No.5ベストアンサー
- 回答日時:
>ところで、アンモニアの合成のような場合温度一定であれば、圧力を高くするといったんはルシャトリエの法則によって右に平衡が移動しますが、その温度における平衡定数になるためには平衡がまた左(×右)向きにならなければもとに戻らないと思いますがそうなるのでしょうか。
具体的には、(濃度ではなく)各物質量(mol)が圧力を高くする前の物質量に戻るまで左(×右)向きになると思うのですがどうでしょうか。
いろいろ考えていらっしゃいますね。
なかなか文字だけで、しかもこの限られたスペースで書き表すのは難しいですが、アンモニア合成反応の例でお答えしようと思います。
>圧力を高くするといったんはルシャトリエの法則によって右に平衡が移動しますが、
ここは、
N2 + 3H2 → 2NH3
のように、右向きの変化が起きるということですね。
>その温度における平衡定数になるためには平衡がまた左(×右)向きにならなければもとに戻らないと思いますが
このように
N2 + 3H2 ← 2NH3
なるということでしょうか。この変化は、細かく見れば(分子同士のレベルでは)起こっています。しかし、その速度以上に、右向き、すなわち
N2 + 3H2 → 2NH3
の変化が起こって、圧力比、この場合は
p(NH3)^2/{p(N2)・p(H2)^3}
の値が(圧)平衡定数の値に等しくなるまで変化し、全体として右向きに平衡が移動する、ということです。
>具体的には、(濃度ではなく)各物質量(mol)が圧力を高くする前の物質量に戻るまで左(×右)向きになると思うのですがどうでしょうか。
ここは違います。圧力を高くする前の物質量にまでは戻りません。
ここでは、外部から「圧力を高くする」という変化を加えています。この反応の反応式の左辺、右辺それぞれの分子数の合計はどうなっているでしょうか? 左辺は4分子、右辺は2分子です。圧力を高くすると、分子数が減る向きに平衡が移動するのでしたね。どこまで移動するかというと、圧力比
p(NH3)^2/{p(N2)・p(H2)^3}
が、平衡定数、すなわち圧力を高くする前の値になるまでですが、各々の圧力の項に、分子数分だけの乗数がかかっています(H2は3乗、NH3は2乗)。反応式の中に書かれた分子数(係数)が多い分子ほど、平衡定数の変化に大きく寄与するのです。
仮に、
N2 + 3H2 ⇔ 2NH3
の平衡が成り立っている系で、全圧を2倍にした場合、各分圧(p(N2)、p(H2)、p(NH3))も2倍になりますから、圧力比
p(NH3)^2/{p(N2)・p(H2)^3}
は、変化する前に比べて、
2^2/(2×2^3)=4/(2×8)=4/16=1/4
になります。この値が元の値、すなわち平衡定数と等しくなるように、p(N2)とp(H2)が減少する、すなわちN2とH2が消費され、NH3が生じて、新たなp(N2)、p(H2)、p(NH3)の値に変化し、これらの比が平衡定数の値に等しくなります。全体として、
N2 + 3H2 → 2NH3 (右向き)
のように、平衡が移動する、ということです。
(これだけ書いて疲れました…(汗))
返信遅くなりました。忙しさもあっていただいたメールをあーでもない、こーでもないとながめていてようやく自分が理解していなかったところがわかってきたように思います。ドルトンの分圧の法則がごっちゃになっていたことに気づきました。ありがとうございました。感謝です。
すぐにお礼をと思ったのですが、わかっていないのにわかったようなメールは失礼かとしばらく考えていて遅くなりました。この「教えて進路Q&A」は一度しかお礼ができないことも返信が遅れた理由です。あまりに返信が遅くこのメールが届かないのではないかとそのことだけが不安です。
No.6
- 回答日時:
屋上に屋を重ねるようなことを書くようですが...
