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実験値からターフェル傾斜と交換電流密度を算出する手続きと白金の交換電流密度を教えてください。

下記のような測定条件で得た実験値に対して、"自分なりの手続き"を加えて白金の水素電極反応におけるターフェル傾斜と交換電流密度の算出を試みました。しかしながら、いまだ納得のいく値を得られておらず、この"自分なりの手続き"に問題があるのではと考えています。問題点のご指摘、解決法のご教授を宜しくお願いします。

作用電極:Pt plate (0.8cm^2)
参照電極:SCE
スウィープテクニック:LSV
挿引速度:1mV/s
電解質溶液:0.5M 硫酸
初期電位:450 mV
最終電位:-350 mV

得られた電流密度i-電位E曲線を見ると、450~-150mVの領域で残余電流はもっぱら10μA以下だったため、水素発生電位を電流が10μA(=i')流れ始める電位(=E')としました。過電圧η(=E-E')(V)に対して電流密度log|i-i'|(A/cm2)のグラフを作成しました。残念なことに、このグラフには直線と言えるような明確な領域はありませんでした。ここで、面指数に関係なく白金の場合、Tafel傾斜は-30mVであるという喜多氏による報告を参考に、傾き-0.03Vくらいの直線を無理矢理引いてみました。すると交換電流密度はlogi0(A/cm2)=-6程度になりました。この交換電流密度を文献値と比較することで"自分なりの手続き"の整合性を確かめようとしました。しかしながら、文献によって値が違うために混乱しています。

喜多氏の論文によると交換電流密度logi0(mA/cm2)は約-3(J.Mol.Cat.A:Chem.199(2003)161)であるのに対し、喜多氏・魚埼氏著の「電気化学の基礎」(技報堂出版、1版1刷、1983年)ではlogi0(A/cm2)は約-3となっていました。ちょうど10^3倍の違いなのでどちらかが誤りを記載しているのだろうと思いますが、どうでしょうか?

以上まとめますと、問題点は2点です。水素発生電位を決定する"自分なりの手続き"の問題点、交換電流密度の正しい値です。ご存知の方がいらっしゃいましたら、どうぞ宜しくお願いします。また、簡単な方法などご存知であれば、そちらの紹介も宜しくお願いします。

A 回答 (4件)

全然解決とは縁遠いお話ですが。


>喜多氏の論文によると交換電流密度logi0(mA/cm2)は約-3(J.Mol.Cat.A:Chem.199(2003)161)であるのに対し、喜多氏・魚埼氏著の「電気化学の基礎」(技報堂出版、1版1刷、1983年)ではlogi0(A/cm2)は約-3となっていました。

…て、同じ値だと思いますが、どこで「10^3倍の違い」が現れているというのでしょう???

この回答への補足

電流密度iの単位がmA/cm2とA/cm2で1000倍異なるのに交換電流密度logi0(mA/cm2)とlogi0(A/cm2)が等しいんですが… 

補足日時:2007/12/21 00:17
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この回答へのお礼

ご指摘の通りかと思います。念のため電流密度のlogを取る前の値をチェックしてみます。

ありがとうございました。

お礼日時:2007/12/21 02:54

もう一つ補足.


分子次元のラフネスを云々するなら,CV等の電流挙動からの解析は無意味です.なぜならば,それらは大きさ的にはるかに大きなスケール(小さくてもμmよりはるかに大きい)でおこる拡散によって支配される現象だからです.この場合,分子次元での凹凸はまったく関知されません.一方,電荷移動律速条件では電荷移動のおこる実面積が効くので,これをちゃんと知ろうとするなら拡散の影響しない吸着物支配の現象に基づいて表面積を求めるべきです.白金の場合,水素脱着波の積算電気量等による評価がよく行われるのはそういう理由です.
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ラフネスの問題は,通常の研磨を施した電極であれば大した問題にならないはずです.SERS 目的で銀に ORC 処理を施してわざわざ荒らした場合でも,10とかまで行くのはあまりなかったような記憶があります.つまり,桁で違うということの説明にはそもそもなり得ない,ということです.


