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古生代の大気中の酸素濃度の変化について教えてください。
恐竜などの巨大生物が生息活動するには、非常に大きなエネルギーと新陳代謝が必要と考えられます。従って現在の大気中の酸素濃度より古生代の酸素濃度は高かったのではないか?と考えておりますが、調査結果などはあるのでしょうか?
また、生物が巨大化すると、どれくらいの酸素濃度が必要かについて調べた結果はありますか?

A 回答 (3件)

こんにちは。



>従って現在の大気中の酸素濃度より古生代の酸素濃度は高かったのではないか?と考えておりますが、調査結果などはあるのでしょうか?

恐竜時代といいますのは「古生代」ではなく、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀を通した「中生代(2億5千万年~6千5百万年前)」の方ですよね。ちょっと面倒ですが、参考資料を一緒にご覧下さい(ページ中ほど、二番目のグラフです)。

http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/taikitoka …

グラフをご覧頂ければひと目で分かります通り、恐竜たちが繁栄した中生代の酸素濃度は三畳紀末から上昇を始め、白亜紀・後期にはピークに達しています。ですから、これが恐竜の巨大化と何らかの関係があるのというのはほぼ間違いのないことだと思います。
その前の「古生代」には石炭紀に地球史を通して最も特異な酸素濃度の出欠大サービスがありますが、これは古代植物の大繁栄によるものであります。このときにはまだ恐竜は出現しておらず、二酸化炭素濃度の低下による寒冷化の時代でありますが、「古代トンボ」や「古代ムカデ」などの甲殻類が巨大化しています。そして、いよいよ「中生代・三畳紀」、即ち我らが恐竜の時代に突入しようというそのときには、植物が栄華を極めた古生代の終焉と共に大気中の酸素濃度は過去最低のレベルまで下がっています。
これがどういうことかと申しますと、恐竜といいますのは、このような「極端に酸素濃度の低い環境」に適応することができたために晴れて誕生が許されたということであります。ですから、恐竜というのはもともと酸素濃度が低くても十分に生きられるのですから、そのあと酸素がふんだんに使えるようになりますならば活動がどんどん楽になりますので、それが巨大化のひとつの要因になったというのは極めて理に適った筋書きということになります。
もちろん、古生代の終わりには気候が温暖化に転じたというのは、これは絶対条件です。ですが、恐竜たちは三畳紀の長い低酸素時代を実際に生き抜いているわけですし、巨大化はジュラ紀から始まり、白亜紀に掛けては留まることを知らない大繁栄を遂げたというのは概ねの事実であります。そして、極めつけに当たるのが白亜紀・後期の最終ピークと重なる「翼竜の巨大化」でありまして、多くの学者さんたちも、こればかりは酸素濃度の上昇という条件が揃わなければ実現しなかったであろうと指摘しています。果たして、如何に温暖な気候と高酸素濃度という条件が偶然にして重なったとはいいましても、挙句の果てには巨大生物が空を飛んでしまうなど、三十億年を越える地球の生物史上、これほど晴れがましい出来事はそう幾つもはなかったのではないでしょうか。
因みに大気中の酸素濃度といいますのは激しい運動を助けるためだけではなく、翼竜や古代トンボが空を飛ぶための「空気抵抗」にも関係していたのではないか考えられています。

>恐竜などの巨大生物が生息活動するには、非常に大きなエネルギーと新陳代謝が必要と考えられます。

そうですね、仰る通り、全くその通りではあるのですが、哺乳動物と恐竜では事情が違いますよね。
先に触れました通り、恐竜といいますのは三畳紀の「低酸素環境」に適応できたために後の繁栄を許されました。では、進化の過程で先手を取り、自らが絶滅するまでその生態的地位を譲らなかったのは、現存の爬虫類と比較しましても、恐竜というのは我々哺乳類とは異なる代謝構造を持ち、それを極めて有効に運用していたということなります。
申し上げるまでもなく、哺乳類といいますのは爬虫類よりも高等動物に当たります。ですがその弱点とは、少なくとも中生代・三畳紀の場合に限り、哺乳類といいますのは「内温性恒温」であるため、自分の体温を維持するためには常に大量の酸素を消費する必要があるということです。これに対しまして、初期の恐竜が「外温性変温」であったとしますならば、酸素消費量はたいへん少なくて済むわけです。しかも、酸素濃度は低いのですが、三畳紀には既に気候が温暖化していますので、「外温性」の恐竜は外気によって体温を獲得し、活発に行動をすることができたということになります。これにより恐竜は、三畳紀の低酸素環境において先手を取りました。ではその後、酸素濃度の上昇によって後続の高等動物である哺乳類に遅れを執らなかったのは、巨大化というのが必ずしも無尽蔵な代謝率の増加だけを招くものではなかったからです。