平衡条件は化学ポテンシャルμiと化学式の係数νi(原系の係数をマイナス、生成系の係数をプラス)として
Σνiμi=0
で決まります。iは各成分に対応します。たとえばアンモニアを窒素と水素から合成する場合(3H2+N2→2NH3)は
2μ(NH3)-μ(N2)-3μ(H2)=0 (1)
が平衡条件です。
理想系と呼ばれる系では
μi=μi^0(T,P)+RTlnxi (2)
で化学ポテンシャルが表せます。iは系のi番目の成分をしめします。lnは自然対数、xiは成分iのモル分率です。μi^0(T,P)はi番目の成分だけの純品になるまで理想系ならば、化学成分iの温度T、圧力Pでの化学ポテンシャルです。
(1)と(2)を組み合わて、
-Σνiμi^0(T,P)=Σνi(RT)lnxi=RTΣlnxi^νi=RTlnK(T,P)
で平衡定数K(T,P)を定義します。(式が見にくくて済みません。)
アンモニア合成は低温で高圧ほど平衡に有利であるとお聞きになったことがあると思います。すなわち、低温高圧になるほど平衡定数K=[NH3]^2/[H2]^3[N2]が大きくなるからです。
ルシャトリエの法則はまた系の安定性を保証します。アンモニアのように気体のモル数が下がる反応は、少し圧力が上がれば、アンモニアができる生成系の側に、つまり圧力が下がるように平衡点が移動します。小さな揺らぎで圧が上がっても平衡が生成系(アンモニア生成)に向かって移動するので圧力が下がり、もともとあった平衡点に戻ります。これがもし逆に動くのだと、揺らぎで圧が微小に上がると、アンモニアが水素と窒素に分解する方へ平衡が動きます。そうなるとまた圧があがるので、どんどん分解反応が進行します。つまりもとの点が安定でなかったことになります。
この反応は発熱です。ですから少し温度がさがるとアンモニアが出来る方(発熱の方向)に平衡がシフトします。その結果温度があがりもとに戻ります。
なお平衡定数の温度依存性は、
(∂lnK(T,P)/∂T)p=ΔH/RT^2
圧力依存性は、
(∂lnK(T,P)/∂P)T=-ΔV/RT
となります。
No.4
- 回答日時:
No.2です。
>温度が一定のときに、ルシャトリエの原理で平衡が移動して別の平衡に移っても最終的には平衡定数は大きく変わらないと言う解釈でいいでしょうか。
「平衡定数は大きく変わらない」ではなく、「全く変わらない」だと思います。
(の、はずです)
>もしそうした問題知っていたら教えてください
残念ながら、今現在持ち合わせておりません。
ただ、気体同士の反応で、平衡状態を考えるのには、
N2 + 3H2 ⇔ 2 NH3
などがよい例ではないでしょうか。
この反応は、ハーバー・ボッシュ法という名のついた有名な反応です。
過去のQ&A
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa485328.html
および、その中で引用されている
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=481467
が参考になるのではないかと思います。
また、「ハーバー・ボッシュ法」で検索してみても、いろいろ引っかかると思います。
頑張って下さい。
たびたび回答いただき本当にありがとうございます。
問題の紹介ありがとうございました。問題の解答があっているとして、計算してみるとたしかに圧平衡定数が圧力によってかわっていないことがわかりました。
ところで、アンモニアの合成のような場合温度一定であれば、圧力を高くするといったんはルシャトリエの法則によって右に平衡が移動しますが、その温度における平衡定数になるためには平衡がまた右向きにならなければもとに戻らないと思いますがそうなるのでしょうか。
具体的には、(濃度ではなく)各物質量(mol)が圧力を高くする前の物質量に戻るまで右向きになると思うのですがどうでしょうか。
ちょっと頭が混乱してきましたのおかしなこと書いているかもしれませんがよろしくお願い致します。
No.3
- 回答日時:
> 温度が一定のときに、ルシャトリエの原理で平衡が移動して別の平衡に移っても最終的には平衡定数は大きく変わらないと言う解釈でいいでしょうか。
まずいですね.
