特許戦略という言葉が使われている記事を目にする事がよくあります。たとえば、インターネットで検索すると、次のように多くのサイトが「特許戦略」というキーワードにヒットします。
http://www.google.com/search?q=%93%C1%8B%96%90%E …
しかし、特許戦略とは何なのかが不明確です。たとえば、どのような項目に関して、どのような観点で定めたものが特許戦略と言えるのでしょうか? 単なる特許出願の件数計画では特許戦略とは言えないと思います。戦略というからには、戦う相手を想定しているのだと思いますので、戦う相手に関する対処の方針も、特許戦略には含んでいなければならないと思います。特許戦略というものを理論的に説明していただきたいと思います。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
今までの経済活動の推移を歴史的に見ていくと
- 農耕の時代
- 工業化の時代
- ハイテク化の時代
- 知識産業の時代
という風に分けられると思います。(これには、異論のある方もいらっしゃると思いますが、)
それぞれの時代のKSF(Key Success Factor)を大雑把に見ていくと、
- 農耕の時代→土地と農奴の確保
- 工業化の時代→資本・機械・単純作業をする労働力の確保
- ハイテク化の時代→資本と、練度の高い開発力を持った労働力の確保
という風に変ってきました。
すなわち、労働力はより高度に、機械も単純なものから、ミクロ・ナノレベルの仕事が出来るような高度なものに変ってきました。
これに伴い、われわれの生活の質も向上し、賃金も高くなってきたわけですが、これに伴い、先進国は通常の工業のハイテク化では発展途上国と価格面で競争が無理になってきました。
そこで出てきた考え方が、
- 知識集約産業の時代
です。つまり、この背景には、「通常の生産では、アジアのトラと呼ばれる各国や、発展途上国には到底太刀打ちできない。先進国が、彼らより有利に立てるのは、われわれが今まで蓄積してきた知識である。」という考えがあります。しかし、知識によって糧を得ようとすると、それを必要とする人にその知識を使ってもらい、その対価をもらわなければいけません。
それを可能とするのが、特許です。
特許を得るためには、有用性・新規性・非自明性・特許適格性が満たされていなければなりません。
上記の言葉を言い換えると、役に立ち、新しく、当然のことではなく、倫理的に間違っていないことです。
これらの条件を満たしていて、今までは「世のためになるのなら」と対価も取らずに公開していたものを(例、トヨタのカンバン方式)、特許で保護することにより、使いたい人にはどんどん使ってもらいますけれど、対価(ロー槍ティー)もしっかり払ってくださいね、という姿勢を、国なり会社の方針で取っていけば、これが特許戦略の始まりになります。
そして、この動きが強まれば、当然特許出願件数は上昇します。
ですから、特許出願件数の上昇は、特許戦略が機能しているかいないかを判断するバロメーターになります。
また、戦う相手は、狭義には、そのような特許を持たない国や企業であり、広義には、同じような技術の開発にしのぎを削っている競合企業になります。
蛇足で、例を一つあげますと、
日本の甲社とアメリカのA社が、エイズの薬の開発を行っていたとします。薬は、効く部分がいろいろあって複雑なのですが、仮に両社ともまったく同じところに効く薬の開発を狙っていたとします。
甲社もA社も、この薬が開発できれば、特許をとって自分の手かあるいは、他社を通じて世界中で販売することを考えています。
しかし、仮にA社が甲社より1日早く薬の開発に成功して、この薬で特許を取ってしまえば、甲社はそれまでにつぎ込んだ開発費が全て無駄になります。
この場合、A社は特許戦略で甲社に勝利したことになります。
また、特許の戦略ということで話を複雑にすれば、薬の開発を取ってみれば、
- ターゲットの特定(どこに効くかという情報)に関する特許(ゲノム特許などはこれに含まれます。)
- 薬の構造式に関する特許
- 薬の効き方に関する特許
- 薬の製造法に関する特許
- 錠剤の製造法に関する特許
など、いくつもの特許が絡んできますので、各社はそれぞれの強み弱みを勘案しながら、どこで特許を取るか考えなければなりません。
No.4
- 回答日時:
No1のハリセンボンです。
特許戦略の上での勝利について考えておられるようですね。
