No.5ベストアンサー
- 回答日時:
>縞模様と分子の大きさの関係を定式化したものを書いてあるサイトなどありますでしょうか?
さあ、それは知りません。そんなに簡単な式で表せるものではないですね。
それにそもそも分子のサイズが問題なのではありません。
問題なのは、スリットのサイズと間隔、そしてその分子の存在確率分布ですから。
重要なのは分子の不確定性の範囲内になるようにスリットサイズと間隔を定めることです。あくまで位置の不確定性、言い換えると分子の存在確率の範囲内では、分子の位置を特定できないから、2つのスリットのどちらでも通る可能性があるので、波が生じます。
チョコボールの場合には、チョコボールが通過できるサイズのスリットを2つ接近させて並べたとしても、いまチョコボールをその2つのスリットの中間に向けて発射したら、上常識的な考えではスリットは通らず、そのスリットの間の狙ったところにあたるに決まっています。
ただ厳密にいうと、たとえチョコボールでもスリットを通過する位置に存在する確率は0ではないから、途方もない時間これを行えばいつかはスリットを通過することもあるでしょう。それが複数回行われれば、段々干渉縞が形成されるというわけです。
ただ同じことを分子等小さな粒子で行おうとすると、スリットのサイズと間隔を粒子の存在確率が高い範囲内に作ることが出来るので、現実に観測できるというわけです。
問題なのは存在確率分布とスリットのサイズ&間隔なのです。
チョコボールで困難なのは、存在確率分布はチョコボールの大きさに関係なく、存在確率分布の範囲が決まっているから、そのようなサイズのスリットと間隔にするとチョコボールが通らなくなるから現実に観測することが出来ないという話になるのです。
ありがとうございます。
>ただ厳密にいうと、たとえチョコボールでもスリットを通過する位置に存在する確率は0ではないから、途方もない時間これを行えばいつかはスリットを通過することもあるでしょう。それが複数回行われれば、段々干渉縞が形成されるというわけです。
宇宙の年齢まで待てば形成されるのでしょうか。スリットの実験では直感的には発射元は検出面に対して90度ではなくある程度ランダムな角度で発射されているようなイメージがあるのですが、、、そうだとするとボールが通る確率は格段に上がりますが、、、
No.8
- 回答日時:
私の知る限り、二重スリットの実験で干渉の観測に成功したこれまでの最大の物質はC60です。
この実験の論文 Olaf Nairz, Markus Arndt, and Anton Zeilinger, American Journal of Physics -- April 2003 -- Volume 71, Issue 4, pp. 319-325,"Quantum interference experiments with large molecules"に、巨視的な物質を用いた二重スリット実験の歴史、実験手順と課題、意義が分かりやすく書かれていますので、ご一読ください。さて、チョコボールで干渉実験を行う事についての課題を考えて行きましょう。これは
1)原理的に干渉縞が出る為の条件をみたすこと
2)実際に観測できるように干渉縞を発生させる事
の2つに分けることができます。
まず、物質の干渉実験では、粒子を一つずつスリットに送り出し一々ターゲットにあたった位置を記録し、それを繰り返すことで干渉縞を得る訳ですが、この時に、それぞれの粒子が全く同じものでなければ正しい干渉実験にはなりません。全く同じとは、構成している原子の種類と数、その位置関係まで全く同じである必要があります。
電子のように内部構造を持たない粒子であればこれは簡単です。また原子の場合でも、同位体制御によりこの条件を満たす事ができます。C60も、非常に大きな分子ですが、非常に高い対称性を持つために、これを満たす事ができました。チョコボールのような結晶でもない、非常に対称性の低い物質でこれを満たすのは非常に大変ですね。
次に、粒子の飛行の際に、どちらのスリットを通ったかの痕跡を一切残してはならないという条件があります。これは、いわゆる観測による波束の収縮を避けるためです。この条件を満たすには、実験中飛行を観察してはならないのはもちろん、原理的に経路を特定できる可能性の生じる現象、例えば、粒子からの光子の放出も抑制しなければなりません。
巨視的な物質の場合、有限温度では内部に様々な振動が生じており、これらが光子を放出する確率が無視できません。これも非常に難しい課題です。
また、干渉縞がでるためには、それぞれのスリットを通る波動の位相関係が確定している必要があります。これは、レーザー光で明瞭な干渉縞がみられるのに、乱雑な自然光では干渉縞が現れにくいのと同じです。さて、これを満たす為には、まず単スリットなどをつかって位相が有る程度そろった状態をつくり、さらに実験中に位相を乱さないようにする必要があります。多体系の位相は、環境との相互作用などにより容易に乱れますので、これも難しい課題です。
さて、例え上記の課題をすべて解決したとしても、実際に干渉縞を観測するのはなかなか大変です。というのも、物質波の波長はドブロイの条件に従って、質量が大きくなるに従って、短くなるからです。二重スリットの干渉効果は、スリットによる回折効果に依存しているのですが、波長が短くなるとこの回折効果が小さくなるために、実際に干渉がおこるように十分な距離を稼がなければなりません。また、波長が短いと干渉縞の間隔が短くなりますので、それぞれの次数の干渉を識別できるようにするのも大変なことです。
ということで、チョコボール程度の大きさで干渉実験をするのは現時点ではかなり難しいと思います。
なお、蛇足ですが、こういった巨視的状態における量子力学的現象の発現というのは、近年はやりの量子コンピュータともつながるものがありますので、注目している研究者も多くなっています。そういった研究者と雑談中に、次に狙うとしたらウイルスかなあという話になったことがあります。
ありがとうございます。C60はフラーレンのことですね。元の論文を読むのは私には無理です。
ウイルスは外側は確かに対称性がありますね。
No.7
- 回答日時:
No.4です。
[1].
