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日本銀行の『ゼロ金利』、『量的緩和政策』の経緯をまとめて政策手段の変化に関連させながら期待される政策効果について説明するとしたらどのようになるのでしょうか??
関連付けることができません・・・分かりやすい解答がありましたらよろしくお願いいたします

A 回答 (1件)

金融政策について議論するときによくある誤りには以下のようなものがあります。


現時点での政策金利の値や超過準備に積み上げ額がどのような影響を及ぼすかを強調すること。
正しい考え方は現在の値に注目することではなく、
将来の政策経路について市場がどのように予想するかに注目することです。

金融政策は市場の未来予想を変更することによって現実に影響を及ぼします。
投資家は機関投資家であろうと個人投資家であろうと、まともな投資家であれば、
現在の数字だけを見て投資行動を決定するのではなく、未来を予想して投資行動を決定します。
この点は最重要ポイントなので忘れないようにした方が良いでしょう。

たとえばこれから中央銀行が政策金利をしばらく上げないだろうと市場が予測すれば
短期金利はしばらく上がらないという前提に基づいて市場が動きます。
実際にこのようなことが最近起こっています。

さて、現実に実施されたゼロ金利政策と量的緩和政策自体の効果はかなり弱かったです。
そうなってしまった理由はゼロ金利政策や量的緩和政策を実施中も、
日銀がゼロ金利や量的緩和を止めたがっていることが明らかだったからです。
現時点で政策金利が低かったり、超過準備が大量に積みあがっていたとしても、
1~2年以内にその状態が解消すると予想されるならば、市場は近い将来短期金利が上昇したり、
マネタリーベースが大幅に減ることを前提に投資行動を決定することになります。
そして市場の予想通りに、日銀はデフレ懸念がおさまる前に、量的緩和もゼロ金利も止めてしまいました。
これは経済学で言うところの合理的期待仮説が現実によくあてはまっている実例になっています。

それでは福井日銀総裁の量的緩和政策には何の効果も無かったかと言えばそうとは言えません。
なぜならば量的緩和政策は為替介入を助ける形で効果をはっきしたからです。
2003年から2004年にかけて財務省は35兆円もの円売りドル買い介入を実施しました。
日銀が通常の金融政策を実施していたならば政策金利を一定に保つために
市場にあふれた円は自動的に日銀に吸収されてしまうことになります。
そのせいで為替介入の効果は無くなってしまいます。
しかし当時の日銀は量的緩和政策の規模を拡大していたので
為替介入で放出された円のうち半分程度しか日銀に吸収されずにすみ、
残り半分の巨大な量の円が市場にあふれることになったのです。
これによって財務省によるこの巨大な為替介入が目に見える形で意味を持つことになり、
市場は「日本は必要があれば巨大な円売り介入を辞さない」と信じるようになったのです。
実際に市場がそのように信じたことはその後の為替レートが円安気味に推移したことからわかります。
巨大な為替介入は有効な金融緩和として作用し、
外需主導で日本経済はITバブル崩壊から復活することができたのです。

しかし為替経路での金融緩和には大きな欠点があります。
それは円が安くなることによって輸入物価が上昇してしまうことです。
為替経路に頼らずに金融緩和を実施していれば
外需ではなく内需主導で景気を回復できた可能性がありました。
そのために必要な政策は「インフレ目標付き」の金融緩和です。
日銀は量的緩和をいやいややっていたし、ゼロ金利も機会があればすぐにでもやめることが明らかでした。
日銀が実際にそうできないようにたとえば
「2年以内にインフレ率を2~3%で安定させることに成功しなければ責任を取ること」
を明確にした上で量的緩和やゼロ金利やそれ以外の手段(たとえば長期国債買い切りオペ)を実施させるのです。
実際にそのような政策が発動していれば外需に頼らずに日本経済は復活し、
デフレに苦しみ続けているようなことは無かったでしょう。
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