コーエン監督作品というと、゛バートン・フィンク゛・゛ファーゴ゛・
゛赤ちゃん泥棒゛の3作品を鑑賞した覚えですが、
゛赤ちゃん~゛は面白かったものの、その他は楽しめなかった私です。
゛バーバー゛はまずまずでしたが、
この作品のこういうところが面白かったという方、
感想を教えて下さい。

尚、お礼に数日かかると思いますので宜しく。

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A 回答 (2件)

 すぐに書こうと思いながら忙しくてお返事できませんでした。

「赤ちゃん泥棒」は私もとても好きなので割愛させていただきます。
 「バーバー」はコーエン兄弟の代表作になるのではないかと思われる傑作だと思います。ここからは、床屋という職業からアメリカ社会が見えます。フィルム・ノワールの濃厚な雰囲気の白黒作品というところもいいです。主人公の独白、妻の不倫、それをきっかけに起こる殺人など、フィルム・ノワールの要素が多く見受けられますが、それだけでは、単なるノスタルジーの世界になってしまいます。ここにさらに強烈に存在するのは、現在において作られた意味です。主人公は何故床屋なのか?それは毎日同じことを繰り返す惰性的な日常性を示しています。彼は無口なので、客とおしゃべりをして発散するということもできない。髪は人間の体の一部なのに、こうして定期的に切り捨てなければならないことに疑問を感じる彼は、自分の仕事や生きていることそのものに対して疑問を投げ掛けていると言えます。1949年頃は、アメリカの高度経済成長期に当たるらしく、それを具体的に表現しているのが、主人公の妻の仕事〔デパートの帳簿係〕であったり、教会でのビンゴ大会であったり、戦争体験を英雄気取りで語る妻の不倫相手の上司であったり、高級カツラをかぶって得意げなセールスマンであったり、そのセールスマンの考えるベンチャービジネスであったり、真実などには全く興味がなく、いかに華々しく相手に勝つかだけを考えている弁護士だったり、死刑囚の手記だったりするのでしょう。それらとは対照的に存在するのが、娘の弾くベートーベンのピアノソナタであり、伸びて来る髪を切り続けるという不条理で生産性のない床屋という仕事なのでしょう。何にでも意味を見い出さなければ気が済まず、昨日よりは今日が発展していなければ生きている気がしない高度化された経済社会にあっては、ベートーベンの音楽や床屋の仕事は意味のないものですが、彼は娘の弾くベートーベンの音楽に癒されつつもそれを数値化しようとして破綻し、床屋であることをやめようとして破滅するわけです。コーエン兄弟は床屋こそ素晴らしい職業だと言っていると思います。
 1940~50年代のムードを伝えるのに俳優たちも大きく貢献しています。ビリー・ボブ・ソーントンの風貌など、ハンフリー・ボガートやフレッド・マクマレイを思い起こさせるし、マイケル・バダルコ〔義兄〕、ジェームズ・ガンドルフィーニ〔社長〕、ジョン・ポリト〔セールスマン〕、リチャード・ジェンキンス〔近所の弁護士〕、トニー・シャルーブ〔弁護士、リーデンシュナイダー〕、アダム・アレクシ=モール〔フランス人音楽教師〕など出て来る俳優たちは皆、しっかりとしたキャラクターと存在感を持っています。
 「ファーゴ」も私は傑作だと思います。ここでは狂言誘拐から見えてくるアメリカの日常が描かれています。アメリカの西部の歴史を絵に描いたようなジーンの父の姿は、自信に満ちた強きアメリカを象徴しているようにも思われますし、こんな義父だから、ジェリーがいじけるのも納得できてしまう。誘拐が描かれる時、警察に言うなというのは、犯人の常套句ですが、たいがいの場合、こっそり警察に相談し、警察が解決に当たる、という話が普通です。この場合ジェリーの企みだから、届けるわけにはいきませんが、こうしたジェリーの行動が不自然に感じられないのは、警察に届けずに自力で解決しようという土壌あってこそです。狂言誘拐という犯罪を思いつくのも、アメリカの自主自立の歴史あってこそのものということでしょうか。その後、ジーンの父が、俺の金なんだから、俺が持って行く、と自分で決着をつけようとし、カールに射殺されてしまうのは、まさに全てを自力で切り開こうとする人の悲劇です。
 一方で、この事件を解決する側はどうでしょうか。警察署長のマージは、あと2ケ月で出産を控えた妊婦ですが、推理は鋭く、体の切れもなかなかのものです。夫のノームは、絵描きで、早朝に呼び出しがかかって出動しなければならない時、ノームはマージのために卵料理を作ってくれる。その反面、マージが危険な犯人逮捕の仕事を終えて帰宅しても、案ずるふうはありません。3セント切手のデザインに採用されたことを面白くなさそうに報告するのは、ライバルが29セント切手のデザインを担当しているからですが、マージは自分の手柄などそっちのけで、喜びます。何となく夫婦はそれで幸せなのです。そういう日常の奇妙な味の描写が、逆に説得力を持っています。夫婦とはそんな些細な出来事に一喜一憂し、そこからちっぽけな幸せを感じているものかもしれないという感じで。空気のような存在感のノームに殊にそれを感じますが、ジェリーに徹底的に欠けていたものはそれではないか。ここで極めて鮮やかな対比がなされているように思われます。
 そして、マイク・ヤナギダというマージの昔の知り合いの男が出てきますが、ここにも、生活に些細な喜びを見出せない、優れて現代的な病が描かれていると言えます。
 最後に、マージが捜査に当たる時に、カールとゲアを見かけたという目撃者の談話が2度挿入されますが、カールについては二人とも変な顔の奴だったと言います。どういう風に変なのかとマージが聞くと、とにかく変な顔なんだよ、とか、いわゆる変な顔だ、という言い方しかできない。これもまた、「やけに雄弁な記憶力のいい目撃者」という刑事ドラマのパターンを見事に裏切りながら、通俗的なドラマへの批評にもなっていると思います。
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この回答へのお礼