恐竜というのは恒温動物だったのではないかという説はだいぶ広く受け入れられていますが、実際のところは彼らに会ってみなければ分かりません。ですが、まず哺乳類のような「内温性恒温」であった場合は三畳紀の低酸素環境にきちんと適応できたかどうかが怪しくなります。では、現存の爬虫類はほとんどが「外温性変温」でありますが、これがある程度巨大化致しますと、今度は「慣性恒温」という極めてインスタントな機能を獲得することになります。
何処がインスタントで安直なのかと申しますと、「慣性恒温」といいますのは身体が大きくなればそれだけ蓄えられる熱の量が多くなり、ひとたび体温が上がれば何時までも冷めないので、結果的には恒温状態を維持することができるということなんです。もちろん、体重が増えれば身体を動かすためのエネルギーはその分だけ必要になります。ですが、恐竜の場合は哺乳類とは違い、体温を維持するための酸素消費量の上乗せはありませんので、巨大化をしましても、それがそのまま代謝率の悪化に繋がるというわけではありません。逆に恐竜は、中生代の温暖な環境においてこの慣性恒温を利用するために巨大化したと考えることもできます。

次に恐竜の呼吸方法なんですが、例えばティラノサウルスが満身の力を込めて獲物を倒したと致しまして、それでもって汗を流しながらハアハア、ゼイゼイと息を切らすなんていう光景がちょっと想像できますでしょうか。このような生理反応は言わば「酸欠」でありまして、どちらかと言いますならば、これは大量の酸素を消費する内温性恒温動物として「腹式呼吸」という手段を採用した我々哺乳動物の特徴であります。
多くの爬虫類といいますのは「胸式呼吸」であります。注意をして見ていれば分かるのですが、イヌやネコなど身近な哺乳動物とは違い、苦しそうな表情というものを見て取るということが中々できませんので、トカゲやヘビなどはあれだけちょこまかと動き回りながら汗ひとつもかかずに平然としているのが何とも不可解に思えて仕方がありません。ひとつの理由としましては、これも爬虫類の酸素消費量が基本的に少ないからなんですが、やはり友達にするならば哺乳類ですよね。
爬虫類の中でもワニといいますのは特別な構造を持っておりまして、哺乳類の「横隔膜」と同じ働きをする「横隔膜筋」によって他の爬虫類よりも効率の良い呼吸をすることができます。では、巨大化した恐竜にこのワニと同様の「横隔膜筋呼吸」ができたとしますならば、激しい運動にもある程度は耐えられたかも知れませんね。
ところが、ワニというのは「横隔膜筋呼吸」というたいへん効率の良い構造を持っているにも拘わらず、彼らは「水中のナマケモノ」といっていいほどにほとんど動きません。これは、ワニは長時間水の中に潜っているために運動量を目いっぱい抑え、酸素消費量をできる限り節約しているからです。激しい運動をするのは「いざ! 獲物だ」というときだけです
これがどういうことかと申しますと、哺乳類とは違い、酸素消費量の少ない爬虫類といいますのは必要なときに必要なだけ呼吸をすればそれで事が足りるということです。ですから、勇猛果敢なティラノサウルスが息も絶え絶えに懸命に獲物を追い掛けるなんていう余りにも情けない光景は、これは飽くまで私の希望でなんですが、できるものならば絶対にあってはならないことであります。

>また、生物が巨大化すると、どれくらいの酸素濃度が必要かについて調べた結果はありますか?

