交響楽でトランペット、ホルン、トロンボーンといった金管楽器が
ガンガン鳴る交響楽としては、私にはブルックナーやレスピーギの
作品が思い浮かびます。
しかし、音楽史の中で交響曲が誕生したばかりの時代の作品では、
金管楽器は和音の一部を担うのみで、優しい音で鳴らしていたと
思います。
金管楽器が主役としてガンガン鳴る交響曲は、
いつ頃から登場したのでしょう。
(作曲家の名前や作品名も挙げていただけますと幸いです。)
音楽史や固有名詞に疎い私のために、どなたか教えてくださいませ。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>しかし、音楽史の中で交響曲が誕生したばかりの時代の作品では、
金管楽器は和音の一部を担うのみで、優しい音で鳴らしていたと
思います。
優しい音で「鳴らしていた」というより、優しい音しか「鳴らなかった」のです。
お分かりだと思いますが、金管楽器の構造は「自然倍音列」によって音が出るようになっています。ホルンのバルブや、トランペットのピストン、トロンボーンでは7つのポジションを駆使することによって管の長さを変えて基本の音を変えているのです。基本となる管の長さが数種類あればそれぞれの倍音によって理論上すべての半音が吹奏可能になります。これが金管楽器の仕組みですね。
しかしホルンやトランペットにおいてこの機能が開発されたのは19世紀に入ってからで、それまでは金管楽器は1つの管しか持たず自然倍音しか出せなかったので、オーケストラの中では旋律を担当することができなかったのです。旋律をふけないので、必然的にティンパニーの補強や和声の補強に回らざるを得なくなり、調性により楽器自体を変えなくてはいけなかったのです。
もっとも、それ以外の音が出なかったわけではありませんが、(ホルンに手を突っ込んだり口の形で調節するなどして半音程度調節する)そうして作られた音は不安定で汚く、独奏楽器としては使えてもオーケストラの中で鳴る音としてはとても使えませんでした。
(しかし、その時代に今のように自由に音を出せるトランペットがあればハイドンやモーツァルトは間違いなく旋律を吹かせていたでしょう。)
一方、こんな不便な金管楽器ですがバッハのブランデンブルグ協奏曲やハイドンのトランペット協奏曲、モーツァルトのホルン協奏曲など、独奏楽器としては用いられました。しかしこうした独奏として用いられる場合のトランペットは、高音域を自由に吹けるように、極端に長い管(管が長い=基音が低いほど、高音域が自由に吹けるという理屈はわかりますね?)を使ったり楽器に細かい穴が空けられたりして大変吹きにくいものであったり、ホルンで半音階を吹き分けることなどは、至難の技を要しました。
金管楽器が今の形に移る過渡期に当たるのがベートーヴェンからベルリオーズ、シューマン、ブラームスにかけてでしょうか。
例えば早くも、ベートーヴェンの交響曲第3番では金管楽器を単なる和音の補強として用いる古典的な管弦楽法が曲の内容においついていない箇所が見られ(フルトヴェングラーなど往年の巨匠は暗黙の了解で金管楽器を中心にオーケストレーションの改変を行った)、第九交響曲に至ってはすでに限界を示しています(tuttiにおける金管楽器の不自然な旋律など)。
こうした後にベルリオーズの幻想交響曲というロマン派の開幕を告げる革新的な作品が作られましたが、金管楽器のオーケストレーションはベートーヴェンの第九よりは安全路線といえます。
バルブやピストンのついた金管楽器の用法が楽譜上に現れたのはシューマンやブラームスの交響曲からといえるでしょう。しかしまだ調によって持ち替える指示などが見られ、まだ不完全でしょう。
やはり完全に「1本の金管楽器がガンガン音を鳴らしまくる」音楽ができたのはマーラーやチャイコフスキーになってからでしょうか。この辺になると、金管楽器は完全に独立した旋律楽器として機能しており主役級の役割が与えられています。
おもしろいのは、この時代に自由に金管楽器を用いたマーラーなどとは対照的にワーグナーは、自然倍音だけで奏される素朴な金管楽器の音色を好んでいたようで、楽譜上で、使い分けを意図したとされるパッセージなどが見受けられることです。
新旧の楽器を全く違う楽器とみればそのそれぞれの個性には興味深いものがあるので研究の対象になったり、今でも好んで古楽器を演奏する人もいます。
自然倍音列による歴史的な楽器を今日では「ナチュラル・トランペット」「ナチュラル・ホルン」と呼んでいます。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E7%AE%A1% …
ベートーベンの第3といえば「英雄」、
変ホ長調の曲ですね。・・・あーなるほど。
トランペットの音が私の脳裏に浮かんできました。
そして、そこから、日本が明治になる少し前までが過渡期ということですね。
私はトランペット経験者なので、金管楽器の機構のご説明は興味深かったです。
こんなに早く、きれいに解決できるとは思いませんでした。
驚きです。
ありがとうございました!
No.1
- 回答日時:
>ガンガン鳴る交響楽
ベルリオーズがひとつの大きな流れを作ったように思います。
代表作のひとつ「幻想交響曲」も当時としては型破りだったようですが,
他の作品にも型破りな大編成の曲があります。
下記は関連のリンクです。
<幻想交響曲の形式>
3.当時としては類を見ない大編成管弦楽とその使用法
http://kcpo.jp/info/35th/genso0.html
管弦楽法の歴史[ベルリオーズ]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%A1%E5%BC%A6% …
音楽作品と著作
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB% …
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