現状,補足できそうなことはそのくらいですが.
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まず,交換電流密度の値は電極表面状態によって簡単に桁で変化します.白金といえども同じで,クリーニングや電解液中のわずかな不純物などでも簡単に桁で変化することはごく一般的です.さすがに3桁も6桁も変化するのは,相当やばいですが.


次に,Tafel 式が適用できるためには,物質移動過程の影響を無視できる,電荷移動律速条件でなくてはなりません.掃引速度をたとえば半分にしてもほぼ同じ電流が流れるような条件で実験できているかどうか.
過電圧が大きくなると拡散速度が問題になりますが,過電圧が小さい領域では逆反応電流の寄与が無視できないため,Tafel プロットで直線が得られる領域は一般的には広くありません.低過電圧領域の逆電流の問題は回避のしようがありませんから,高過電圧側を少しでも電荷移動律速条件に保ち続けることが必要で,高濃度の反応物,強制対流の利用などが有効でしょう.今の場合,濃度はかなり高いので,SN比に影響しない程度で撹拌の効果があるか,場合によっては回転電極のような対流ボルタンメトリが使えないか等は検討の余地があるかもしれません.
電位軸も問題で,過電圧 0 というのは,この場合 1 atm の水素気体と平衡である電位であるべきなので,硫酸の活量係数を1と近似すれば 0 V vs. SHE あたりでなくてはなりませんが,SCE 基準だと -0.2V あたりに来るはずです.そのようになっているのでしょうか.白金表面が十分清浄であれば,電解によって白金表面に水素の気泡を発生させ,気泡付着状態での静止電位を測定することでも平衡電位の近似値が出るはずです.それもその程度になりますか?

この回答への補足

ご回答ありがとうございます。

静止状態での測定に用いた白金電極は、前処理をしっかりしてるわけではないので、確かに表面状態が清浄ではなと思われます。
J.Appl.Electrochem.17(1987)1002を参考にして、0.5M硫酸中、4900rpm、1mV/s、最終電位2V(vs. SCE)の条件の下で、白金RDEからの水素発生をLSVで測定したところ、残念ながら交換電流密度は静止状態の値とほぼ同じでした。片手落ちなのが、RDEの実効面積をフェリシアンカリやフェロセンで求めなければならなかったんですが、測定するのを忘れていました。
観測値である電流値Iを電流密度iへの換算する手続きからも疑問が生じます。幾何面積Aから見かけの電流密度i'に換算し、それをもとにTafelプロットをしたときに得られるのは、下ののように見かけの切片a'と傾きbとなります。fはラフネスファクターとします。
η=a-blog|i|
=a-blog|I/(fA)|
=(a+blogf)-blog|I/A|
=a'-blog|i'|
すると、真の交換電流密度は見かけの交換電流密度より下のように小さくなると思います。
logi0=log|i0'/f| (A/cm^2)
ここで、疑問なのが実際には見かけの交換電流密度logi0'(観測値:-6~~-7)が真の交換電流密度logi0(文献値:-3~-4)より小さくなっていることです。上の式に従えば、fは1より大きいので、見かけの交換電流密度logi0'は反対に大きく、たとえば-2とかになるのではないでしょうか?交換電流密度が小さくなるのは、どうしてなんでしょうか?自分の実験値の解析に誤りがあるのか、表面状態などに由来する何か根本的な問題をはらんでいるんでしょうか?

掃引速度の変化に対してほぼ一定値が得られれば、説得力のあるデータだと思います。測定してみます。

水素発生(曲線が大きく屈曲し始める)電位はほぼ-0.25mV(vs. SCE)だったので、平衡電位の値、過電圧軸の設定には問題ないのではないかと思っています。

確かに水素の気泡が付着している状態では平衡が確立されていると思います。レスティングポテンシャルの測定も行ってみます。

お時間ありましたら、ご回答のほど宜しくお願いします。

補足日時:2007/12/21 02:41
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