うわっ!す、すごい感想文が来た!!!
感激を通り越してタジタジ、スゴスゴとしています。
お礼を書こうにも、あまりにもの名文なので困っています。
きっとojiqさんはコーエン監督作品がとっても好き、
いえ、愛していらっしゃるのですね。
残念ながら、私はコーエン監督のカラーというものがほとんど判ってないので、
貴重なご意見を伺っても「ヘェ」とか「ホゥ」としか返答ができません。
質問しといてこの情けない体たらくをお許し下さい。グスン・・・

「バーバー」はコーエン兄弟の代表作になるのではないか、
コーエン兄弟は床屋こそ素晴らしい職業だと言っている、
ですか。そこまで思えなかった私は、
まだまだ超初心者の域から脱出できてないのですね。
もう少し勉強してみます。
せっかく名文を寄せて下さったのに、こんなお礼しか書けなくてすいません!
‘感想文の感想文‘がこんなに難しいなんて思いもしなかった私・・・。

お礼日時:2002/07/01 18:35

まったくといっていいほど、注目されていないバーバーですが、さびしいです


コーウェン兄弟の作品なのになぁ

さて、感想ですが、淡々と流れすぎていまいち盛り上がりに欠けるのは仕方のないかなぁと思うのですが主演のビリーボブソーントの演技に尽きるんではないでしょうか?
全ての運命を受け止めて、何かをするわけでもなく、怒るわけでもなく、落ち込むこともなく
一見、ただの自閉気味オヤジか!???
なんておもったものですが、あの、全てを受け止め受け入れる部分で、哀愁というのをかんじてしまったんですが、どうなんでしょう?
女性にはイマイチ受けが悪かったです
あと、モノクロであることが原因のひとつかもしれないですねぇ
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この回答へのお礼

