11月5日(日)放映の大河ドラマ「風林火山」で、
1. 諏訪頼重の遺児である寅王丸が、武田信玄を暗殺しようとして取り押さえられ、仏前で信玄に諭され、「分かりました。恨みは捨てます」と言う。
2. 信玄の嫡男の武田義信がやって来て、寅王丸をののしる。信玄が制止する。
3. 寅王丸が「私は恨みを捨てました」と言いながら義信に近づき、義信の隙を見て義信が左腰に差している脇差を寅王丸の右手で抜き、義信を刺殺しようとする。
4. 義信の母親つきの女官頭が義信を庇って寅王丸の刃を受け、絶命。
と言う場面がありました。なかなか感動的で、私は涙ぐんでしまいました。
ところで、冷静になると「正面にいる相手が左腰に差している脇差を、自分の右手でスルリと抜くことが可能だろうか?」と疑問に感じました。
ネット検索してみますと、
「刀は右手だけでは抜けないからです。刀というものは鞘にカッチリと固く嵌っているので、左手で鞘の「鯉口」(鞘の口部分)を押さえ、右手で柄を掴まないと決して抜けないのです」
http://musounoken.blog27.fc2.com/blog-entry-121. …
などとあります。
実際、あの状態で仮に寅王丸が義信の脇差を抜けるのであれば、義信が体を前に傾けた時に刀身の重みで抜けてしまうでしょう。危険で着用していられません。義信の脇差は、鯉口と「はばき」できちんと固定されていた筈で、義信の正面にいる寅王丸が柄を掴んでスルリと抜くのは不可能と思えます。
# 「怪力の寅王丸が、義信の腰から脇差を鞘ごと奪い、それを抜いて斬りかかる」なら「ありえなくはない」でしょうか。ただし、奪った脇差を構え直して抜く前に、脇にいた勘助、背後の信玄に斬られたでしょう。
「あのシーンは現実には起こり得ない。時代考証のミス」
と考えて良いでしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
手入れが悪く鯉口が甘くなっている可能性はあります。
ダガーや剣ですが柄の部分と鎧をチェーンでつないでいるものは14世紀~15世紀に見られます。これは手に持った場合の「落としどめ」です。
中身が抜けないようにするには鞘の内張に羊毛をつかいました。
適度な脂がありさび止め、雨水とめ、そして適度な密着で抜け止めをかねています
西洋の剣の鞘についてご解説ありがとうございます。
「中身が抜けないようにするには鞘の内張に羊毛をつかいました。適度な脂がありさび止め、雨水とめ、そして適度な密着で抜け止めをかねています」
なるほど。日本刀の鞘における「鯉口」の役目を、「鞘の内張りの羊毛」が果たす訳ですね。勉強になります。
No.3
- 回答日時:
私はその場面を見ていませんが
これは刀の構造上の問題と技術的な問題と二つあります。まず構造上の問題ですが私の手元にある「短刀」は鯉口があまく簡単に抜けます。
技術的なほうですが私は西洋甲冑を着てのバトルをします。甲冑は接近戦になることが多いので必ずダガーを腰につけますが、もみ合いのなかでは自分のダガーを抜くよりも相手のダガーを抜くことが簡単な状況もあります。ただし、すべて逆手で持つことになります。
実戦で使うダガーはすぐに抜けないと命取りですから片手で抜けないとだめなはずです。左手で押さえる余裕はありません。
左手は相手の体をつかんでいるか何かをしています。
この回答への補足
日本刀の世界では、
2尺~:刀
1尺~2尺:脇差
~1尺:短刀
という分類のようです。
武士が平時に扇子と一緒に腰に差しているのは「脇差」という理解でよいのでしょうか?今回のドラマで、寅王丸が義信の腰から奪った刀です。
ご回答ありがとうございます。
ダガーというのは、日本における「鎧通し」に相当する機能を持つようですね。その場合、確かに格闘中に「片手で抜ける」ことが必要なように思います。ただ、何かの拍子でスルリと抜けてしまっては危険で困るわけですが、その辺はどう対処されているのでしょう?
回答者様がお持ちの「短刀」は「鯉口があまく簡単に抜けます」とのことですが、それは拵えの具合が悪くて鯉口が甘くなっているという訳ではないのでしょうか?現代社会では、短刀を持ち歩くことなどありえず、家にしまっておいて、手入れの時などに取り出すだけですから、「鯉口があまく簡単に抜けます」でも問題ないですが。
No.2
- 回答日時:
居合い術では抜刀の時間が生死を分けるので、刀は片手でも抜けるように下げ緒で帯に結んで固定してある筈です。
義信がどうであったかは不明ですが、このようであれば正面から抜き取る事も不可能といいきれません。
あくまで可能性の問題ですが、時代考証のミスとするのは如何かと思います。
11月5日(日)放映の大河ドラマ「風林火山」で、寅王丸が眠っている信玄を暗殺しようとして懐中に手を入れ、「カチ」という音を立ててからスルリと懐剣を抜く描写がありました。これは、「鯉口を切る」音を描写したものと思われます。時代小説を読みますと、「闇の中で刺客の気配がし、鯉口を切る音が聞こえた」などといった描写によく出くわします。刀を抜く前には「鯉口を切る」動作が必ず必要なわけです。
居合について解説したHPに
http://www.hagaha-kendou.com/pages1/iai2.htm
「鯉口の切り方は親指の腹で敵に気取られぬ様静かに行う」
とあります。
「居合い術では抜刀の時間が生死を分けるので、刀は片手でも抜けるように下げ緒で帯に結んで固定してある筈です」
というのは、あくまでも「鯉口を切って刀を抜く際に、出来るだけスムーズに鞘走るように刀を帯に固定している」ということですよね。
問題のシーンで、義信は寅王丸を斬ろうとしていた訳ではないですから、脇差の鯉口を切っていた筈がありません。そもそも、鯉口を切れば義信の手が刀(柄と鞘)にかかるわけで、寅王丸が義信の刀を奪うことなど全く不可能です。
No.1
- 回答日時:
そのURLの本人が訂正してますよ?
http://musounoken.blog27.fc2.com/blog-entry-123. …
「逆角(かえりづの)・返し角(かえしづの)・折金(おりがね)」という、帯に引っ掛ける突起が施されているものが有り、最悪右手一本でも抜けるようになっていた
ご指摘の「訂正」は私も読んでいます。
ただし、義信の脇差に仮に「帯に引っ掛ける突起」があったとしても、寅王丸が相撲取りクラスの怪力でない限り、「前にいる義信の左腰の脇差を、通常抜く方向と反対の方向からスルリと抜く」のは無理でしょう。
さらに、義信は戦場にいたのではなく、武田家の館の中にいたわけです。脇差は武士としての儀礼上差しているもので、「最悪右手一本でも抜ける」ような配慮をする状況ではありません。義信の脇差は、ごく普通に帯に差してあったはずです。
上記のことからご指摘の「帯に引っ掛ける突起」は、この質問には関係ないと考えて質問文からも省きました。
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