
No.10ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
再び出てきました。ご指摘をいただきましたね。かなりの知識をお持ちのようなので、次のような説明ではいかがでしょう。
ポイントとしては、「完全な系で同一方向に完全な逆相を合成しようとする場合、そもそも波動を発生させられない!」
アンテナの世界を例に取ってみます。
1方向に完全な平面波を出すアンテナを一つ置いて(A)送信機をつなぎ、そこから1/2波長離れた位置に同方向に完全な平面波を出すアンテナをもうひとつ置いて(B)もう一つの送信機をつないだ場合がこれに相当しますね。
このとき、Bの出した電波はAに完全に受信されて送信機に逆相の電圧をもたらします。その結果、送信機(給電点)から見てアンテナは「インピーダンスが0」(短絡)と呼ばれる状態になり、動作しません。(印加したエネルギーは回路のロスになる。現実的にも給電点の短絡や解放は増幅回路のトランジスタの焼損が起きたりします。まあ、ブレーキのかかった自動車を思い切り押して、何のエネルギーもあたえられず疲れた状態でしょうか)
もっとも、このモデルは実現できません。
Aが完全に1方向にのみ電波を発射する場合、反射板付きアンテナ(現実にはパラボラなど)に相当しますが、これでは背面方向に当たるBからの波は全く吸収せず、他方で、Aの反射板はBにとっても反射板であり、Bからの波も完全に反射されて逆方向に放射され、「同一方向に向けての2つの波の発射」自体が存在しないことになります。何とか実現しようと、同一のアンテナに基本位相と逆位相の両方の電磁波を印加すると、これはまさに、「短絡」になりますね。
まあ、先の十円玉モデルで言えば、一番端の十円玉を左側と右側両方から同時に指ではじいた状況でしょうか。この場合、この十円玉は他の十円玉に全く影響を与えず(空間にエネルギーが供給されない)、指が痛んだり(印加エネルギーが回路で浪費される)、理想反射して指に全く手応えがない(エネルギーが印加されない)状況になりますね。
同じことは、板を使って水面に平面波(直線波)を作り出す場合でも理解できるでしょう
・・・ということで、2つ以上の波動が「打ち消し合う」というとき、「特定の位置」や「方向」で打ち消し合うものであって、「完全に消える」ということはありません。
先の回答にも書きましたが、「消えた」ように見える場合でも波が打ち消し合っているだけならば必ず何かの「ポテンシャル」は残っており、「水面の高さが全く変わらない」場合でも周辺の高さの変動によって水粒子の微少な運動は維持されており、十円玉問題でも、質問者さんのご指摘のとおり十円玉の変形等による微少運動が残り、電波において電界ゼロでも磁界変動は残っていて、波の伝達には関与しています。
周囲の広い範囲で運動や変動が無く、ポテンシャルもない場合は「波がもともと供給されていない」状態であり、「供給できない」仕組みだと言えるかもしれません。
さてさて、いかがでしょうか。
説明理論にいささか欠けももありそうですが、多少なりともお役に立てば幸いです。
この回答への補足
たびたび、大変ご丁寧な説明ありがとうございます。
他の回答者様からの説明にもありましたが、
そもそも同一方向に進む位相がずれた平面波のみを
作るということ自体が不可能で、
また出来たとしても、一方が他方の発振機のエネルギーを
吸収してしまうということがカギみたいですね。
私の頭が稚拙なため、まだ完全に理解できていない部分があるかもしれませんが、
ようやくわかりかけてきたように思います。
本当にありがとうございました。
No.13
- 回答日時:
>エーテルというのは空間のことで良いか
媒体エーテルは一種の物質で、空間に存在しえるもの。
>光の媒質という意味のエーテルは存在が否定された記憶があるが
宇宙を満たすようにあると考えるエーテルは、否定された。
個々の光ついて、光源に対し静止して、エーテルはある。
>たがいに進むのに影響せず、それぞれの電界磁界が足されて
振幅が0になるというのは理解出来てここまでは良いのですが、
>そうなると問題は前の回答で述べたとおり、
光のエネルギーが振幅の二乗に比例するとした場合、
空間全体で時間積分を取っても、
