No.3ベストアンサー
- 回答日時:
NO.2です。
ウガンダの紛争の根本的原因をイギリスのせいにする人もいます。ウガンダの独立時、多数の民族、複数の国家を一つにまとめて独立させた事が、紛争に繋がったという主張です。
しかし、イギリスが植民地にする前から、これらの民族や国家は争いを繰り広げていた歴史がある訳で、必ずしも一つの国にまとめたから紛争に繋がったのではないという主張もあります。
イギリスの影響力は独立後は、それほど長くは維持されませんでした。
もともと反イギリスでの独立運動の高まりから、独立となった為に、イギリスはウガンダの政治からは手を引き、経済活動のみ続けるという方針をとったのです。
ただ、オボテ大統領がブガンデ王国を滅ぼした時、ブガンデ王国のムテサ2世はイギリスに亡命し、イギリスは彼を保護しました。
また、オボテ大統領が社会主義国家を建設しようとした時、ウガンダ国内に存在する外国企業の全て(一番多いのはイギリス企業)を国有化しようとしたので、イギリスはアミンのクーデーターを支援したと言われています。
このクーデーターはイスラエルもアミンを支援したと言われています。
アミンはスーダンのアラブ系対非アラブ系の内戦で、非アラブ系の勢力に好意を示した事から、イスラエルはアミンの援助を行ったようです。
当時、イスラエルはアラブと対立していた事から、アラブの南に位置するアフリカ諸国を味方にしようと、黒人諸国に援助を行っていました。
しかし、このイギリスとイスラエルのアミンへの援助もそう長くは続きませんでした。
アミンがあまりにも過大な軍事的・経済的援助を両国に求めるので、断ったところアミンは怒り、それまで国内にいたイギリス籍のアジア人(主にインド人)を数万人も国外退去させたのです。
長らくイギリスの植民地だったインドの人の中には、同じイギリスの植民地となったウガンダにやってきて、役人や商人や農民となって暮らしている人が結構いたのです。
この措置に今度はイギリスが怒り、それまでウガンダに行っていた経済援助を停止します。
するとアミンはイギリス企業を接収、国有化したのです。
これで完全にイギリスとウガンダの関係は悪化し、政治的にも経済的にも切れてしまいます。イスラエルもイギリスに倣いウガンダから手を引きました。1970年代の事です。
この後、アミンはアメリカやソ連や中国などに、見境なく援助を求めますが、相手にされませんでした。
ウガンダは戦略的に重要な位置にある訳でなく、有望な鉱物・エネルギー資源もなかったからです。
それにアミンの人格にも問題があり、信頼されていなかったからです。
しかし、そんなアミンに手を差し伸べ援助した国がありました。それがリビアです。
また、その後、アミンがパレスチナ・ゲリラのテロを称賛した為、これをアラブ諸国が喜び、サウジアラビアなどが援助を行っています。
その後、アミンは隣国のタンザニアに戦争を仕掛け、逆に敗北し政権を追われます。
その後は、タンザニアの支援でオボテが復権し、ウガンダは社会主義国家と化したので、イギリスとの関係は疎遠なままでした。
最近のウガンダは欧米諸国と関係を強化しています。これは、現在のムセベニ大統領になってからの方針です。
しかし、それほどイギリスと親密な関係にある訳ではありません。
現在、ウガンダの輸出相手国の一位は、ケニアで、次にスイス、オランダ、ベルギー、フランスと続きます。
輸入相手国の一位は、ケニアで、次にインド、アラブ首長国連邦、南アフリカ、中国と続きます。
このように、ウガンダにとって、もはやイギリスは主要な貿易相手国ではありません。
ちなみにウガンダの人口の80%が農業に従事しており、輸出額の90%は農産品です。主な輸出品はコーヒー、綿花、紅茶、タバコ等です。そして輸出する農産品の85%はコーヒーです。つまりコーヒーが主な輸出品なのです。
鉱物資源は少ないのです。
ただ隣国のコンゴは、アフリカ最大の地下資源国と言われ、ダイヤモンド、金、コバルト、銅、コルタン、石油等が産出します。
その為、コンゴが内戦に陥った時、ウガンダはその混乱に紛れてコンゴに派兵し、一部地域を占領し鉱山を手中に収めました。1998年の事です。外圧によって2003年には撤退しますが、かなりの鉱物資源を手に入れた模様です。
このように確かにアフリカには地下資源の豊富な国があって、それが戦争の火種になっています。
しかし、少なくともウガンダの内戦では地下資源は争いの種ではないのです。もともと地下資源が少なく大規模に輸出できるほど産出するような国ではないのですから。
アフリカの内戦の全てが地下資源の争いに直結していると判断するのは早計です。
そして、現在ではイギリスの影響力も植民地の頃のようにはありません。
ウガンダの内戦の大きな要因は、民族紛争ですが、もう一つ要因をあげれば、やはり問題のある独裁者が政権についてしまったという事でしょう。オボテ、アミンなどはそのいい例です。もう少し人格的に清廉な人物が指導者として登場していれば、これほど酷い内戦の歴史にならなかったと思います。
この回答へのお礼
お礼日時:2007/08/26 23:15
ありがとうございます!