>時間をかければできるのなら、それが宇宙の年齢の10倍でも大変興味深いです。
N0.4で「宇宙の年齢よりもずっとずっと長い時間がかかる」と書きましたが、この「ずっとずっと」というのが曖昧だったようですね。実際に私も計算したわけではないので具体的な数値を挙げられませんが、宇宙の年齢の10倍どころではないはずです。
たぶん1つの実験をしていたとしてチョコボールの干渉縞ができる確率は1/10^120(=10の120乗分の1=1/10…00で0が120個続く)より小さいでしょう。どこから120乗なんて数が出てきたのか? かなりいい加減ですが絶対に起こらないほど小さいと言いたいのです。でも1/10^120を量子力学的に確率計算することなく、宇宙論的・素粒子論的にコジツケてみましょう。
まず、考えられる最も短い時間の単位を1量子秒と呼ぶならば、これは光が素粒子の大きさの距離を横切る時間でしょう。この量子秒を単位として宇宙の年齢を表すと10^40量子秒になります。次に、宇宙で起こる現象は宇宙に含まれる素粒子の数より大きくならないでしょう。宇宙に含まれる素粒子の数は10^40×10^40ですから、宇宙で起こる現象は最大10^40×10^40です。
これらの数を考慮すると、
「1つの実験(現象)で1量子秒に1/10^120の確率でしか不思議なことは起こらない(巨視的物体に対して干渉縞が生じない)」
とは、
「宇宙全体での現象に対して宇宙の年齢の間に1回しか起こらない」
と言う意味です。
(1量子秒に1個の現象に対して(10^-40)^3=10^-120の確率
<->1量子秒に宇宙全体の(10^40)^2個の現象に対して10^-40回
<->宇宙の年齢10^40量子秒に宇宙全体(10^40)^2個の現象に対して1回)
ところでここで登場した10^40という数は「ディラックの大数」などと呼ばれています。ディラック、大数仮説などで検索すればいろいろ面白いことが分かりますよ♪
[2].
>粒子の大きさと干渉縞のパターン形成に要する時間を叙述したような式やサイトはありますでしょうか?
探せばいろいろあるのでしょうが、私が知っているのは日立中央研究所の外村彰(とのむら・あきら)氏の実験です。
http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/2003/0 …
(または http://www.nanonet.go.jp/japanese/mailmag/pdf/00 … )
http://www.e-one.uec.ac.jp/~tito/jugyou/gendai/t …
http://www.kgt.co.jp/avs_conso/event/vc10/summar …
(いっぱい検索でひっかかりますねぇ…。)
ちなみに外村彰氏はAB効果(アハラノフ・ボーム効果)を実験的に初めて確かめた人で、一時はノーベル賞に最も近い日本人と言われていました(私は疑問でしたが)。残念ながらどうやらノーベル賞は消えたようです。
ありがとうございます。
[1]>私には理解不能です。
[2]>日本の外村さんが電子でやったんですねえ。もっともエレガントな実験でトップというのはわかるような。叙述したような式というのは
パターン形成に要する時間=fuction(大きさ)
という意味であります。
No.6
- 回答日時:
ちょっと補足します。
もう少し勉強したいということであれば、まず量子力学の基本である波動関数を学んでください。この波動関数の絶対値の二乗をとれば、確率密度になりますので、大雑把なサイズの考察は出来ます。
ただ分子になるとかなり面倒になりますので、簡単には導出できず、分子軌道法などで計算して出すしかないでしょう。(式として簡単には表せなくなる)
No.4
- 回答日時:
そのような実験事実はありませんし、理論的にも観測できる可能性がほぼゼロであると計算されます。
二重スリット実験ではありませんが、
「トンネル効果によって止まっているダンプカーが小山を超える確率がいくらか計算せよ。」
という問題がフェルミの原子核物理学の教科書に載っています。計算結果はものすごく小さいものになります。これがアルファ壊変(崩壊)の場合なら、アルファ粒子が核力ポテンシャルの山を越える確率が現実的な数値になるわけです。
同様に、チョコボールが二重スリットを通過して干渉縞が生じる現象は確率的に非常に小さいと計算されます。小さい確率とは、たとえば1秒間に1回(10,000回でもよいが)チョコボールを乱射したとしても、干渉縞ができるには宇宙の年齢よりもずっとずっと長い時間がかかると言う意味です。普通、これをもって現象が起こらないと言います。
No.3
- 回答日時:
>チョコレートの干渉縞が白い壁につくというような物理学的実験事実はあるのでしょうか?
ありません。
ご質問の話は不確定性の範囲に関する話になりますが、ハイゼンベルグの不確定性原理といい、簡単には、
位置の不確定性の量×運動量の不確定性の量=h(プランク常数)
とあらわされます。ここで、この不確定性の量は決まってしまっているので、分子レベル程度だとまだ上記に対して分子の大きさは十分無視できるほど大きくないから影響を受けますが、チョコボールの大きさは上記と比較するとはるかに大きいので、その影響はほとんど現れないわけです。
ただですね。物質波というのは理論的には無限に広がっているので、きわめて特殊な実験系を作った場合にわずかにその影響が出ないとは言い切れません。
とはいえ通常の二重スリットと同じような結果を得ることは出来ません。
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