そうですね、白亜紀・後期の翼竜の巨大化が酸素濃度の上昇によるものであることが科学的に受け入れられていますならば、翼竜の運動能力を基にした酸素消費量というのは恐らく何らかの形で計算されているはずだと思います。ですが、念のため検索はしてみましたが、やはりそう簡単には調べが付くものではありませんね。仮に分かったとしましても、我々素人にはちょっこら理解できる内容であるとは思えません。
酸素濃度が高ければ生物が巨大化するというのは、これは恐竜を始め古生物の進化の歴史と比較しましても概ね間違いのないことだと思います。ですが、その巨大化が酸素濃度の上昇に対してある程度直接的な比例関係を表したのは「古代トンボ」のような甲殻類だけです。これがどういうことかと申しますと、古生代の寒冷化の時代に巨大化することができたということは、その主要因が酸素濃度の増加であったということです。これに対しまして、哺乳類や爬虫類などに関しましてはそれほど単純に線引きできるものではありませんし、恐竜の巨大化といいますのは温暖化という圧倒的な条件が揃わなければ、これはやりたくてもできたことではありません。
先にご説明致しました通り、酸素消費量だけで推し量りますならば、外温性爬虫類におきましては巨大化によって逆に代謝量が抑えられますが、哺乳動物の場合はある程度に達しましたならばそれ以上の巨大化は無理ということになります。ですが、現生動物の中で最も巨大化しているクジラ類といいますのは哺乳類でありながら酸素獲得にはたいへん不向きな海洋という環境で暮らしてします。このクジラが海の中を自由に泳ぎ回ることができますのは、それは細胞内に酸素を蓄えるためのミオグロビンの量が陸哺乳動物の十倍近くあり、心肺機能に対する酸素消費量の効率が極めて高いからです。
このように酸素消費量といいますのは、その動物の「運動量」「心肺機能」「代謝効率」によって大幅に変わってしまします。ですから、どの程度の酸素濃度であるならば巨大化が可能であるかということに一本で線引きをするというのは、これはどうやってもできないのではないかと思います。
恐竜といいますのはもともと低酸素環境に適応できる動物です。ですから、それが酸素濃度の上昇と共に巨大化をしたということは、それほどの高濃度ではなくとも、三畳紀の最低レベルを少しでも上回るならば、彼らはその分だけ活動を有利にすることができたのではないかと想像します。

参考URL:http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/taikitoka …
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この回答へのお礼

詳しく説明いただきありがとうございます。
生物についての呼吸について勉強になりました。
しかし、このまま人類の工業活動が盛んになり、酸素濃度の減少が起きてくると、先ず先に窒息するのは「人類」となるのでしょうね。
最後に残るのは、やはりゴキブリぐらいですか?

お礼日時:2007/05/20 16:38

門外漢です。



 学術的なことは分からないのですし、全恐竜がということではないのでしょうが、恐竜はおおむね、高々度を飛ぶ「鳥」と同じ仕組みをもっていたという話を本で読んだことがあります。NHK特集でもやっていたような・・・ 。

 今名前などを思い出せないのですが、非常に効率良く酸素を体内に取り入れる仕組みを持っていたとすれば、現代の酸素濃度の中でもフラフラせずに歩き回る・走り回れたのではないか、と感じます。

 ぜひ、そちらのほうも調べて下さい。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

お礼日時:2007/05/20 16:31

酸素濃度と生物の大きさの関係についてはよく分かりません。


過去の酸素濃度のデータはありました。
http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/miyamoto/gr …
これによると古生代末期、石炭紀から二畳(ペルム)紀にかけて酸素濃度の高い時期があったようです。
しかし恐竜時代は中生代ですね。
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この回答へのお礼

データありがとうございます。
興味深く読ませていただきました。
石炭紀については巨大羊歯群の成長や巨大昆虫などから酸素濃度が高いと感じていたのですが(私見ではせいぜい25%ぐらいか?)、35%程度もあったとは驚きました。このような高濃度酸素下で現在の人間が活動するとなると、恐ろしくエネルギー消費が多くなり、活動が活発になる代わりに、早期老化,短命になるのではないかと思います。
また、逆にこの時代の生物が現在にタイプスリップあるいは遺伝子操作で現れても、酸素不足でよろよろとした動きしか取れないのかもしれないですね。
そうなると、「ジェラシックパーク」などの話も変ってくるのではないかと思います。新たなSFが書けそうですね。ほとんどギャグ話になるかもしれませんが…。

お礼日時:2007/05/19 20:48

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