返る、みたいな微妙な違いはありますが、何かが大きく変わる訳ではない)
ご回答、どうもありがとうございました。当方の検討が長くなり、お礼が遅くなって失礼いたしました。
「初学者」の定義があいまいな以上、どこまでが自明かは人によって違うと思われます。ですから、
>αが負の場合には、負の数を掛けたのだから上限と下限がひっくり返る、みたいな微妙な違いはありますが、何かが大きく変わる訳ではない
という部分は本によっては証明していないし、質問の欄に紹介した本では証明しています。定積分の性質の証明は著者によって流儀がいくつかあり面白いと思ったしだいです。
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