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犯罪に当たるかどうか判断する場合1構成要件、2違法、3責任の順に判断すると教科書に書かれているのですが、例えば321の順に判断すると、結論が違ってしまうのでしょうか。なぜこの順番なのかその必然性がよく分かりません。先に主観面を判断しても後で客観面を判断すれば答えは同じになるような錯覚がありどこから始めてもよいのではと思っています。明確でなくても構いませんので、何かご存知の方おりましたらよろしくお願いいたします。

A 回答 (1件)

構成要件から判断されるのは、近代刑法は罪刑法定主義の精神から出発しているので、「法規に違反しない行為はそもそも処罰さえされない」という原則をあらわすために、


まず客観的な構成要件で法規の該当可能性の判断をすることにしているということなのでしょう。

しかし現在は主観的構成要件要素といって、本来客観的な部分である構成要件に、行為者の認識、過失といった主観的な要素を加味されて構成要件というものが成り立っていると考えられています。

例えば路上で人が死んでいる。死んでいることは明らかで行為者が誰かもわかっているが、過失致死なのか殺人なのかよくわからないという事件を考えた場合、過失致死と殺人の構成要件に該当する→違法性もある→どうやら殺そうという認識で行為に及び、死なせてしまったらしい→殺人罪であるという方法をたどるのは迂遠であり、構成要件の機能が希薄でもあるのです。

なぜなら本来構成要件にはどういう意思で行為に及んだか、どういう法益侵害を行ったかを判定する機能を有する「犯罪個別化機能」があるはずですが、人を死んでいるという場合に当事者の主観的内容を判断する前に「過失致死と殺人罪の2つの構成要件に該当する」としてしまうことはその犯罪個別化機能に反すると考えられるのです。

犯罪個別化機能を発揮させるためには、殺人罪か過失致死罪の区別をするためには、構成要件の段階で「殺す意思」なのか「誤まって死なせてしまった」かを判断しなければ
いけないのです。

ですから実際は1の構成要件の段階で2と3も審議しているのです(構成要件の違法性、責任の推定機能などとよく言われます)。ですから先に客観面だけを判断しているということではないことになります。

しかし実務においては全く関係がありません。警察がこの人が構成要件に該当しているかどうか、違法性はあるか、などと順序だてて捜査するわけでもありません。実務では
これらの処理を同時に行います。構成要件や、違法性といったものは学問的な意味合いが強いですので、責任から判断するとどうなるんだ等とあまり深く考えずに、そういうものなんだぐらいの認識でおられるといいのではないかと思います。
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この回答へのお礼

まずは、お礼が遅くなりましてすみませんでした。大変分かりやすく丁寧なご説明で助かりました。構成要件で、違法かどうか有責かどうかが判断されているという点が特によく理解できました。構成要件は違法、責任と無関係なものではなくまずは大雑把に構成要件で、違法と責任を判断して犯罪を個別化し、その後しっかり細かく違法と責任を考えるということがDoubleJJ様のご回答ではないかと思っております(間違っているかもしれませんし、たとえが悪いような気がしますが)。もしこのような理解でよろしければ、構成要件が最初に来る意味がわかるような気がしました。違法と責任の順位は学問的になるということで納得できました。
まだまだ勉強はじめたばかりなので、頑張りたいと思います。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2002/07/18 22:52

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