振幅が0なら空間全体のエネルギーもゼロとなってしまって、
観測されるエネルギーが正から干渉後が0になるということが
おかしい
光Aと反位相の光Bの電界磁界が足されて振幅が0に観測され、
「空間全体のエネルギー」もゼロとみられるが、
それは我々から見える(観測される)だけで、
光Aだけの電界磁界と光Bだけの電界磁界は、我々から観測できないが、
本当はあり、「空間全体のエネルギー」もある。
我々から隠れてある。
No.12
- 回答日時:
思考実験としての平面波の干渉を考えるならば、No.8さんの回答が適切です。
逆位相の平面波が左右から進行してきて打ち消し合う場合、エネルギー流は引き続き存在し、波源があると仮定すれば、その波源にそれぞれのエネルギー流は吸収されます。その結果、定常状態としては2つの波源の間の空間にはエネルギー流が存在しなくなり、波も現象としては観測されません。これを、何もなくなった状態と考えるか、左右のエネルギー流が完全に打ち消し合っているだけで実際にエネルギー流は存在すると考えるかは解釈の問題になります。それぞれの波源では発生するエネルギー流と吸収するエネルギー流が相殺して見かけ上は何も起こっていない状態になります。(このような状況をゴースト解と考える立場もあります。)
なお、「光のエネルギー」という場合には注意が必要です。光が波(電磁波)あるいは粒子(光子)として進んでいる場合には、それによって運ばれているエネルギーの流れ(厳密にはパワーの流れ)を考えていることになり、エネルギーそのものとは少し異なります。「光のエネルギー」とは光が光でなくなったとき(止まったとき?)他の物に作用する能力を表すものであり、方向を持った流れ(ベクトル)とは通常考えません。
光のエネルギーの流れを考えているから上記の様に「左右の流れが相殺する状況」が想定できるのです。
以上は勿論厳密な解析ではありません。光(電磁波)がエネルギーを運ぶのを担っているのは電界と磁界ですから、人間の目に見える形での光の干渉(干渉縞)と電磁界エネルギーの関係を調べることはとても興味深いテーマかと思います。たとえば、「人間の眼が光の強さを感じのは電界なのか磁界なのか?」「干渉で打ち消し合った波の無い空間に光エネルギーの流れが実際あるとすれば、そのエネルギーを運んでいるのは電界か磁界か?」など...これらの疑問にはそれなりの結論が出ているようです.....
No.11
- 回答日時:
No.7です。
ディラックが言わんとしているのは、次のことです。「光子はみな自分自身とだけ干渉し」とは、簡単に言えば、1つの光源から出た光が2つに別れ、それらが重ね合わさった場合だけ干渉が起きるということであり、「2個の異なる光子の間の干渉は決して起こらない」とは、2つの光源から出た光を重ね合わせても、干渉は起きない、ということです。1つの光源から出た光を2つに分け、重ね合わせると、干渉により波が消える部分と、波が強めあう部分が必ずできて、波全部が消滅することは決してない、したがって、エネルギーが消えてしまうこともない、ということです。
この回答への補足
大変わかりやすく説明していただきありがとうございます。
おかげさまでディラックの言いたいことが理解できました。
やはり、打ち消しあう波だけを発生させるということ自体が
不可能ということなんですね。
他の方々の説明も合わせまして、
大分理解が深まったように思います。
本当にありがとうございました。
No.9
- 回答日時:
光はそれぞれのエーテルの中を独立に進み、
互いに進むことについては影響しない。
打ち消し合うのは、電界磁界が足されて観測されるの意味。
この回答への補足
エーテルというのは空間のことで良いんですよね。
光の媒質という意味のエーテルは存在が否定された記憶があるのですが、
間違っていたらすみません。
たがいに進むのに影響せず、それぞれの電界磁界が足されて
振幅が0になるというのは理解出来てここまでは良いのですが、
そうなると問題は前の回答で述べたとおり、
光のエネルギーが振幅の二乗に比例するとした場合、
空間全体で時間積分を取っても、
振幅が0なら空間全体のエネルギーもゼロとなってしまって、
観測されるエネルギーが正から干渉後が0になるということが
おかしい気がするのですがいかがでしょう?