新しい平衡条件でも,やはり平衡定数の値は維持されているのです.そういう制約の中でしか平衡状態は成立できないということです.
ただし.
厳密なことを言えば,圧力はあくまでも圧力であってフガシティではないので,圧平衡定数は圧力条件によっても変化します.しかし,これは大学以降の物理化学で,活量やフガシティについて勉強するまでは考えなくてかまいません.
平衡定数は,圧平衡定数にせよ濃度平衡定数にせよ,温度が一定なら一定値になるようにしか,平衡の位置は動けません.当面はそのように考える必要があります.このことの理解が,平衡ということの本質の理解につながるので,納得行くまで考えてください.
フガシティや活量についてはさっぱりわかりませんが、
> 平衡定数は,圧平衡定数にせよ濃度平衡定数にせよ,温度が一定なら一定値になるようにしか,平衡の位置は動けません.
ということで当面考えていこうと思います。ありがとうございました。助かります。
No.2
- 回答日時:
平衡
A+B⇔C
が成り立っているとすると、圧力(分圧)で表した平衡定数Kは、
K=p(C)/{p(A)・p(B)}
となります。このKは、温度が一定ならば一定であり、ご質問の通りです。
ここでの分圧p(A)、p(B)、p(C)は、平衡状態での分圧です。
そして、平衡がどちらかに移動した場合ですが、ここで大事なことは、ご質問のように「圧力が変化した場合」でも、「温度が一定である」という条件を忘れてはいけない、ということです。
温度一定で圧力(全圧にしろ分圧にしろ)が変化して平衡が移動する場合、変化した直後は、
p(C)/{p(A)・p(B)}
の値は当然平衡状態とは違った値になりますが、十分に時間が経つと、この比が変化前の平衡状態のときと同じ値になるように各分圧がうまい具合に変化し合い、
p(C)/{p(A)・p(B)}
の値が定数Kに近づいてゆき、やがてKと同じ値に達します。この間、ずっと「温度が一定」という条件が成り立っているものとします。ですから、平衡定数は、温度が一定であれば一定である、ということです。系の圧力が変化した場合、温度が一定であるには、外部から熱を加えたり奪ったりすることが必要になる場合があります。理想気体の状態方程式
PV=nRT
を思い出してください。
それから、平衡状態でのp(A)、p(B)、p(C)と、平衡に達する前のp(A)、p(B)、p(C)を区別して考える必要があると思います。
「温度が一定の場合」「全圧が一定の場合」「全体積が一定の場合」など、いろいろな場合を考え、いろいろな問題に当たってみて下さい。
丁寧な回答ありがとうございます。温度が一定のときに、ルシャトリエの原理で平衡が移動して別の平衡に移っても最終的には平衡定数は大きく変わらないと言う解釈でいいでしょうか。
いろいろ考える手がかりになりそうで助かります。また、ご指摘のように頭の中で考えているより実際に問題を解いてみないとイメージがわかないと思いました(もしそうした問題知っていたら教えてください)。
No.1
- 回答日時:
平衡定数は濃度を使って表されています。
平衡移動は平衡定数に従って起こります。
気体の場合、濃度は圧力で変わります。圧力を変えると体積が変わるので濃度が変化するからです。
濃度は分圧で表すことも出来ます。
反応によって気体の分子数の合計が変化しない場合は圧力を変えても平衡移動は起こりません。
A+B ⇔ C+D の平衡が成り立っているとします。
[C]・[D]/[A]・[B]=K
です。この式で全ての分圧を2倍にしてもそのまま式は成り立ちます。分圧が全て2倍になったということは全圧が2倍になったということです。濃度は変わりますが濃度の比が変わっていませんので平衡移動は起こっていないということになります。
気体の分子数の合計が変化する場合は平衡移動が起こります。
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