アフリカの資源物の問題からだと思っていましたが、
ウガンダの場合は違ったんですね。
イギリスとの関連性もおもっていましたが、
民族間と、独裁者が争いの要因だったんですね。
本当に納得できました。
ありがとうござういます!
No.2
- 回答日時:
多民族国家だった事が紛争の原因です。
ウガンダは1962年に独立するまでイギリスの植民地でした。
その頃、ウガンダには30を超える民族が暮らし、また4つの王国(ブガンダ、ブニョロ、トロ、アンコーレ)が存在しました。
ウガンダが独立する時、王国ごとの独立という話もでましたが、紆余曲折の末に、4つの王国を内包する連邦国家として独立する事に決まりました。
この結果、政府は各部族からなる連立政権になり、政策をめぐって色々と対立する事になります。
そして、自己の、自分の部族に都合の良い国造りをしようと、政変やクーデターが頻発する事になりました。
こうした政変が頻発した理由の一つには、政府の腐敗があまりにも酷いという理由もあげられます。政権を握った指導者は、汚職や出身部族への利益誘導、有力ポストへの同族の配置。政敵、対立部族への弾圧等を、当然のように行ったのです。
民族の割合も問題でした。圧倒的多数を占めるような部族がいなかったのです。一番人口の多いブガンダ族でも20%で、バニヤコレ族17%、アズホリ族16%、ルグバラ族15%などと結構、人口に占める割合が伯仲しています。(部族の%の数値には文献によって諸説あり)国家の中心となるような多数派の民族がいないのです。その為、紛争が起きても速やかに完全に鎮圧する事が難しく長引く事になったのです。
少し歴史を紐解くと・・・
ウガンダ独立時の最初の首相オボテ氏は、社会主義を導入しようとして、政府内の対立を生みます。また閣僚3人とともに密輸にも関わっていると告発されました。するとオボテ氏は強権を発動し、自分に対立する5人の閣僚を逮捕、終身大統領の地位につきます。
これに反発したのが、ブガンダ王国のムテサ2世で、ブガンダ王国のウガンダからの独立を宣言します。
しかし、オボテ大統領は軍によりブガンダ王国を攻め滅ぼします。また他の王国も廃止しました。
その後は自分に敵対する勢力、政治家等を弾圧、粛清し恐怖政治を行います。
この後、軍人のアミンがクーデターを起こし政権を奪取します。アミンはカクワ族という少数民族出身でしたが、ブガンダ族を味方につけ、また国外から傭兵を雇って治安を維持し、オボテと同じように弾圧と粛清の恐怖政治を行いました。
この後、アミン政権が倒れ、またもやオボテが政権を握るなどしますが、またクーデーターにあい政権を失います。
こうした政変がその後も何度も起き、その都度、勝者による敗者への弾圧と、それに対抗する抵抗運動が繰り返し行われ、今に続いています。
なお、アミンの民衆への虐殺は有名ですが、オボテもかなりの事をしており、BBCではオボテの行った人権侵害はアミン以上だという報道もしています。
ウガンダの各民族は支配したり、支配されたりする中で、加害者にも被害者にもなり、お互いに憎悪を募らせてきた苦い過去があるのです。独立の時から今まで、ウガンダでは反政府勢力の武力闘争が無かった事はありません。
また、あまり歴史的に有名ではありませんが、少数民族の中にはウガンダ独立時から20年以上も、独自の独立国家の達成をめざし、武力闘争を繰り広げた民族もいます。
現在、政府に抵抗しているので有名なのは「神の抵抗軍(LRA)」です。
これはキリスト教徒のアチョリ族を主体にしたもので、腐敗した政権を倒す為に決起したと主張している反政府組織です。まあ、かなり人道的に酷い事をしているようですが。
また、政府軍の攻撃により、かなり痛めつけられ壊滅状態のようですが、「同盟民主軍(ADF)」という抵抗組織もあります。これは旧アミン政権時代の残党とイスラム教徒の青年が参加している組織です。ちなみにアミンはイスラム教徒でした。この組織も一応、政権奪取を目指しています。ここも山賊まがいの事をしているようですが。
一昔前は、もっと抵抗組織がありましたが、政府軍により打撃を受け、抵抗を諦めた模様です。
なお、ウガンダにおいては、昔からそれほど先進国の介入はありません。あまり地下資源が豊富でない事と、地政学的に重要な位置にないからです。
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