先に言った『自分のビジネスを特許で守る』という立場をとるならば、企業の究極目的である『お金を儲ける』ことにに対する手段(2次的な目標)になっていなければならないと思います。
そういう意味で『自分のビジネス(お金儲けシステム)を特許で守る』ことが特許戦略の目的であり、これを達成することが勝利ということになるのではないでしょうか、というのが私の意見でした。
具体的にどういう状態になったら守ったことになるのか、ということはちょっと難しいですね。
『ある特許を取得する』という目的のプロジェクトなら、取れた時点でそのプロジェクトにおいては勝利と言えますが、『守る』っていう目標は、言い換えると『守りつづける』ってことだから、世の中のビジネスが動いている限り、最終的なゴールは無いと思います。
敗北は『守れなかった』ときと考えれば勝利よりは考えやすいと思います。具体的には自社のビジネス展開が他社の特許により阻止され、お金儲けしそこなうこと、お金儲けしようとして投じた投資が無駄になることだと思います。
No3の方のご意見もなるほどなぁ、と感心しました。
単にビジネスを守るだけではなく、特許戦略そのものがビジネスのあるべき方向を探るための手段になる。たしかに守るということよりも幅が大きいですね。
No.3
- 回答日時:
プロパテントで検索してみて下さい。
よく“プロパテント時代の特許戦略”・・・などという表現で使われています。
単に特許を沢山出願したり、保護のための手法と言うことではありません。
今後どのような分野のものが出願傾向になるのかといったことや、自社の目指すべき技術方向性を探るために行うことが挙げられます。
例えばパテントマップを作成し活用して技術の隙や今後の方向性を分析するなどして自分たちの得意分野や持てる力を集中させることなどを目的にしたりします。経験からかなりの分析力を要しました。なお、セミナーなども開催しているところもあるようです。
No.1
- 回答日時:
特許関係の会社で一月ほどインターンシップをした経験があり、そこで聞いた話です。
学生向けの説明なので、その程度と割り引いて聞いてください。(ちなみにまだ学生です)特許というと、自分が取得した特許を誰かに使ってもらって、特許料を貰おうということがまず頭に浮かぶと思いますが、特許料を払ってまで使ってくれることは稀です。
大事なのは、自分のビジネスが「それ、ウチの特許だよ」って他社に邪魔されないことです。自分のビジネスを特許で守る。これが特許戦略の基本だと思います。
具体的には、自分たちの独自の方法を特許としてガンガン出願すること。
ご存知だとは思いますが、特許というのは、出願したあと、1年半後ぐらいに公開されます(技術内容がバレる)。そのあと特許として認めてもらうように審査請求を経て特許として認められるのですが、誰にも使ってもらえない特許なら認めてもらう必要はないんです。
公開して、審査しない宙ぶらりんの技術でビジネスをしていれば、同じ技術をライバル会社が特許として出して審査請求してきても、「ウチがもう出しているし、新規性はないよ」って特許庁に訴えれば勝てます。
ただし、この方法では真似されるのを防ぐことはできません。技術が公開されるわけですから、真似しようとすれば簡単に真似できます。真似されたくなければちゃんと審査請求して手間かけて特許として認めてもらってから、「特許料はらえ、さもなくばやめろ」と訴えないといけません。
1年半も前の技術だし、真似されても新技術や品質や運用で差別化できればいい。ただ邪魔だけはしないでほしい。という会社は、とにかく出しておくことが多いです。
そして、大事なのは、自社のビジネスの脅威となる特許はツブすことです。
そういうものが審査に掛けられたら、その特許が出願される前に公開されている特許や、発表された論文を持ち出してその特許の新規性に意義を唱えます。(争うポイントは新規性だけというわけではないみたいですけど)
そういう情報収集に経営資源を割かなければいけないので、このあたりも戦略の範疇に入ります。
本当にコアな技術は特許として出さないことも多いみたいです。出したら公開されてバレますから。
ただ、それを守るために、その技術に至る周辺の技術を特許で固め、コアな部分にたどり着けないようにするようにして守るみたいです。
なんでも出せばいい。というわけでもないのが、戦略の戦略たる所以ではないでしょうか。
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