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高橋和之は、
アメリカの違憲審査基準を整理して、厳格、厳格合理、合理の3段階にわけ、そのなかの厳格合理のところの記述で、達成手段の実質的関連性を判断するための具体的な手段審査としてLRAを用いることが多い
と言っています(『立憲主義と日本国憲法』p.116)。

しかし、司法試験を目指している友人にこのことを話してみたところ、
厳格合理とLRAは別のもので、その説明は今まで勉強してきたことからすると、違和感がある
と言われました。

この高橋の説明は、通説的な見解なのでしょうか、それとも高橋独自の整理なのでしょうか。
もし高橋の説であるとすると、通説では、違憲審査基準は、厳格、LRA、厳格合理、合理のように、(もっとあると思いますが)少なくとも4パターンに分かれるものと把握されているのでしょうか。

A 回答 (2件)

 違憲審査基準を厳格・厳格合理・合理の3段階に分けることは、普通にあると思います。

説明したい内容によっては、この程度の区分で困らないからです。「憲法判例を読む」(芦部信喜 岩波書店)のP.144~5でも、合憲性判断基準として、厳格な合理性の基準と最低限度の合理性の基準と呼ぶもの、そして、人種による差別等、原則として許されず、立法目的が必要不可欠である場合以外は違憲になる「厳格審査」もある、とされています。
また、「アメリカの判例では(中略)三つの基準があると考えられてきましたが、日本の憲法解釈としてもそういう考え方は成り立ちうると思います。ただあまり基準を細分するのも問題であることに注意を要します。」とも書かれています。

 ただ、勉強を進めると、もっと細かな具体的な基準に馴染みができます。そして、例えば二重の基準論について、精神的自由における表現の時・所・方法の規制に対してはLRAの基準が妥当し、経済的自由の消極的目的規制には厳格な合理性の基準が妥当しており、この二つはほぼ同じだけど、厳格な合理性が妥当する領域の規制立法には合憲性が推定されるが、LRAの基準ではそれが推定されないので、LRAの基準の方が厳しい(by芦部)、というようなことも書かれています。なので、司法試験の勉強をされているお友達は違和感があるのでしょう。

 これは、同じ(似たような)言葉が2つの意味に使われていることから来る混乱です。
 違憲審査基準の大まかに分類する「厳格合理」は、(1)立法目的が必要不可欠であるか、(2)立法目的と手段に実質的関連性があるか、を判断基準にするもので、それ以上の細かいことは捨象するから、「厳格な合理性の基準」も「LRAの基準」も含まれるわけです。
 これは、一般的な「緑」という色に、「若葉色」も厳密な「緑」も含まれるのと同じことです。

>違憲審査基準は、厳格、LRA、厳格合理、合理のように、(もっとあると思いますが)少なくとも4パターンに分かれるものと把握されているのでしょうか。

 私もうまく整理しきれていないのですが、概ね下記のような理解をしています(間違っている可能性もあります)。
・内容以前の話(文面上無効)の判断基準として、検閲禁止、漠然性ゆえに無効の理論、過度の広汎性ゆえに無効の理論
・厳格な基準として、明白かつ現在の危険な基準、定義づけ衡量テスト、目的・効果基準?
・厳格な合理性の基準のうち、より厳格なものとしてLRA基準
   厳格な合理性の基準
・合理性の基準として、合理的関連性の基準、明白性の基準、弱い合理性の基準
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この回答へのお礼

ありがとうございました!

お礼日時:2008/02/21 18:41

二重の基準(精神的自由は厳格、経済的自由は合理)の修正として、


厳格な基準 中間審査基準(厳格合理) 合理性の基準 があるというのが
少なくとも通説だと思います。

以下、私見です。

目的 厳格             中間        合理
  (やむにやまれぬ政府利益維持)(重要な利益)   (正当な利益)
  (明白かつ現在の危険の除去) (危険が生ずる相当の蓋然性の除去)
   など              など      (抽象的必要性)
                            など

手段 厳格             中間        合理
  (必要最小限の手段)      (実質的関連性) (合理的関連性)
  (より制限的ない他の選びうる実質的手段)    (明白性)
   など             など         など

こんな感じで理解してますが、本当にこうなっているのかまでは
よくわかりません。

教科書に、
立法目的は正当であっても、規制手段について、立法目的を
達成するために「より制限的でない他の選び得る手段」を利用することが
可能であると判断される場合には・・・

立法目的は表現内容には直接かかわりのない正当なもの(十分に重要なもの
)として是認できるが、・・・

とあるので、目的の正当性、重要性は、区分していないのかもしれません。

結局、LRAは手段審査は厳格ですが、目的審査が中間(または合理)
になるので、中間審査基準となり、
経済的自由権の消極目的規制審査の厳格な合理性の基準は、
目的が中間(または合理)、手段は中間(実質的関連性)または厳格
(LRA)をとるので中間審査基準になるのだと思います。

厳格な合理性の基準という場合には、かなり広い概念で、様々な場合を
含んでいるのではないでしょうか?
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この回答へのお礼

ありがとうございました!

お礼日時:2008/02/21 18:41

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