何ら反応がないので、削除を要求されたとこへの回答をダンケ、ですぅ。
ほとんど注目されてないっていうのは事実のようですね。
私はコーウェン監督作品だからとかではなく、
あらすじが面白そうだと思ったから観に行ったんだけどなぁ。
B・B・ソーントンは全然イイ男じゃないけど、
演じる役によっていつも違う人に見える、
ちょっと変わった、それが一種の魅力に感じてます。

この作品では何とも冴えない、ヌケた理髪師を演じてますね。
ただ、冴えないのならもっと徹底的に冴えないほうがいいんだけどなぁ。
何ていうか、wzeroさんの言う通り、淡々としすぎてるって感じ。
モノクロというか、ほとんどはげたカラーだったことは、私はいいと思います。
ワルにもなれない、中途半端な彼の心情を表してるみたいだもん。
そういえば「オー・ブラザー!」もそうでしたね。
もっとも、あれは1930年代の話だったからそうしたんでしょうが。

でも、始終タバコをくわえてたのには閉口したなぁ。
この作品の中で、彼は30数本も吸ったんだよ!
しかも、散髪中にもくわえタバコだなんて!?
嫌煙団体からの圧力で、昨今のアメリカ映画の登場人物はあまりタバコを
吸わないのに、そんなの全く無視したとしか考えられないコーエン監督。
異端児的な人なのかなぁ。

お礼日時:2002/06/28 08:44

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Aベストアンサー

 コーエン兄弟の映画は好き嫌いがはっきり分かれる傾向があるかと思いますが、コーエン兄弟の一ファンとしてお答え致します。

 映画の舞台となっている1949年頃は、アメリカの高度経済成長期に当たるらしく、それを具体的に表現しているのが、主人公の妻の仕事〔デパートの帳簿係〕であったり、教会でのビンゴ大会であったり、戦争体験を英雄気取りで語る妻の不倫相手の上司であったり、高級カツラをかぶって得意げなセールスマンであったり、そのセールスマンの考えるベンチャービジネスであったり、真実などには全く興味がなく、いかに華々しく相手に勝つかだけを考えている弁護士だったり、死刑囚の手記だったりするのでしょう。
 それらとは対照的に存在するのが、娘の弾くベートーベンのピアノソナタであり、伸びて来る髪を切り続けるという不条理で生産性のない床屋という仕事なのだと思われます。何にでも意味を見い出さなければ気が済まず、昨日よりは今日が発展していなければ生きている気がしない高度化された経済社会にあっては、ベートーベンの音楽や床屋の仕事は意味のないものと考えられがちです。
 結局、主人公は、娘の弾くベートーベンの音楽に癒されつつもそれを数値化しようとして破綻し、床屋であることをやめようとして破滅するのです。コーエン兄弟は床屋こそ素晴らしい職業だと言っているのだと思います。
 主人公の独白、妻の不倫、それをきっかけに起こる殺人など、フィルム・ノワールの要素を取り入れた作品であり、主役のビリー・ボブ・ソーントンの風貌などは、ハンフリー・ボガートやフレッド・マクマレイを思い起こさせ、1940~50年代のムードをうまく伝えています。

 コーエン兄弟の映画は好き嫌いがはっきり分かれる傾向があるかと思いますが、コーエン兄弟の一ファンとしてお答え致します。

 映画の舞台となっている1949年頃は、アメリカの高度経済成長期に当たるらしく、それを具体的に表現しているのが、主人公の妻の仕事〔デパートの帳簿係〕であったり、教会でのビンゴ大会であったり、戦争体験を英雄気取りで語る妻の不倫相手の上司であったり、高級カツラをかぶって得意げなセールスマンであったり、そのセールスマンの考えるベンチャービジネスであったり、真実など...続きを読む

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 詳細は、参考URLでお確かめ下さい。

参考URL:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005UD33/qid%3D1018144334/sr%3D1-17/ref%3Dsr%5F1%5F2%5F17/t/250-9023562-64650

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