No.8
- 回答日時:
平面波を重ね合わせる場合
たとえば、平面波Aの中に同じ方向で逆位相の平面波の波源B(というのもイメージしにくいのですが)をおいた場合。
波源Bの出力は負になり、平面波Aを吸収するという形になります。
(平面波だとイメージしにくいので、単一の電線上を正弦波の電圧電流が伝わっていくモデルで考えると、波源(交流電源)Bの出力は電圧と電流が逆位相になり、出力が負(伝送線路からエネルギーを取り込む)ことになります)
この回答への補足
この電源を用いた説明を光に置き換えると、
打ち消すような波を発生させる光源Bは
必ずAの波を吸収し、
そのエネルギーは光源Bの中で熱エネルギーに変わるということなんでしょうか。
となると前の回答でもあったとおり、
平面波どうしだけでなくハーフミラーや光源を
考える必要があるということですね。
No.7
- 回答日時:
ディラックの量子力学という本には、次のような記述があります(多少意訳して書きます)。
「たくさんの光子からなる光線が、同じ強さを持つ2つの成分に分かれたとする。光線の強さが、光子の数に関係して決まると仮定するならば、この2つの成分を干渉させたときに、2個の光子は互いに打ち消しあう場合もあり、また2個の光子から4個の光子が作り出される場合もなければならないことになる。これはエネルギー保存と矛盾することになろう。新しい理論(量子力学のこと)によれば、1個の光子を2成分のどちらにも入れて考えるべきである。こうすれば、光子はみな自分自身とだけ干渉し、2個の異なる光子の間の干渉は決して起こらないのである。」
この回答への補足
ディラックの行列力学を全く理解できなかった
私には彼の理論は難しい部分があるのですが、
量子光学まで話を広げる必要はあるのでしょうか?
平面波の干渉の問題は古典電磁気学だけで十分に記述できそうな気がするのですが、
このディラックの記述の場合自分自身と干渉するということと
エネルギー収支の関係はどうなるのか
私の頭ではよく理解できません。
どうやらまだまだ勉強が必要みたいです。申し訳ありません。
No.6
- 回答日時:
こんにちは。
質問者さんの知識レベルがわからないのですが、次のような説明ではいかがでしょう。
ポイントは、「打ち消されても波として見えなくなるだけ。エネルギーは消滅せず、すこしずれた場所・方向ではかえって強くなる」
私も同じことを悩んだことがあります。特に、光と同じ仲間である電波では、「アンテナ」がこの「打ち消し」や「強め合い」を使って電波の発射方向などを制御していますがこの原理がなかなか複雑。
このような波の特性については、「波動関数」という数学を理解しなければならず、私もきちんと理解できていないのですが、だいたいのイメージとして、概ね次のような理解をしていただきましょう。
・ 十円玉を 5cm間隔で直線上にずらりと並べる。一番端の十円玉を指ではじくと、次の十円玉に当たり、ぶつかった十円玉は止まってぶつけられれた十円玉は次の十円玉にぶつかる(完全弾性衝突で、十円玉の微細な振動がエネルギーを伝え、1個分の運動量が常に次に伝わる)。損失がなければこの連鎖が次々に進み、1波が進行する。
・ 十円玉を列の逆側からも同時にはじく。ちょうど中間で、一つの十円玉に両側から2個の十円玉が同時に衝突する。中央の1個は全く動かないが、両側から衝突した2つの十円玉ははじき戻され、その動きがまた連鎖してゆく。
(見かけ上、中央の十円玉は動かず、波は打ち消された状態です。しかし、十円玉の微少変形によりエネルギーは両側に伝達され、全体としては“波同士がぶつかって反射した”ようにも見え、あるいは、“波がすれ違ってそれぞれ何事もなかったかのように進行している”ようにも見えます)
・ このとき、動かない十円玉上では、見かけ上、波のエネルギー(運動エネルギー)を失ったように見えるが、実際には金属の圧縮振動のエネルギーとして2個分が内包されている。池の波も特定のポイントで打ち消し合うとき、確かに上下運動は止まっているが左右に引かれる力が働いていたり、電磁波も、「電界」は打ち消し合っても「磁界」が強め合っている等、エネルギーは維持されている。
ということで、損失のない系では、エネルギーを失わせる意味での「波の打ち消し」は起こりません。
実際の問題でも
○ 騒音を消すために、到着した騒音を検出して逆位相の音波をスピーカから出すという装置があり、うまく作ると、見かけ上の騒音の低減になる・・・が、特定の方向からずれた位置ではかえって大きな騒音になる。
(最近のヘリコプターでは、客席の騒音を減らすため、プロペラ音を逆位相にしてスピーカを使って室内に流すものがあり、一部の音楽用ヘッドホンでは、外の騒音をマイクで拾って逆位相にして耳に届けて騒音を低減しているが、いずれも外向きには大きな雑音になっている。ただし、外側なら内側に比べて気にならず、少々の防音構造でかなり吸収できる。)
○ 電波で希望の信号とずれた方向から混信になる信号がアンテナに入ってきてしまう場合、わざと、混信源方向に向けたアンテナを増設し、強く受かった混信波を逆位相化して合成したり、同一方向を向いた2つのアンテナの信号を合成する際にアンテナの設置位置を工夫して、「希望信号は強め合い、混信信号は打ち消し合う」ように工夫する。これを「スタック」と言い、この場合、打ち消し合った信号のエネルギーは再び空間に戻ったりするが、あえて電線内で浪費されたりするように工夫したりする。
という工夫がされています。
さてさて、いかがでしょうか
お役に立てば幸いです。
この回答への補足
詳しい説明ありがとうございます。
挙げていただいた例は完全な平面波を仮定していないため、
どこかで位相や波数ベクトルのずれが出るため、
有限の振幅を持ってしまうということになり、
そちらで正のエネルギーがもたらされるということだと思います。
(十円玉の例でも池の例でもごく一点では振幅はゼロでも
系全体ではどこかで有限の振幅がもたらされており、完全に打ち消しあっていないですよね。)
ですが質問の問題では完全な平面波を仮定しているため、
どんなにはなれた所でも、どれだけ時間を経過させても
有限の振幅は観測されないため、
真空と同一とみなせ、やはりエネルギーはゼロになると思うのですが、どうなんでしょう…?
No.5
- 回答日時:
> 50%、50%に分け、再び同じ光路に半波長分ずらして戻した時
この質問、過去に何度も何度も何度も何度も・・・出てますね。
(例えば、http://okwave.jp/qa1731197.html)
良~く考えてみましょう。
(1) レーザ光をハーフミラー#1に入射させる。
(2) 透過した光束A(振幅70%、強度50%)と反射した光束B(振幅70%、強度50%)に分割
される。
(3) 光束Aの方が光束Bよりもλ/2だけ伝搬する距離が長くなるよう引き回す。
(4) 光束Aと光束Bをハーフミラー#2に入射させる。(両光束を平面鏡で折り返して
元のハーフミラーに再入射させても可。これ即ちマイケルソン干渉計。)
(5) 光束Aは反射した光束A1(振幅元々の50%)と透過した光束A2(振幅元々の50%)に
分割される。
(6) 光束Bは透過した光束B1(振幅元々の50%)と反射した光束B2(振幅元々の50%)に
分割される。
(7) 光束A1と光束B1は同じ方向に進み2者間の光路差がλ/2なので互いに打ち消し
合い、強度=0になる。
(8) 光束A2と光束B2は同じ方向に進み(マイケルソン干渉計では光源側へ戻る方向)
2者間の光路差が0(またはλ)なので互いに強め合い、強度は4倍(元々の100%)に
なる。
(7)と(8)を合わせてエネルギー保存則は見事に成り立っています。(8)のような光束
を生じさせずに(7)の関係にある2光束だけを作る、ってことがそもそも不可能なのです。
この回答への補足
詳しい説明ありがとうございます。
ハーフミラーを使う限りは不可能で、
また質問のような波を実際に発生させる
機器を製作することが不可能であるいうことは理解できました。
ただ質問の前半部分(空間に位相の180度ずれた平面波が出会った場合どうなるか)というのは思考実験としては可能だと思います。
この時に回答としてそんな波を作るのは無理だから考える必要がないというのは、
あまり物理の問題の解答としてはエレガントでない気がするのですが、
そんなものなんでしょうか?
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